“マスク氏 プーチン大統領と定期的に連絡取り合う” 米報道

アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、実業家のイーロン・マスク氏が2022年後半からロシアのプーチン大統領と定期的に連絡を取り合っていると報じ、バイデン政権にとって安全保障上の懸念となるおそれがあると伝えました。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事では、複数の欧米とロシアの政府関係者などの話として、イーロン・マスク氏が2022年後半からロシアのプーチン大統領と定期的に連絡をとっていて、やりとりの内容は個人的な話題からビジネス、地政学的な緊張などに及んでいると報じています。

プーチン大統領が、中国の習近平国家主席のために、マスク氏が率いる会社が開発した衛星通信網の「スターリンク」のサービスを台湾に提供しないよう求めたこともあったということです。

報道についてマスク氏はコメントしていないほか、ロシア大統領府のペスコフ報道官は過去に1度、2人は電話で会話をしたことがあるだけで、連絡を取り合っていないと否定したと伝えています。

記事では、共和党の大統領候補のトランプ前大統領に近いマスク氏とプーチン大統領とのやりとりは、大統領選挙でトランプ氏が勝利した場合、両国の対話の再開につながる可能性がある一方、バイデン政権にとって潜在的な安全保障上の懸念となるおそれがあるとしています。

ロシアとの関係をめぐっては、トランプ氏もプーチン大統領と親密な関係を築いていたと、今月出版されたジャーナリストの著書で報じられたばかりです。

NASA長官「調査が必要」

実業家のイーロン・マスク氏がロシアのプーチン大統領と定期的に連絡を取り合っていると「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報じたことについて、マスク氏が率いるアメリカの宇宙開発企業スペースXと多数の契約を結んでいるNASA=アメリカ航空宇宙局のネルソン長官は25日、ワシントンで開かれたイベントで「その話が真実なのかわからない。調査が必要だと思う」とコメントしました。

そのうえで「マスク氏とロシアの大統領が複数回連絡を取っていたという話が本当なら、NASAや国防総省、それに情報機関にとって懸念すべきことだ」と述べました。

マスク氏が率いるスペースXは、自社のロケットを使って安全保障に欠かせない人工衛星の打ち上げを行っているほか、国際宇宙ステーションへの人や物資の輸送、それにアメリカが主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」で、月面に着陸することを想定した大型宇宙船の開発を進めるなど、アメリカの宇宙開発事業や安全保障政策に深く関わっています。

こうしたことから、「ウォール・ストリート・ジャーナル」はマスク氏自身もアメリカ政府の特定の機密情報に触れる権限があると報じています。