大谷選手 受賞の瞬間は 今回の偉業は?ニュース動画は【NHKプラスで配信中】(2024年11月29日まで)↓↓↓
【詳しく】大谷翔平 DHで大リーグ初のMVP受賞 2年連続3回目
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手がリーグで最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手に選ばれました。今シーズン、大リーグで初めてホームラン50本と50盗塁の「50-50」を達成した大谷選手のMVP受賞は2年連続3回目で指名打者に専念した選手としては初めてです。
受賞の瞬間、大谷選手はソファーに座って妻の真美子さんと愛犬のデコピンとともに笑顔で発表を聞きました。
記事後半ではMVP受賞の要因や、今シーズンの大谷選手の成績などもお伝えしています。
【NHKプラスで配信中】
大谷翔平 MVP受賞 発表前後で何を語った?【一問一答】
3回目の満票での受賞 最多記録を更新
大リーグのMVPはレギュラーシーズンにナショナルリーグとアメリカンリーグでそれぞれ最も活躍した選手に贈られ、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれます。
今シーズンの受賞者の発表は21日、現地のテレビ番組で行われ、今シーズン、ドジャースでともにプレーし、2014年にMVPを獲得しているクレイトン・カーショー投手が今シーズンのナショナルリーグのMVPとして大谷選手の名前を読み上げました。
大谷選手のMVP受賞はリーグをまたいで2年連続3回目で、指名打者に専念した選手としては大リーグ初、両リーグでの受賞は2人目の快挙となりました。
大谷選手は投票した30人の記者全員が1位票を入れる満票での受賞で、初めてMVPを受賞した2021年、そして昨シーズンに続いて3回目の満票での受賞となり自身が持つ最多記録を更新しました。
ドジャースに移籍して1年目の大谷選手は今シーズン、右ひじの手術の影響で指名打者としてバッターに専念し打率3割1分、ホームラン54本、130打点、59盗塁といずれも自己最高の成績でホームラン王と打点王の二冠に輝きました。
また、大リーグで初めてホームラン50本、50盗塁の「50-50」も達成し、記録ずくめのシーズンを指名打者に専念した選手として初めてのMVPという快挙で締めくくりました。
2位はメッツのフランシスコ・リンドー選手、3位はダイヤモンドバックスのケテル・マーテイ選手でした。一方、アメリカンリーグのMVPは両リーグトップの58本のホームランを打ったヤンキースのアーロン・ジャッジ選手がこちらも満票で受賞しました。
- 注目
受賞の瞬間 妻の真美子さんとデコピンとともに
受賞が決まった瞬間、大谷選手はソファーに座って妻の真美子さんと愛犬のデコピンとともに笑顔で発表を聞きました。
ただ発表のあと、すぐにデコピンがソファーから逃げ出し画面から姿を消したため大谷選手と真美子さんは驚いた表情を見せましたが、その後、2人でグータッチをして受賞を喜んでいました。
受賞のあと大谷選手は「本当にドジャースの一員として代表してもらったと思っているので、みんなでつかみとったものだと思っている。MVPをとりたいなと思ってシーズンに入ったわけではないので、新しいチームで早くファンやチームメートに認められたいなという思いで特に前半戦はそういう感じでやっていた」と話しました。
そのうえで、ピッチャーとしての復帰を目指している来シーズンに向けて、司会者から「来年はサイ・ヤング賞をねらうのか」と尋ねられると「そうなれたらもちろん最高だし、まずは復帰して、もう1回さらに強くなったパフォーマンスを出して自信を持ってマウンドに上がりたい。来年も引き続きチームみんなで頑張りたいなと思います」と笑顔で答えていました。
大谷翔平「盗塁は強化しているポイントだった」
大谷選手は受賞を発表した番組に同じく最終候補に入ったメッツのリンドー選手とともにオンラインで出演しました。
大谷選手は受賞前のインタビューで「50-50」を開幕前から目標にしていたのかと問われ「目標の数字みたいなものはなかったが、盗塁は強化しているポイントだったので増やしたいなと思っていた」と答えました。
また、ベッツ選手の骨折によってシーズン途中に打順が2番から1番に変わったことについては「シーズンの途中から1番になったが、どの打順でも基本的には変わらずに過ごしたいと思っていた」と話していました。
