小林製薬「紅麹」最初の症例報告から自主回収発表まで2か月余

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題では、最初の症例の報告から自主回収の発表までに2か月余りかかっていて、会社は自主回収とともに健康被害の実態把握を急いでいます。

小林製薬は「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことから、この成分を含む3種類の健康食品の自主回収を進めています。

会社によりますと、対象の食品を摂取した人や診察した医師から最初に健康被害が疑われる報告があったのは、ことし1月15日でしたが、会社が自主回収を発表したのは今月22日で、最初の報告から発表までには2か月余りかかっています。

これについて、会社は最初の報告の時点では「健康食品が原因となった可能性がある」とはわからず、調査に時間がかかったとしています。

会社によりますと、これまでに対象の商品を摂取し、体調不良を訴えて入院したと確認されたのは26人となっています。

相談電話には、多くの問い合わせが寄せられているということで、会社では健康被害の実態把握を急いでいます。

この問題では、会社が自主回収を進めている健康食品に使用しているものと同じ紅麹原料が、子会社を通じて取引先に販売され、食品などに使われたことが分かっていて、食品メーカーなどが自主回収する動きが相次いでいます。

武見厚労相 “発表までに2か月余 遺憾と言わざるをえない”

武見厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し、最初の症例報告から自主回収の発表までに2か月余りかかり、その間、行政への情報提供もなかったことについて「遺憾と言わざるをえない」と述べました。

そのうえで、「全国の自治体に対し、健康被害情報があれば報告するよう依頼するとともに、厚生労働省のホームページで回収などについての情報提供を開始した。大阪市などと緊密に連携し、原因の究明や適切な自主回収の実施など、健康被害の拡大防止を図っていく」と述べました。

林官房長官 ”一日も早い回復をお祈り申し上げる”

林官房長官は26日午後の記者会見で「亡くなった方とご遺族にお悔やみ申し上げるとともに、健康被害を受けた方の一日も早い回復をお祈り申し上げる」と述べました。

また、新たにおよそ50件の入院情報があると報じられているものの、厚生労働省には報告されていないと明らかにしたうえで「保健所などへの報告や公表までに2か月余りを要したことは誠に遺憾だ。引き続き大阪市と緊密に連携しながら原因究明や健康被害の拡大防止を図るほか、厚生労働省が行う小林製薬へのヒアリングの結果も踏まえて必要な対応を行う」と述べました。

そして「厚生労働省、消費者庁、農林水産省などが情報を集約・共有しながら対応していくため、連絡会議の開催を検討しており、関係省庁が一丸となって食の安全の確保に全力を尽くしていく」と述べました。

十倉会長 ”原因究明や被害者への対応など急ぐ必要”

小林製薬の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題について、経団連の十倉会長は、この問題をめぐる会社側の対応について「報道で知るかぎりだが、最初の症例の報告から自主回収の発表まで2か月余りかかったと承知している。なぜこれだけの時間を要したかいま評価するのは情報不足で難しいが、かなり時間がかかったことは確かだと思う」と述べました。

そのうえで、「まずやるべきことはこれ以上の健康被害を広げないことだ」と述べ、製品の自主回収とともに原因究明や被害者への対応などを急ぐ必要があるという考えを示しました。