「宇宙太陽光発電」実現へ 京都大学で送電実験

宇宙空間で太陽光によって発電した電気を、電波に変換して地上に送るためのシステムの実現に向けて、京都大学の施設で送電実験が行われました。

「宇宙太陽光発電」は、高度3万6000キロの宇宙空間に静止させた太陽光パネルで発電を行い、電気を電波に変換して地上に送る構想で、2045年以降の実用化が目指されています。

宇宙空間では天候や昼夜の影響を受けないため、安定的な発電が見込まれるとされ、欧米や中国などでも研究が進められています。

17日は、京都大学宇治キャンパスの施設で、電気をマイクロ波に変換して送電する実験が行われ、国からの委託でこの構想を進めている「宇宙システム開発利用推進機構」の担当者や大学の研究者など10人が参加しました。

およそ70センチ四方の送電装置

実験では、およそ70センチ四方の送電装置からマイクロ波を狙った場所に照射できるかの検証が行われ、モニターには、正確な照射が成功していることを示す表示が出されていました。

今後はことし12月に高度7000メートルほどを飛ぶ航空機から地上へ送電する実験を行ったあと、2025年をめどに、小型の人工衛星からの送電実験を行うことにしています。

「宇宙システム開発利用推進機構」の柳川祐輝プロジェクトマネージャーは「宇宙太陽光発電は、災害が起きた際の非常時の供給源としても活用が期待されている。1990年代ごろから開発を進め、ようやく目に見える形になってきており、ことしの飛行試験、来年以降の宇宙からの実証実験を成功させたい」と話していました。