「指名打者」のみで最終候補 大谷選手を除くと過去5人だけ
過去に大リーグで、ポジションが「指名打者」のみでMVPの最終候補に残ったのは、大谷選手を除くと5人だけです。
▽1993年 ポール・モリターさん(ブルージェイズ)
▽1995年 エドガー・マルティネスさん(マリナーズ)
▽2000年 フランク・トーマスさん(ホワイトソックス)
▽2005年・06年 デビッド・オルティーズさん(レッドソックス)
▽2014年 ビクター・マルティネスさん(タイガース)です。
いずれも大リーグ屈指の強打者ですが、MVP受賞に届かなかった理由の1つに、主に指名打者だったため守備につかないことがあげられます。
大リーグでは近年、選手を総合的に評価する指標として「WAR」(ウォー)という数字が広く用いられていて、MVPを選ぶ際に、投票する記者の参考にもなっています。打撃と守備、走塁、投球を総合的に評価するもので、平均的な選手に比べてどれだけ勝利を上積みできたかというチームへの貢献度を示します。
データ会社によって計算方法が違いますが、多く用いられているものの1つ、「Baseball Reference」が算出する「WAR」だと、平均的なレギュラー選手で2.0以上、オールスターゲームに選ばれるクラスの選手が5.0以上、8.0を超えるとMVP級とされています。
守備位置ごとに数字に補正がかけられ、指名打者は守備ではマイナスの補正がかかるため、数字が上がりにくい傾向にあります。
指名打者として最終候補に残った5人のうち、最もMVP受賞に近づいたのは2005年のオルティーズさんで、このシーズンは打率3割、ホームラン47本、148打点の成績を残して11票の1位票を獲得し、MVPを獲得したヤンキースのアレックス・ロドリゲスさんとはわずか5票差でした。
バッティングでは、ロドリゲスさんに遜色のない成績を残したものの、「WAR」は、この年、サードを守ったロドリゲスさんが9.4だったのに対してオルティーズさんは5.2と大きな差がありました。
一方で、今シーズンの大谷選手は指名打者に専念したにも関わらず「WAR」は9.2で、大リーグではヤンキースでセンターを守るジャッジ選手の10.8、ロイヤルズのショート、ウィットJr.選手の9.4に次ぐ3番目で、ナショナルリーグではトップでした。
ナショナルリーグのMVP投票で2位だったメッツのリンドー選手が7.0、3位だったダイヤモンドバックスのマーテイ選手は6.8となっていて、チームへの貢献度でも大谷選手が圧倒したことがわかります。
今シーズンの大谷選手はホームラン王と打点王の2冠を獲得するなど多くの打撃成績で自己最高の成績を残したことに加え、リーグ2位の盗塁59個もマークし、これまで指名打者として最終候補に入った5人に比べて、盗塁の数が突出しています。
走塁によって守備につかないマイナスを補い、勝利に貢献する数字を残した大谷選手は「指名打者はMVPになれない」というこれまでの大リーグの常識を覆しました。
大リーグのMVPとは
大リーグのMVPは、レギュラーシーズンにナショナルリーグとアメリカンリーグで最も活躍した選手にそれぞれ贈られる賞で、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれます。
大リーグ機構は1931年からMVPを公式記録として認定していますが、前身の表彰は1911年に始まっていて、大リーグで最も歴史のある個人タイトルとも言われます。
1956年に最優秀投手賞にあたるサイ・ヤング賞の表彰が始まってからはMVPは主に野手が受賞するようになり、ピッチャーのMVP受賞は近年では2014年に21勝をあげ防御率1.77をマークしたドジャースのカーショー投手など傑出した成績を残した場合に限られています。
投票するのは球団がある両リーグそれぞれ15の都市の記者2人ずつで、投票はレギュラーシーズン終了直後に締め切られるためポストシーズンの成績は考慮されません。
投票ではMVPにふさわしい選手として上位10人を記入し、1位に14ポイント、2位に9ポイントが与えられ、3位以下は1ポイントずつ減っていき、10位が1ポイントとなっています。
最も多いポイントを得た選手がMVPに選出され、どの記者が誰に投票したか内訳もすべて公表されます。
MVP最多受賞はバリー・ボンズさんの7回
