温室効果ガス削減目標 “国の案では足りない” 研究者ら訴え

国連への提出が求められている2035年度までの温室効果ガスの新しい削減目標について、国が2013年度比で60%削減するという案を示していることを受けて12日、研究者や若者が都内で緊急の集会を開き、目標をさらに引き上げるよう求めました。

国は2030年度までに二酸化炭素などの温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという目標を策定していて、来年2月までに国連への提出が求められている新しい削減目標については、2035年度までに60%削減するという案を軸に検討を進めています。

これについて12日、研究者や若者の団体、それに国会議員などが都内で緊急の集会を開きました。

この中で「地球環境戦略研究機関」の岩田生リサーチマネージャーは、「パリ協定」で掲げている世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるという目標を達成するには日本は2013年度比で66%の削減が必要だとしたうえで「先進国がリードしなければ世界全体で1.5度に抑える目標を達成するのは難しい」と指摘しました。

また東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授は「現在の日本の目標案は先進国の責任を考えると全く足りない状況で、これで十分だとするのは国際的な常識を理解していない国だという表明になると危惧している」と話しました。

さらに若者団体のメンバーで大学4年生の芹ヶ野瑠奈さんは「1.5度に抑える目標は、未来の私たちとの約束です。もう時間がありません」と述べ、目標を引き上げるよう訴えました。

2035年までの温室効果ガスの新しい削減目標の案をめぐっては、250を超える企業でつくる団体が75%以上の削減を目標とするよう提言するなど国に目標の引き上げを求める声が相次いでいます。