小児がんの“急性リンパ性白血病” 副作用を抑えた治療法確立

小児がんの中で患者数が多い「急性リンパ性白血病」は、抗がん剤などの副作用でまれに亡くなる子どもがいることが課題でしたが、この副作用を抑えた新たな治療法を確立したと東京大学などのグループが発表しました。

「急性リンパ性白血病」の子どもの多くは治療によってほとんど症状が出ない「寛解」の状態になりますが、再発のリスクを減らすために行う抗がん剤や放射線などの治療は副作用が重く、まれに亡くなる子どももいるということです。

東京大学の加藤元博教授らのグループは抗がん剤などを減らした場合の治療効果を確かめようと、この病気の8割を占めるタイプを対象に、2017年までの5年間に全国の医療機関で診断された1歳から19歳の患者1800人余りに臨床試験を行いました。

事前の検査などで再発リスクが低い患者を選び出し、抗がん剤や放射線などの回数を減らして全体の治療成績に影響があるか調べたところ、5年後の生存率は94.3%とこれまでより3ポイント高くなったということです。

一方、副作用による死亡率はおよそ3分の1に減ったということで、研究グループは副作用を抑えた新たな治療法を確立したとしています。

グループのメンバーで埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科の康勝好科長は「現在考えられる最高水準の治療を実現できた。研究を続け改善していきたい」と話していました。