おととし10月、静岡県小山町の富士山の5合目から下る県道で、日帰りツアーの乗客と乗員、36人が乗った観光バスがカーブを曲がりきれずに横転し、乗客1人が死亡、28人が重軽傷を負った事故について国が委託した自動車事故調査委員会が報告書を公表しました。
それによりますと、運転手がエンジンブレーキがききにくい高いギアに入れた状態でフットブレーキを繰り返し使ったことでブレーキがきかなくなる「フェード現象」が起き、事故に至ったと指摘しています。
フットブレーキを繰り返し使ったことについては、エンジンブレーキより揺れが少なく乗客の乗り心地がいいと考えたことや、どの程度の連続使用でブレーキがきかなくなるかを認識していなかったことが理由だとしています。
そして、フットブレーキがきかなくなったあとは、急な下り坂による加速と連続するカーブへのハンドル操作におわれ、エンジンブレーキを使うための操作ができなかったとしています。
事故が起きた際の速度はおよそ93キロだったということです。
また、出発の前、今回の山道を初めて運行する運転手が指示を求めたものの、運行管理者の指示が的確でなかったことなどを挙げ、会社と運行管理者の指導や指示が適切に行われていなかったことが事故の背景にあると指摘しています。
静岡 観光バス事故 繰り返しのフットブレーキが事故誘発か
おととし富士山の静岡県側を下る道路で観光バスが横転して29人が死傷した事故について調査委員会が報告書をまとめ、運転手が、揺れが少なく乗客の乗り心地がいいと考えてフットブレーキを繰り返し使った結果、ブレーキがきかなくなって事故に至ったと指摘しました。