沖縄県 新型コロナ 623人感染確認 600人超は去年8月28日以来

沖縄県は5日、新たに623人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。
一日の感染者数が県内で600人を超えるのは、およそ4か月前の去年8月28日以来です。

沖縄県によりますと、新たに感染が確認された623人は、年代別では、
▽20代が332人、
▽30代が76人、
▽10代が63人、
▽40代が50人、
▽50代が31人、
▽60代が26人、
▽10歳未満が22人、
▽80代が12人、
▽70代が7人、
▽90歳以上が2人、
▽確認中が2人です。

1日の感染者数が600人を超えるのは、去年8月28日以来です。

20代の感染が300人を超える状況について、沖縄県の担当者は「若者の間で年末年始の飲食による感染が広がったと考えられる」としています。

地域別では、
▽那覇市が114人、
▽中部保健所管内が61人、
▽名護市が57人、
▽うるま市が52人、
▽南部保健所管内が50人、
▽浦添市が49人、
▽宮古島市が41人、
▽沖縄市が37人、
▽宜野湾市が36人、
▽糸満市が31人、
▽豊見城市が31人、
▽南城市が16人、
▽石垣市が14人、
▽北部保健所管内が11人、
▽東京都が6人、
▽愛知県が3人、
▽大阪府が2人、
▽神奈川県が2人、
▽山梨県が2人、
▽千葉県が2人、
▽長崎県が2人、
▽兵庫県が1人、
▽新潟県が1人、
▽石川県が1人、
▽確認中が1人です。

推定される感染経路は、
▽家庭内が51人、
▽友人・知人が47人、
▽飲食が29人などとなっていて、
445人は感染経路が分かっていません。

沖縄県内で確認された感染者は合わせて5万1747人になりました。

人口10万人当たりの感染者数は、4日までの1週間で38.99人と全国で最も多く、全国平均の10倍を超えています。

沖縄県内では5日現在、4日より23人多い152人が入院しています。

国の基準では、重症が4日より6人多い19人、中等症が4日より1人多い45人です。

宿泊施設での療養者は358人、自宅療養者は204人、入院・療養の調整中は571人で、全体の療養者数は1286人です。

新型コロナの患者の病床使用率は23.5%で、このうち重症者用は31.7%です。

一方、アメリカ軍から沖縄県に対し新たに6人の感染が確認されたと連絡があり、沖縄のアメリカ軍関係者の感染確認は合わせて3868人になりました。

また、沖縄県は、県立学校について、7日から分散登校を実施すると発表しました。部活動も原則休止するとしています。

玉城知事「非常に驚異的な数でがく然」

沖縄県の玉城知事は5日午後、県庁で記者団の取材に応じ、「非常に驚異的な数でがく然としている。来るべきものが来たという気持ちで立ち向かっていかなければならない」と述べ、沖縄県だけではなく、政府やアメリカ軍など関係者が一緒になって、感染防止対策に取り組む必要があるという認識を示しました。

また、玉城知事は5日午前、山際新型コロナ対策担当大臣と電話で会談したことを明らかにしました。

玉城知事は、「まん延防止等重点措置」の適用の要請を行うことを考えていると伝え、これに対し山際大臣は、「県の求められることについては、私からもしっかり政府に伝えて、そのように対応できるように進めていきたいと思う」と述べ、沖縄県から要請があれば、政府として速やかに対応する考えを示したということです。

一方、玉城知事は「緊急事態宣言」の必要性については、「そういう思いや、そういう状況ではあると受け止めている」と述べたものの、すぐに宣言を要請することには慎重な姿勢を示しました。

宮古島の県立病院 一部の診療を制限

新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受けて、沖縄県の宮古島にある県立宮古病院では病床の確保などのため、4日から一部の診療を制限しています。一方、このほかの5か所の県立病院では、今のところ診療を制限していません。

沖縄県内に6か所ある県立病院は、新型コロナウイルスの重点医療機関として感染者の対応にあたっています。

このうち県立宮古病院のある宮古島市では、3日は15人だった感染者が、4日には2倍近くの29人にのぼるなど感染が急拡大しています。

県立宮古病院では5日の時点で新型コロナの陽性者が8人入院し、病床の半分を使用していることから、病床の確保や重症者への医療体制を整えるため一部の診療を制限しています。

