北朝鮮 弾道ミサイル可能性あるもの発射 EEZ外に落下か 防衛省

防衛省は14日午後、北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射され、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられると発表しました。
北朝鮮による発射はことし初めてで、防衛省が警戒と監視を続けています。

防衛省によりますと14日午後2時53分ごろ、北朝鮮内陸部から弾道ミサイル1発が北東の方向に発射されました。

ミサイルは最高高度がおよそ50キロ以上、飛行距離が少なくともおよそ500キロで、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の朝鮮半島東岸付近の日本海に落下したと推定されています。

この発射による船舶や航空機への被害の情報は確認されていないということです。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのはことし初めてで、防衛省が情報収集を進めるとともに、警戒と監視を続けています。

韓国軍「中距離級弾道ミサイルと推定される1発を発射」

韓国軍は、北朝鮮が14日午後2時55分ごろ、首都ピョンヤン付近から日本海に向けて中距離級弾道ミサイルと推定される1発を発射したと発表しました。

飛行距離は、およそ1000キロだとしています。

北朝鮮は去年11月、新型の中距離弾道ミサイルに使用する固体燃料式エンジンの燃焼実験を初めて実施し、成功したと発表していました。

これに関連して韓国の※シン・ウォンシク(申源●)国防相は今月10日、北朝鮮が固体燃料を使った新型中距離弾道ミサイルの発射実験を近く行う可能性に触れ「早ければ今月中に行われる可能性も排除できない」と述べていました。

北朝鮮は従来の液体燃料式に比べて迅速な発射が可能な固体燃料式の弾道ミサイルの開発に力を入れていて、すでにICBM=大陸間弾道ミサイル級や短距離の弾道ミサイルでは固体燃料式への置き換えを進めています。

韓国軍は、アメリカや日本と情報共有を緊密にして、詳しく分析を進めるとしています。

※シン・ウォンシク(申源●)●は「さんずい」に「是」

岸田首相「状況把握など万全を期すよう指示」

岸田総理大臣は訪問先の金沢市で記者団に対し、「私のほうから総理大臣指示として状況の把握と国民に対する適切な情報提供、船舶などの安全確保、不測の事態に的確に対応し、万全を期すよう指示を出したところだ。林官房長官に電話で状況を共有するとともに今後の対応に万全を期すよう指示を出した。状況を確認した上で、国家安全保障会議の4大臣会合をはじめとする政府の対応をどうするのか確認したい」と述べました。

政府 北朝鮮に厳重に抗議

政府は「一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だ」として北朝鮮に厳重に抗議し、強く非難したとしています。

その上で「国民の生命や財産を守り抜くため、引き続きアメリカや韓国などと緊密に連携し、情報の収集・分析および警戒や監視に全力をあげる」としています。

北朝鮮 去年の発射は過去2番目となる25発

去年、北朝鮮が発射した弾道ミサイルなどは25発で、過去2番目に多くなりました。

防衛省は、ことしも各種のミサイル発射や衛星の打ち上げなどを行う可能性があるとみて、警戒を続けています。

去年、防衛省が公表した北朝鮮による弾道ミサイルなどの発射は18回、25発で、過去最多だったおととしの31回、59発に次いで、いずれも2番目に多くなりました。

内訳はICBM=大陸間弾道ミサイル級が5回、衛星の打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を用いたものが3回、それ以外の短距離弾道ミサイルなどが10回でした。

ICBM級はいずれも、弾頭の重さによってはアメリカ全土を射程に収めるとみられていて、このうち3回は従来の液体燃料式よりも迅速に発射することができる新型の固体燃料式だったと推定されています。

また、衛星の打ち上げを目的とした発射では、2回は失敗しましたが、去年11月の発射について防衛省は何らかの物体が地球を周回していることを確認したとしています。

2021年に明らかになった北朝鮮の国防5か年計画では、固体燃料式のICBMの開発や軍事偵察衛星の運用、核兵器の小型・軽量化などが掲げられています。

防衛省は、計画の4年目に入ったことし、北朝鮮が目標の達成に向けて、各種のミサイル発射や衛星のさらなる打ち上げを行う可能性もあるとみて、警戒・監視を続けています。