アメリカ西部カリフォルニア州に拠点を置く大手半導体メーカー、エヌビディアは21日、去年11月から先月までの3か月間の決算を発表しました。
それによりますと、売り上げは前の年の同じ時期の3.7倍に増えて221億300万ドル、日本円でおよそ3兆3100億円。
最終的な利益は前の年の同じ時期の8.7倍に増えて122億8500万ドル、日本円でおよそ1兆8400億円と大幅な増収増益になり、いずれも市場の予想を上回りました。
生成AIの利用が世界で急速に拡大し、この会社が生産する画像を処理する半導体で、大量の計算を同時に実行できる「GPU」の需要がデータセンター向けなどで急増したことが主な要因です。
また、ことし4月までの3か月間の売り上げの見通しについては240億ドル前後と、好調な業績が続くことを明らかにしました。
この会社の株価の去年の年末からの上昇率は21日時点で36%にのぼり、先週には企業の価値を示す時価総額が一時、グーグルの親会社のアルファベットやアマゾンを上回って、アメリカの株式市場で3位となりました。
このため、AIの需要を背景に業績の先行きが期待される半導体関連企業の象徴として、株式市場で投資家の注目が集まっていました。
米半導体 エヌビディア決算は大幅な増収増益 市場の予想上回る
アメリカの大手半導体メーカー、エヌビディアの先月までの3か月間の決算は、生成AIの利用の急速な拡大を背景に、最終的な利益が前の年の同じ時期の8倍以上となるなど、大幅な増収増益となりました。
エヌビディアとは
「エヌビディア」は1993年、台湾出身のジェンスン・フアンCEOがアメリカのシリコンバレーで創業した半導体メーカーです。
画像処理を行う半導体=GPUを手がけています。
自社の工場を持たずに製造は受託生産の企業に委託し、設計に特化しているいわゆる「ファブレス」のメーカーとして知られています。
このメーカーのGPUはもともとゲーム用に開発されました。
1990年代に日本のゲーム大手セガが発売した人気ソフト「バーチャファイター」にも使われ、よりリアルで迫力のある映像を求めるユーザーの声に応えるため画像処理の技術を高めていきました。
「エヌビディア」の技術が広く知られるようになったのは2011年。
AIの研究者にもGPUが注目されるようになりました。
そして2012年、アメリカのIT大手「グーグル」が2000個のCPUを使って行った画像認識の実験を「エヌビディア」のGPUはわずか12個でやり遂げられる能力があることが分かり、知名度が一気に高まりました。
高性能のGPUはAIにいかせるとしてグーグルやアマゾンなどがこぞってこのGPUを採用しました。
さらに、このメーカーのGPUは「オープンAI」のChatGPTを動かすためのデータ処理にも活用されています。
生成AIの利用拡大にともなって高性能な半導体の需要は急増しており、独走態勢で受注を伸ばしています。
会社のウェブサイトでは「スピードが成功の鍵だ。私たちには組織図はなく、ミッションこそが従うべきものだ。この考えは製品の設計から企業の構築までのすべての活動にいかされている」としています。
エヌビディアの株価や業績が好調だと日本の半導体関連企業の株価も押し上げられ、このところの東京株式市場の株価上昇の大きな要因となっていました。