具体的には4日から一部の外来患者に対して電話での診療を行っているほか、今月11日以降は緊急性の低い手術や検査を延期することを決めました。

沖縄県によりますと今のところ、県立宮古病院を除く5か所の県立病院では診療を制限していないということですが、感染状況によっては今後、制限される可能性があるとしています。

感染者急増の要因について医師は…

沖縄県で新型コロナウイルスの感染者が急増した要因について、県の政策参与として新型コロナに対応している沖縄県立中部病院の高山義浩医師は、年末年始にかけて人々の活動が活発になり、オミクロン株が広がりやすかったと指摘しています。

高山医師は、沖縄県内で感染が急速に拡大している新型コロナについて、デルタ株からオミクロン株への置き換わりが終わったとしています。

そのうえで「アメリカ軍が由来と考えられるが、市中に出てからはこれまでのアルファ株やデルタ株と比較にならないぐらいの速さで広まっている」と分析しています。

そして、沖縄県内では2.8日で感染者が倍に増えていて、年末年始にかけて忘年会や帰省などで人々の活動が活発になり、ウイルスが広がりやすかったと指摘しています。

また感染者の半数が20代・30代の若い世代が占めることについて「流行の立ち上がりは活動的な若者を中心に広まっていくが、今後、家庭内で中高年や子どもに感染が広がることが考えられ、どのように予防するかが大事なポイントだ」と話しています。

中でも高齢者については「感染者がまだ少なく、感染が広がった場合のインパクトが分からない。どの程度亡くなる人が出てくるのか分からず、油断してはならない」と警戒感を示しました。

また、今後の病床の見通しについて高山医師は「オミクロン株は病原性が下がってきているとはいえ、インフルエンザほどは下がっていない。中高年にとっては酸素投与が必要になったり、重症化したりしてくる人も出てくると予想され、現時点で中等症がこれだけ出ていると考えると、今後かなり厳しい状態になる」と指摘しています。

デルタ株からオミクロン株へ急速に置き換わり

沖縄県によりますと、県と国立感染症研究所が県内の新規感染者でオミクロン株が疑われる症例の占める割合を調べたところ、先月26日までは15%だったのが、先月30日は97%に上昇していたということです。

沖縄県は、県内でデルタ株からオミクロン株への置き換わりが急速に進んでいることが推定されると分析しています。

宮古島保健所の窓口業務 一時停止へ

感染が急拡大している沖縄県の宮古島にある宮古保健所は、感染経路を特定するための積極的疫学調査の体制を強化するため、今月11日から窓口業務を一時停止することを決めました。

一時停止されるのは、宮古島保健所の生活環境班が所管する生活衛生や食品衛生、それに動物関連や環境保全関連などの業務と地域保健班が所管する小児慢性特定疾患や特定不妊の申請業務、それに精神保健業務などです。

停止期間は、今月11日から21日までで緊急を要する場合は、電話で問い合わせるよう呼びかけています。

電話番号は
▽生活環境班が0980-72-3501、
▽地域保健班が0980-72-8447です。

感染者急増に不安訴える市民は…

沖縄県内で新型コロナウイルスの感染者が急増していることについて、那覇市の中心部では不安を訴える声が多く聞かれました。

那覇市の59歳の介護職の女性は、「友達が沖縄に遊びに来たいと言っていますが、キャンセルになると思います。コロナにかかったら怖いので、これからは家でじっとしています」と話していました。

那覇市の85歳の男性は、「あまり人混みにはいかないようにしています。孫がよく遊びに来ますが、家でもマスクをしていますし、非常に心配しながら生活しています」と話していました。

豊見城市の20歳の大学生は、「年末年始で感染者が増えると思っていましたが、ここまで増えたのはアメリカ軍基地の影響が大きいと思います。大学では対面授業を行っていますが、オンラインでできるなら安心できるので、そうしたいです。友達に会えなくなるのは寂しいですが、これ以上、感染を広めないためにも、割り切ることが大事だと思います」と話していました。

沖縄県内の成人式 過半数が実施予定

今月10日の「成人の日」を前に、NHKが5日、式典の開催について沖縄県内すべての市町村を取材したところ、国頭村が新成人に陽性者が出たため、急きょ中止を決めるなど、4つの市と村が中止を決めています。