大リーグでこれまで最も多くMVPを受賞したのは、通算ホームラン762本の大リーグ記録を持つバリー・ボンズさんの7回となっています。
次いで多いのは3回で、ヤンキースで活躍した▽ジョー・ディマジオや▽ミッキー・マントルといった歴史を彩るスター選手に加え、▽アレックス・ロドリゲスさんや▽アルバート・プーホールズさんなど、今回の大谷選手を含めて11人にのぼります。
現役では、エンジェルスのマイク・トラウト選手と大谷選手の2人がともに3回受賞していて、今後、大谷選手がボンズさんの記録にどこまで迫れるか期待がかかります。
【MVP受賞回数】
◆7回
▽バリー・ボンズ
◆3回
▽ヨギ・ベラ
▽ロイ・キャンパネラ
▽ジョー・ディマジオ
▽ジミー・フォックス
▽ミッキー・マントル
▽スタン・ミュージアル
▽アルバート・プーホールズ
▽アレックス・ロドリゲス
▽マイク・シュミット
▽マイク・トラウト
▽大谷翔平
《大谷翔平 今シーズン成績》
大谷翔平 HR・打点の2冠 打率は2位
大谷選手は打率がパドレスのアラエズ選手に4厘届かず「三冠王」は逃したものの、ホームラン、打点の2部門でリーグトップとなりました。
【ホームラン】
ナショナルリーグのドジャースに今シーズンから移籍した大谷選手は、ホームラン54本をマークし、2位のブレーブスのオズーナ選手に15本の差をつけてホームラン王のタイトルを獲得しました。
大谷選手のホームラン王はアメリカンリーグのエンジェルスに所属した昨シーズンに続き2年連続で、両リーグでの受賞はマーク・マグワイアさん以来、大リーグ史上4人目です。
【打点】
「130」をマークした打点も2位のブルワーズのアダーメス選手に「18」の差をつけて日本選手で初めて打点王に輝きました。
【打率】
首位打者はパドレスのアラエズ選手が3割1分4厘で獲得し、3割1分だった大谷選手は2位となりました。
【盗塁】
盗塁は59個で、67個のレッズのデラクルーズ選手に次いで、こちらも2位となりました。
このほか
▽134得点や
▽出塁率3割9分
▽出塁率と長打率を足したOPS1.036など、
多くの成績でリーグトップとなり、去年右ひじの手術を受けた影響でバッターに専念したことしは記録的なシーズンとなりました。
2024年シーズン成績まとめ
▽出場 159試合(自己最多、チーム最多)
▽打率 3割1分(リーグ2位、自己最高)
▽ホームラン 54本(リーグ1位、自己最多、ドジャース球団新記録)
▽打点 130(リーグ1位、自己最多)
※松井秀喜さんの持つシーズン116打点の日本選手最多記録を更新。
▽盗塁 59(リーグ2位、自己最多)
※36回連続成功でシーズン終了し、成功率93.6%。
※イチローさんの持つシーズン56盗塁の日本選手最多記録を更新。
▽得点 134(リーグ1位、自己最多)
※イチローさんの持つシーズン127得点の日本選手最多記録を更新。
▽安打 197(リーグ2位、自己最多)
▽OPS(出塁率+長打率) 1.036(リーグ1位)
歴史に残る記録も数多く達成
さらに、今シーズンの大谷選手は歴史に残る記録も数多く達成しました。
・通算ホームラン 225本(日本選手・アジア出身選手最多)
4月21日、本拠地でのメッツ戦で打った今シーズン5号が大リーグ通算176本目のホームランとなり、松井さんが持つ日本選手の最多記録を更新しました。その後、シーズン終盤には韓国出身のチュ・シンスさんが持っていたアジア出身選手の最多記録、218本も更新しました。
・ホームラン40本、40盗塁の「40-40」(大リーグ史上6人目)
8月23日、本拠地でのレイズ戦でホームラン1本、盗塁1つを記録して到達しました。最後は自身初のサヨナラ満塁ホームランで達成するという劇的な展開でした。
・ホームラン50本、50盗塁の「50-50」(大リーグ史上初)
9月19日、マイアミで行われたマーリンズ戦で6打数6安打10打点、ホームラン3本、2盗塁という驚異的な活躍で達成しました。「40-40」の達成からわずか3週間ほど、右ひじの手術を受けてからちょうど1年となる日に、WBC=ワールド・ベースボール・クラシックで優勝を果たした思い出の球場で新たな歴史を刻みました。
・打率3割、ホームラン30本、30盗塁のトリプルスリー(日本選手初)
シーズン最終戦で打率3割以上を確定させ、大リーグの日本選手では初めてトリプルスリーを達成しました。「50-50」を達成した19日以降は最終戦までの10試合で43打数27安打の打率6割2分8厘と驚異のペースで最終的には自己最高の打率3割1分まで上げました。
