NTT法をめぐって、総務省の審議会の作業部会は電話の全国一律サービスについて引き続き固定電話を対象とすることが適当だとしたうえで携帯電話網を活用した固定電話もサービスに含め、現在、NTTに義務づけている全国一律サービスの担い手の条件を見直すべきだなどとする報告書をまとめました。
NTT法見直し 報告書めぐり通信各社にヒアリング
NTT法について議論している総務省の作業部会が携帯電話網を活用した固定電話も電話の全国一律サービスに含めたうえで、現在、NTTに義務づけている担い手の条件を見直すべきだとする報告書をまとめたことなどについて、通信大手4社へのヒアリングが行われました。
29日の審議会では、NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社へのヒアリングが行われ、NTTの島田明社長は見直しの方向性に賛同するとしたうえで「持続可能な仕組みとなるよう整備費と維持費について、しっかりとした補填(ほてん)の仕組みを検討してもらいたい」と述べました。
また、ほかの会社からは、NTTの通信インフラの資産の外資への売却について規制の強化が必要だとする意見や、NTT法の廃止に反対する考えが改めて示されました。
総務省の審議会は報告書や今回のヒアリングなどを踏まえ、答申をまとめることにしています。
NTT島田社長「代替手段のカバーに整理ついた 非常によい結論」
ヒアリングのあと、NTTの島田明社長は記者団に対し「固定電話は2035年ごろに設備の限界となる。今回、モバイル網を利用した固定電話などで代替し、モバイル事業者も含め複数の事業者でカバーして最終的に誰もやらないところはNTT東日本と西日本が最終保障をすることになった。従来より明らかにコスト効率がよく、現状の国民負担と同じ程度のコストで代替手段をカバーできる整理がついたことは非常によい結論だ」と述べました。
一方、ほかの3社がNTT法の維持・強化が必要だと主張していることについては「強化する必要はないと当然私どもは思っている。全国一律のユニバーサルサービスや経済安全保障などいろんな課題を解決して、通信産業として何が望ましいかという議論をしっかりやることで結論が出ると思う」と述べました。
通信大手3社のトップはヒアリングのあと記者団の取材に応じました。
KDDI高橋社長「作業部会が非常にいい形でまとめた」
この中でKDDIの高橋誠社長は「NTTへの規制強化の方向と緩和の方向があるが、特に公正競争の分野で、NTT東西の線路敷設基盤の譲渡・処分を認可の対象とすることや支配的な事業者であるNTT東西・ドコモとNTTグループの合併審査の強化という話が出た。このあたりはわれわれも望んできたので、そういう意味では作業部会が非常にいい形でまとめていただいたと思う」と述べました。
ソフトバンク宮川社長「落ち着くところに落ち着いてきた」
ソフトバンクの宮川潤一社長は「通信は相当変化しているので、それを見直す機会としてNTT法の議論は面白い時期だったと思う。われわれは光ファイバーこそユニバーサルサービスにすべきだという主張をして、それも取り入れていただいた。スタートはいろんな意見のぶつかり合いから始まったが、日本の通信のために落ち着くところに落ち着いてきたと思う」と述べました。
楽天モバイル三木谷会長「これからの詳細な議論が特に重要」
楽天モバイルの三木谷浩史会長は「今回はいい方向性になると思うが、これからの詳細な議論が特に重要だ。圧倒的な力を持つNTTグループに対して公正な競争を担保していく中で、どういう事業をやっていいのかいけないのかということが、委員の中でも少し議論が足りないという意見もあり、注意していきたい」と述べました。