補正予算案が衆院通過 自民 公明 維新 国民などの賛成多数

新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案は、一部が修正された上、衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されて参議院に送られました。参議院では与党が過半数を確保していることから、補正予算案は今の国会で成立する見通しとなりました。

一般会計の総額がおよそ13兆9000億円の今年度の補正予算案は、衆議院予算委員会で締めくくりの質疑のあと採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。

委員会では、立憲民主党の求めに応じる形で自民・公明両党が提出した、能登半島の被災地支援を充実させる内容を盛り込んだ修正案も可決されました。

補正予算案はこの修正案を反映させて一部が修正され、衆議院本会議に緊急上程されました。

討論で国民民主党の浅野哲氏は「賛成する第1の理由は、いわゆる『年収103万円の壁』の引き上げとガソリンの暫定税率廃止に向けて与党と一定の合意に至ったからだ。この国を前に進めるのは政権与党だけではない。政策本位の健全な野党がいてこそ、より深く未来を見つめた議論ができる」と強調しました。

これに対し立憲民主党の川内博史氏は反対の立場から「緊要性のない支出も多数見受けられる。ばらまきは厳に慎み、真に必要な経済対策に支出を限定すべきだ。一方、野党提出の修正案が反映されたことは、与党の事前審査制に代わり『万機公論に決すべし』という熟議と公開の国会への第一歩だ」と訴えました。

そして採決の結果、賛成多数で可決されて参議院に送られました。立憲民主党、れいわ新選組、共産党などは反対しました。

補正予算案には賃上げ環境の整備などを通じた「日本経済・地方経済の成長」に必要な経費に加え、電気・ガス料金の補助再開や住民税非課税世帯への給付金など物価高への対応、それに能登半島の被災地のインフラ復旧に必要な事業などが盛り込まれています。

衆議院の事務局によりますと、政府が国会に提出した予算案が衆議院での審議の過程で修正されて可決されたのは、第1次橋本内閣の平成8年度当初予算以来で、補正予算では初めてになるということです。

補正予算案は13日と16日の2日間、参議院予算委員会で石破総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われます。

参議院では与党が過半数を確保していることから、補正予算案は今の国会で成立する見通しです。

石破首相「完璧ではないがそれに近い形」

石破総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、「完璧ということはないが、かなりそれに近い形を作っていただいたと思う。予算案が衆議院で修正され可決されたのは28年ぶりで、補正予算案としては国会始まって以来となった。与党も野党も初めての体験だったが、審議に参加しても言いっぱなし、聞きっぱなしではなかった。お互いに議論をするという意味での熟議になったと思う。議論ができたことはありがたく、参議院もこうありたいと思っている」と述べました。

公明 斉藤代表「総理の答弁姿勢 野党から評価」

公明党の斉藤代表は記者団に対し「石破内閣初の予算案が衆議院を通過し、与党としてホッとしている。『熟議と合意形成の国会』がテーマとなっているが、石破総理大臣を先頭に丁寧で自分のことばで答弁していた。こういう姿勢も野党から評価されたのではないか。後半国会は政治改革法案が中心だが、真摯(しんし)な話し合いと合意形成の要となるよう頑張りたい」と述べました。

立民 野田代表「歴史が変わるような国会運営目指す」

立憲民主党の野田代表は記者団に対し「修正を勝ち取ることができたことは、被災地の支援に少しは役に立つのではないか。28年ぶりの予算案の修正なので、これからも歴史が変わるような国会運営を目指していきたい」と述べました。

その上で「予算委員長のポストをとっていた分、野党間の連携は不十分だったが修正を実現できた。これからもっと大きなテーマで野党の連携を目指さなければいけないので、できるだけ協力を求めていきたい」と述べました。

《本会議前の予算委員会の詳細》

石破首相 予算審議のあり方 “事前の情報公開必要”

衆議院予算委員会で立憲民主党は、予算審議のあり方をめぐり野党側にも事前に十分な情報を提示するよう求めたの対し、石破総理大臣は可能なかぎり公開することは必要だとして、政府内で対応を検討する考えを示しました。

予算委員会では12日午前、石破総理大臣らが出席して「内外の諸課題」をテーマに集中審議が行われました。

審議に先立って立憲民主党は11日、今年度の補正予算案の修正案を提出しました。

これについて自民党の小林鷹之元経済安全保障担当大臣は「基金」への拠出を減額するとしたことをめぐり、「政府案の各種基金への計上額は実態を踏まえた資金ニーズを把握し必要な予算を計上したものだ。実際の資金ニーズや政府案の内容を精査した上での修正案なのか」と質問しました。

これに対し修正案を提出した立憲民主党の階猛氏は、「政府の担当者から『相手企業との関係もあるのでエビデンスは出せない』と言われ、客観的な数値を見て判断せざるを得なかった。少数与党になったのだから、与党の力だけで全部情報を独占して予算を組み立てるのはやめるべきだ」と述べました。

立憲民主党の城井崇氏は予算審議のあり方をめぐり、「与党は十分に事前審査の中で内容が確認できるかもしれないが、われわれに出された数字や説明は限られ、チェックのしようがない。熟議と公開のため、野党にも与党並みに事前の情報共有をするよう約束してほしい」と求めました。

これに対し石破総理大臣は「趣旨はよく理解する。審議を十分してもらうには、情報を可能なかぎり野党にも示すことは一般論として必要なことだと思う。充実した議論をしてもらうためにも、情報の公開について、私どもの中でも、よく検討していく」と述べました。

国民民主党の浅野哲氏は「年収103万円の壁」の見直しなどに向けた自民・公明両党と国民民主党の合意について、「政府の責任者として3党合意に基づき実現し実行する意思を持っているか。結果を出すよう党内に指示し、最後まで、結論が出るまで監督してもらいたい」と質問しました。

これに対し、石破総理大臣は「合意が持つ意味は非常に大きい。今後、3党の税制調査会長間でさらに議論が進められるが、合意をよく踏まえ政府として誠実に対応する。必要な情報を提供するなどのサポートは、政府として最大限行っていく」と述べました。