大社高校 応援のトランペット話題に 寄付も広がる

夏の全国高校野球大会12日目、第4試合は島根の大社高校と鹿児島の神村学園が対戦します。

2試合連続で延長タイブレークの接戦を制した大社は、SNSでも「寄付した」という投稿が相次ぐなど話題になっています。

神村学園も不動の4番、正林輝大選手らに注目が集まっています。

第4試合 見どころは

大社は2試合連続で延長タイブレークの接戦を制し、粘り強い戦いぶりで93年ぶりのベスト8進出を果たしました。

左投げのエース、馬庭優太投手が今大会30イニングを1人で投げ抜いて防御率0点台とチームをけん引していますが、すでに400球以上を投げていて、回復具合と起用法が鍵となりそうです。

勝てば杵築中学として出場した1917年の第3回大会以来、107年ぶりのベスト4進出となります。

神村学園は2年連続のベスト4がかかります。

3試合連続でタイムリーヒットを打っている上川床勇希選手など去年のベスト4を経験した力のあるバッターが並び、3試合で19得点と好投手を攻略して得点を奪ってきました。

ことしのセンバツでホームランを打った不動の4番・正林輝大選手にも3回戦で今大会の初ヒットが出ていて、主軸が状態が上げられればさらに打線が勢いづきそうです。

アルプススタンドの応援 トランペットが話題に

大社のアルプススタンドの応援について、SNSでは「トランペット上手すぎる」などと話題になっています。

選手の応援歌の「サウスポー」や「紅」などは高音のトランペットの音色が球場に響き渡り、球場で撮影された動画などが投稿されています。

この演奏の中心となっているのは大社の吹奏楽部OBでプロのトランペット奏者の坂口雄磨さんです。

17日 早稲田実業戦

坂口さんによると、11日に行われた兵庫の報徳学園との1回戦が吹奏楽部の島根県大会と重なったため、顧問と相談してOBなど24人が集まり甲子園のスタンドで演奏したということです。

また2回戦以降は現役の吹奏楽部をサポートして、OBOGの合同バンドとして応援の演奏を続けていて、毎回、島根から日帰りで駆けつけているということです。

19日の神村学園との試合にも19日朝、島根県をバスで出発し、応援の演奏に駆けつけました。

8/19 アルプスで演奏する坂口さん

坂口さんは「反響が大きくびっくりしています。甲子園で応援してみたいという願いがあったので、連れてきてもらえただけで選手たちには感謝しています。音楽がどれだけ効果があるかは未知数ですが、少しでも力になったらと思って演奏します」と話していました。

大社 きょうのアルプスは

大社のアルプススタンドには、生徒や保護者などおよそ2800人が準々決勝の応援に駆けつけました。

吹奏楽部の演奏には現役部員およそ30人に卒業生およそ20人が加わって厚みのある音色を球場全体に届けています。

坂口さんは「選手と一緒に戦っている感覚です。試合後には、いつも感動で涙があふれてきます」と話していました。

また、大社の卒業生で、藤江龍之介選手の祖母、山根ユリさんは「ことばで表せないほど孫の活躍がうれしいです。きょうもふだん通りのプレーをしてほしいと思います」と話していました。

神村学園 きょうのアルプスは

神村学園のアルプススタンドには、生徒や保護者などおよそ700人が準々決勝の応援に駆けつけました。

吹奏楽部はドラムや楽器で音を奏で、チャンステーマの「ジンギスカン」を演奏したり、2回表に同点に追いつくと得点のマーチ、「オー・シャンゼリゼ」を演奏し、音楽に合わせて野球部員などが肩を組んで喜んでいました。

吹奏楽部の部長の白濱紗英さんは「スタンドの一体感を生み出すような音を奏でたいです。神村学園のカラーの赤色のように、熱い応援をしたいです」と話していました。

また、卒業生で滋賀県の20代の女性は「相手の応援に負けないよう全力で声を出して応援したいです。去年の夏に続けて勝ち進んでいるので、このまま頑張ってほしい」と話していました。

SNSには大社への寄付の投稿相次ぐ

快進撃が続く大社高校を支援しようと、SNSでは高校に寄付をしたという報告とともに応援のメッセージが相次いで投稿されています。

島根県出雲市にある県立の大社高校は、甲子園にいる野球部員たちの滞在費用や、生徒たちが甲子園に応援に駆けつける交通費に充てるため、特設のホームページをつくって寄付を呼びかけています。

17日に早稲田実業に勝利し、93年ぶりのベスト8進出を決めるとSNSには、寄付を行った報告とともに、応援のメッセージを入れた投稿が相次ぎました。

「お父さんと一緒に大社高校に行って寄付してきました。大社高校がんばれー」

「準々決勝での勝利を祈って寄付を行ってきた。頑張れ!大社高校野球部!目指せベスト4!」

応援の輪は広がっていて、県外から寄付をしたという人の投稿も見られました。

「島根県に縁がある訳でもありませんが、頑張りとスーパープレーに心打たれました」

大社の黒崎孝治教頭は「勝ち上がるたびに反響が大きくなって、高校のOBだけではなく県外の方からも支援していただいて大変驚いていますし、ありがたいという思いです。選手にも大きな力になっていると思います」と話していました。

神村学園 正林「いい感覚で打てる気がします」

2年連続でベスト8に進んだ鹿児島の神村学園の選手たちは、18日午後3時から兵庫県西宮市のグラウンドで2時間ほど調整しました。

選手の多くはバッティング練習を中心に行い、大社の左投げのエース、馬庭優太投手を想定して、左投げのバッティングピッチャーやマシンの球を打ち込んでいました。

17日の3回戦で今大会の初ヒットが出た4番の正林輝大選手も外野に鋭い打球を次々と飛ばしていて、調子を上げてきたことをうかがわせました。

一方、エースの今村拓未投手や2年生の早瀬朔投手は、ブルペンには入らず、ボールを投げるトレーニングや走り込みをするなど軽めの調整で汗を流しました。

17日 岡山学芸館戦 正林選手

正林選手は「練習をして状態は上がってきていていい感覚で打てる気がします。チームが苦しいときに1本打てるように頑張りたいです」と話していました。

小田大介監督は「大社は粘り強く、気持ちの強いチームなので厳しいゲームになると思う。相手は球場のムードを味方につける試合も多かったが、それに飲まれず、心穏やかに1つ1つのアウトをとっていきたい」と話していました。