一方、全体の半数を超える22の市町村が次の土日に式典を行う予定にしていることが分かりました。

沖縄県内の41すべての市町村を対象に成人式の開催について取材したところ、新成人がふるさとに帰省する正月三が日までに実施したのは6つの町村で、4日が7市町村、5日が2つの町村と、これまでに15市町村が式典を実施しています。

残る26の市町村のうち、式典の中止を決めているのは4つの市と村で、半数を超える22の市町村が次の土日に開催する予定です。

中止する自治体のうち、
▽国頭村は新成人に陽性者が出たため、4日、急きょ中止を決めたほか、
▽渡嘉敷村は、新規感染者の急増を受けて5日午前中に中止を決めました。

また、
▽宮古島市は去年11月に中止を決めていたほか、
▽渡名喜村は新型コロナとの関係は分かりませんが、新成人2人が式典への参加を希望しなかったため中止を決めたということです。

一方、式典の開催を予定している22市町村のうち、
▽北中城村はワクチンの接種証明書の提示を求めるほか、
▽本部町は6日までの3日間のうちに役場でPCR検査を受けるよう呼びかけています。

▽南城市と中城村は当日、入場の際に発熱がわかった新成人に県が配布する抗原検査キットを使ってもらうなどして、感染防止対策を行うとしています。

市町村の中には、県の方針しだいでは成人式を中止するという自治体もあり、開催は流動的な状況です。

バスケットボール男子の全日本選手権 準々決勝が中止に

バスケットボール男子の全日本選手権は5日夜、準々決勝の2試合が行われる予定でしたが、沖縄県に本拠地がある琉球ゴールデンキングスなどの選手が新型コロナウイルスに感染したことからいずれも中止となりました。

日本バスケットボール協会によりますと、3日、琉球ゴールデンキングスの選手1人がBリーグの試合後に発熱したため、新型コロナウイルスのPCR検査を受けたところ、感染が確認されたということです。

協会によりますと管轄する保健所が濃厚接触者の特定を進めているということですが、チーム内に濃厚接触者と判断される人が出る可能性が高いということです。

このため協会は5日夜、沖縄市で行われる予定だった信州ブレイブウォリアーズとの準々決勝を中止すると発表しました。

Bリーグの試合も中止に

また、Bリーグが選手全員に対して定期的に行っているPCR検査で4日、アルバルク東京の選手が陽性と判定され、医療機関で再び検査をした結果、感染が確認されたことから、川崎市で予定されていた川崎ブレイブサンダースとの試合も中止となりました。

日本バスケットボール協会などでは、中止が決まった準々決勝の2試合について今後、対応を協議するとしています。

NPBコミッショナー “プロ野球キャンプは有観客の意向”

NPB=日本野球機構の斉藤惇コミッショナーは、来月1日に始まるプロ野球のキャンプについて、キャンプ地の沖縄県で新型コロナウイルスの感染が急拡大しているものの、「経済問題を無視することは不可能なので、政府関係者などと相談して、できるだけお客さんを無制限で入っていただけたらと思う」と述べ、現時点では観客を入れて開催したい考えを示しました。

プロ野球の去年の春のキャンプは、新型コロナウイルスの影響で観客を入れずに行いましたが、ことしは観客を制限なく入れる形での実施を目指しています。

斉藤コミッショナーはNPBの仕事始めの5日、報道関係者向けにオンラインで取材に応じました。

この中で斉藤コミッショナーは、キャンプが行われる沖縄県、宮崎県、高知県のうち、沖縄県で5日、600人以上の新たな感染確認が発表されるなど感染が急拡大していることを受け、キャンプの開催方法について、「選手の体をどう守るかという問題があり、練習試合などでお客さんを入れるか入れないかという新しい課題が出てくる」と述べました。

そのうえで、「しかし、経済問題を完全に無視することは不可能なので、政府関係者、スポーツ庁、地方自治体と相談してできるだけお客さんに無制限で入っていただき、粛々と開催させていただけたらと思っている」と話し、現時点では制限なく観客を入れる形でキャンプを開催したい考えを示しました。