自民 石破新総裁 人事検討に着手 総裁選候補を要職起用で調整

自民党総裁選挙は、決選投票の末、石破元幹事長が新たな総裁に決まりました。石破新総裁は、幹事長など党役員と閣僚の人事の検討に着手し、総裁選挙で争った議員を政府や党の要職で起用する方向で調整しています。

記事後半では政治部の担当記者の今後の見通しについての解説もお伝えしています。

自民党総裁選挙は、27日に投開票が行われ、1回目の投票では決着がつかず、石破元幹事長と高市経済安全保障担当大臣の決選投票の末、石破氏が新しい総裁に選出されました。

石破新総裁は、新政権の発足を前に、党の役員と閣僚の人事の検討に入り、できるだけ早く幹事長や官房長官といった骨格を固めたい考えです。

総裁選挙で争った議員については27日の記者会見で「それぞれの最もふさわしい役職にお願いすることは当然だ」と述べていて、政府や党の要職で起用する方向で調整しています。

また、ほとんどの派閥が解散を決めていることを受けて「『どの派閥から何人』という起用は考えることはない」と述べていて、どのように挙党態勢を構築するかも焦点となります。

石破氏は、この週末に党の役員の顔ぶれを決めた上で、30日に新執行部を発足させることにしています。

続いて、10月1日に召集される臨時国会の冒頭に行われる総理大臣指名選挙を経て、第102代の総理大臣に就任し、新内閣が発足する運びです。

一方、石破氏は、新内閣発足後に、与野党による国会論戦を経た上で、できるだけ早く衆議院の解散・総選挙に踏み切りたいとしています。

これを踏まえ、自民党は27日、全国の都道府県連に対し、10月7日までに公認候補予定者を党本部に申請するよう通達を出しました。

石破氏としては、新政権に対する世論の評価なども見極めながら、解散のタイミングを探るものとみられます。

【解説】石破新総裁 人事は?解散・総選挙の見通しは?

Q.石破さんが新総裁になったことで、今後の人事は、総裁選挙で争った顔ぶれを含め、どうなるんでしょうか?

政治部・奥住憲史記者
「石破さんは現時点で具体的な人事の内容を明らかにしていません。ポイントになるのは、政府と党のそれぞれの要となる官房長官と幹事長で、誰を充てるかによって、政権運営の姿勢が見えてくると思います。また、総裁選挙で争った議員については政府や党の要職で起用する方向で調整していて、とりわけ決選投票で僅差で敗れた高市さんの処遇が焦点となります。高市さんを支持した議員からは『よいポストが用意されなければ、党が割れることになる』という声も聞かれます。今回の人事は、政治とカネの問題を受けた信頼回復に向けた『刷新』と、党内基盤が強くない石破さんにとって『安定』を両立することが求められるだけに、総裁としての手腕が早速、問われることになります」

Q.今後の衆議院の解散・総選挙の見通しはいかがでしょうか?

「石破さんは、新政権が発足する以上、なるべく早く国民の信を問いたいとしています。そして、信を問うための判断材料も必要だとしていて、与野党による国会論戦を行う考えを示しています。このため、10月1日に召集される臨時国会では、総理大臣に就任したあと4日にも所信表明演説に臨み、衆参両院で、これに対する各党の代表質問が行われる見通しです。代表質問に続き、予算委員会での質疑や党首討論を行うかどうかについて自民党の国会対策委員長が決まったあと、与野党の間で協議が行われることが想定されます。石破さんとしては、人事や国会論戦を行った上で、新たな政権に対する世論の反応や支持率なども見極めながら、解散のタイミングを探るものとみられます」