自民党は9日午前、石破総理大臣や菅副総裁、森山幹事長らが出席して、選挙対策本部の会合を開きました。
冒頭、石破総理大臣は「本日、衆議院を解散する。私どもがこの選挙を勝つことが日本国のためであるという確信のもと、有権者に真摯に向き合い、誠実にこの選挙をたたかっていく。すべての同志が勝ち残ってもらえるよう全身全霊でこの選挙に臨む」と述べました。
そして、衆議院選挙の第1次公認候補として小選挙区と比例代表のあわせて279人を決定しました。
このあと、森山幹事長は記者団に対し、政治資金収支報告書に収入を記載していなかった議員など12人を公認しないと発表しました。
【一覧】自民 不記載議員12人を衆院選で非公認 執行部に不服も
衆議院選挙に向けて、自民党は、政治資金収支報告書に不記載があった議員などあわせて12人を公認しないと発表しました。
また、9日の会合では処分の有無にかかわらず、収支報告書に不記載があった議員は小選挙区と比例代表との重複立候補を認めないことも改めて確認しました。
森山氏は「今回の決定は、石破総裁から示された方針のもと、都道府県連の申請やそれぞれの選挙区の状況を吟味したうえで判断した」と述べました。
そのうえで「この厳しい決断のうえで、民主主義の根幹である選挙で、再び国民に信頼してもらうためすべての候補者が、有権者と真摯(しんし)に向き合って説明を尽くしてもらいたい」と述べました。
一方、9日の会合では、執行部の判断に不服を訴える意見も出ました。
【一覧】自民が非公認を決めた12人
今回、自民党が非公認を決めたのは次の12人です。
党から「党員資格停止」の処分を受けた
下村 元文部科学大臣
西村 元経済産業大臣
高木 元国会対策委員長
1年間の「党の役職停止」の処分が継続していて、政治倫理審査会で説明していない
萩生田 元政務調査会長
平沢 元復興大臣
三ツ林裕己 元内閣府副大臣
さらに、半年間の「党の役職停止」の処分を受け、その期間が終わった
菅家一郎 元復興副大臣
中根一幸 元外務副大臣
小田原潔 元外務副大臣
「戒告」の処分を受けた、
細田健一 元経済産業副大臣
処分は受けていないものの不記載があった
越智隆雄 元内閣府副大臣
元議員の今村洋史氏
菅家氏、中根氏、小田原氏、細田氏、越智氏、今村氏の6人は、地元での理解が十分に進んでいないと党が判断しました。
越智氏はすでに立候補しない意向を示しています。
また衆議院議員11人のうち下村氏ら10人は旧安倍派出身で、平沢氏は旧二階派出身です。
一方、収支報告書への不記載があった53人のうち32人が公認されました。
この中には1年間の「党の役職停止」の処分を受け、政治倫理審査会で説明した松野前官房長官と武田元総務大臣の2人も含まれています。
非公認の高木氏「反省の上に立って一から出直し」
非公認となった高木元国会対策委員長は、国会内で記者団に対し「党が決めたことなので重く受け止めて従うが、若い皆さんは非公認となり、大変厳しい選挙を余儀なくされるだろう。派閥の幹部だったものとして申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べました。
その上で「国民に政治不信を招いたことはしっかりおわびをしなくてはいけない。反省の上に立って一から出直し、初心にかえる気持ちで選挙戦を戦いたい」と述べました。
非公認の萩生田氏「無所属として戦いに挑む決意」
非公認となった自民党の萩生田・元政務調査会長は、旧ツイッターの「X」にある、みずからの事務所の公式アカウントにコメントを投稿しました。
「政治不信を招き、ご迷惑をおかけしたことを深く反省している。すべての修正を終え、党の処分も受け止め、やり直しの途中だったが、非公認という判断をいただいた。決定を真摯(しんし)に受け止めて、無所属として戦いに挑む決意だ」としています。
非公認の小田原氏「決定に従うとしか言いようがない」
非公認となった小田原潔・元外務副大臣は、国会内で記者団に対し「多少驚いたのは事実だが、党の決定は真摯(しんし)に受け止めたい。決定に従うとしか言いようがない」と述べました。
その上で「不名誉なことで国民や応援してくれた皆さんをがっかりさせたことは本当に申し訳なく思う。選挙戦そのものは全く今まで通り、実績や国のあり方、地域の発展などにどのように貢献するかを正々堂々と訴えて審判を仰ぎたい」と述べました。
非公認の細田氏「『いい加減にしろ』という気持ちもある」
非公認となった細田健一・元経済産業副大臣は、国会内で記者団に対し「びっくりしたし、全く予想していなかった。党から何ら説明がなく、どういう理由でこのような判断が下されたのかわからないので困惑している。勘弁してほしいし、『いい加減にしろ』という気持ちもある」と述べました。
その上で「『収支報告書を訂正すればいい』と捜査機関から指導され、一件落着した話だと思っていたが、もっと丁寧に説明しておけばよかったという反省はある。選挙に立候補するかどうかも含めて支援者とよく相談したい」と述べました。
旧安倍派 大塚氏「党のあり方としていかがなものか」
自民党旧安倍派の大塚拓氏は、選挙対策本部の会合に出席したあと記者団に対し「このようなやり方は自民党のあり方としていかがなものかという意見を申し上げた。これまでのやり方の見直しについて、いろいろとお願いした」と述べました。
立民 小川幹事長「本来は議員辞職・立候補辞退・公認辞退が筋」
立憲民主党の小川幹事長は記者団に対し「本来なら議員辞職や立候補の辞退、そして自ら公認を辞退することが筋ではないか。何の驚きも感動もいささかも心が動かない。国民も同様ではないか」と述べました。