東京市場は、先週27日の自民党総裁選挙で利上げに慎重な姿勢を示していた高市氏が決選投票に進んだ際に円安・株高となった反動や、石破新総裁の経済政策に対する警戒感から売り注文が膨らみ、全面安の展開となりました。
午後に入っても金融政策をめぐる思惑を背景に為替市場で1ドル=141円台まで円高ドル安が進んだことから、自動車などの輸出銘柄を中心に下げ幅が拡大して日経平均株価は一時、2000円以上の急落となり、終値でも過去5番目の下げ幅となりました。
▼日経平均株価、30日の終値は先週末より1910円1銭、安い、3万7919円55銭。
▼東証株価指数=トピックスは95.00、下がって2645.94。
▼1日の出来高は26億5万株でした。
市場関係者は「石破新総裁は金融緩和の傾向を維持すべきだという考えを示したものの、投資家の間では日銀が新総裁のもとで、利上げを早めるのではないかという見方も出て、円高につながった形だ。投資家は石破新総裁がどのような経済政策を打ち出すのかを慎重に見極めようとしている」と話しています。
株価 終値で1910円の値下がり 過去5番目の下げ幅
30日の東京株式市場は、自民党の石破新総裁の経済政策に対する警戒感などから全面安の展開となり、日経平均株価は一時、2000円以上急落しました。終値でも1910円の値下がりとなり、過去5番目の下げ幅となりました。
石破新総裁示す“金融所得課税”に関心
自民党の総裁選が行われた27日は、日銀による金融緩和の継続を訴えていた高市氏が決選投票に進むと、円相場は一時1ドル=146円台半ばまで円安が進みましたが、その後、石破氏が新総裁に選出されると、それまでの反動もあって一気に円高が進んだほか、日経平均先物は大きく下落しました。
その金融政策について、石破新総裁は総裁選のあと、「日銀と適切に連携しながら日銀が判断することだ」としながらも、「政府としては今の経済状況で金融の緩和傾向はなお維持していかなければならないと思う」と述べています。
日銀は経済・物価の状況をみながら段階的な利上げを目指すことにしていて、石破新総裁の姿勢が日銀の金融政策にどのような影響を与えるのか、市場は注目しています。
一方、株式の売却益などにかかる金融所得課税については、石破新総裁が以前言及したことがあることから投資家の間では仮に課税が強化された場合、収益に響きかねないとして、これまでのところは警戒感が先行する形となっています。
ただ、石破新総裁は「貯蓄から投資への加速をさらに進めたい」と繰り返し述べていて、今後どのような考え方を示すのかに注目が集まっています。
林官房長官「冷静に判断 経済財政運営に万全を期す」
林官房長官は、午前の記者会見で「政府としては冷静に判断していくことが重要だと考えている。引き続き、内外の経済・金融市場の動向などを緊張感を持って注視するとともに、日銀とも密接に連携しつつ経済財政運営に万全を期したい」と述べました。