今シーズンの受賞一覧
バッターとして圧倒的な成績を残した大谷選手は今シーズン、MVP以外にも多くの賞を獲得しました。
▽リーグで最も優れたバッターに贈られる「ハンク・アーロン賞」を2年連続で受賞し、大リーグで初めて両リーグでの受賞となりました。
▽大リーグで最も活躍した指名打者に贈られる「エドガー・マルティネス賞」を4年連続受賞
▽ポジションごとにリーグで最も優れたバッターに贈られる「シルバースラッガー賞」は、指名打者部門で2年連続、3回目の受賞となりました。
▽今シーズンの「ベストナイン」にあたる「オールMLB」でも指名打者部門で3回目のファーストチームに選ばれています。
ア・リーグMVPはヤンキースのアーロン・ジャッジ
アメリカンリーグのMVPはホームラン58本、144打点で2冠に輝いたヤンキースのアーロン・ジャッジ選手がこちらも満票で受賞しました。32歳のジャッジ選手がMVPを受賞するのはおととし以来、2年ぶり2回目です。
ジャッジ選手は投票した30人全員が1位票を投じる満票での受賞で、ヤンキースでは1956年のミッキー・マントル以来、2人目の満票となりました。
2位は30人全員から2位票を集めたロイヤルズのボビー・ウィットJr.選手で合計270ポイント、3位はヤンキースのホアン・ソト選手で合計229ポイントでした。
24歳のウィットJr.選手は今シーズン打率3割3分2厘、ホームラン32本、31盗塁でトリプルスリーを達成し、首位打者や最多安打のタイトルを獲得しました。
26歳のソト選手はリーグ3位のホームラン41本をマークし、出塁率と長打率を合わせたOPSは0.988で、ジャッジ選手の1.159に次ぐリーグ2位でした。
日本時間22日午前8時からの現地放送局の番組内で発表
大リーグのレギュラーシーズンで最も活躍した選手に贈られるMVPは、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票で、ナショナルリーグとアメリカンリーグで1人ずつ選ばれます。
投票はレギュラーシーズンの終了直前に終わっていて、ナショナルリーグは大谷選手のほか、メッツのフランシスコ・リンドー選手、それにダイヤモンドバックスのケテル・マーテイ選手が最終候補の3人に残っています。
ドジャースに移籍して1年目の大谷選手は今シーズン、右ひじの手術の影響でバッターに専念し、打率3割1分、ホームラン54本、130打点、59盗塁と、いずれも自己最高の成績でホームラン王と打点王の2冠に輝きました。
また、大リーグで初めてホームラン50本、50盗塁の「50-50」も達成しました。
大谷選手は今シーズンの大リーグの選手間投票でナショナルリーグの野手部門の最優秀選手に選ばれているほか、最も優れたバッターに贈られる「ハンク・アーロン賞」や打撃のベストナインと言われる「シルバースラッガー賞」なども受賞し、シーズンMVPでも最有力候補と見られています。
大谷選手が受賞すれば昨シーズンに続いて2年連続3回目で、指名打者に専念した選手の受賞は大リーグで初めてとなります。
また、投票した記者30人全員が1位票を入れる「満票」での選出となれば、自身が持つ最多記録を更新することになります。
ナ・リーグの最終候補者は大谷選手含め3人
ナショナルリーグのMVPの最終候補に大谷選手とともに選ばれているのは、メッツのフランシスコ・リンドー選手とダイヤモンドバックスのケテル・マーテイ選手です。
【リンドー(メッツ)】
リンドー選手はプエルトリコ出身の31歳で2015年に大リーグデビューし、2021年からメッツでプレーしています。スイッチヒッターで主に1番バッターを務め、今シーズンは打率2割7分3厘、ホームラン33本、91打点、29盗塁をマークしました。守備位置はショートで、高い身体能力を生かした守備力でも高い評価を得ています。
【マーテイ(ダイヤモンドバックス)】
31歳のマーテイ選手はドミニカ共和国出身で、守備位置はセカンドです。2015年にマリナーズでデビューし、2017年にダイヤモンドバックスに移籍しました。スイッチヒッターで、今シーズンはけがの影響で136試合の出場にとどまりましたが打率2割9分2厘、ホームラン36本、95打点をマークしました。バッターを評価する指標として重視される長打率と出塁率を足した「OPS」は0.932で、1.036でトップの大谷選手に次いでリーグ2位でした。