摂食障害患者向けアドバイスを発表 新型コロナウイルス

摂食障害患者向けアドバイスを発表 新型コロナウイルス
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全国で数十万人の患者がいるとされている摂食障害、外出の自粛が呼びかけられる中、自宅に長くいることでストレスが増え過食や拒食の症状の悪化が懸念されるとして、支援団体は緊急の声明と患者などに向けたアドバイスを発表しました。
摂食障害の専門家などで作る日本摂食障害協会によりますと、過食や拒食を繰り返す摂食障害の患者はストレスや不安を感じやすく、自宅にいる時間が長くなり食べ物が常に近くにある状況の中、過食や拒食の症状が悪化したという声が寄せられているということです。

このため協会は、ホームページに当事者と家族に向けた声明を出し、自宅での心のケアの方法もアドバイスしています。

具体的には生活が不規則になると精神的にも不安定になりやすいため、起床や運動、それに食事などの時間を決めた一日の時間割を作るとよいとしています。また孤立感から症状が悪化しないようSNSなどで人とのつながりを保つことも大切で、生活リズムを壊さないよう一定の時間を決めてやり取りをしたほうがよいということです。

協会の理事で精神科医の西園マーハ文さんは「終息が見えない感染症への不安に加え、自宅にずっといて食べ物がそばにあることが、ストレスになっている。生活のリズムを作ること、そして人とのつながりを途切れさせないことを心がけてほしい」と話しています。

外出自粛で摂食障害者の苦しみ

外出の自粛が呼びかけられる中、SNS上にも摂食障害の症状に苦しむ人たちからの書き込みが相次いでいます。

その中には「外に出て気を紛らわせられなくなり、過食嘔吐がひどくなっている」とか、「在宅勤務になり人の目がなくなって家にあるものを食べ続けてしまう」などという書き込みが見られます。

患者 全国に数十万人か

摂食障害は太ることが怖くて食べられず、やせすぎてしまう拒食や、逆に大量に食べることがやめられない過食の症状などがあり、医療機関につながっていないケースを含めると患者は全国に数十万人いると専門家は推計しています。

日本摂食障害協会の理事で明治学院大学心理学部教授の西園マーハ文さんは「環境の変化を受けやすい精神疾患で、拒食や過食はストレスに直面した時の対処法となっている。時間割を作るなど毎日の過ごし方の工夫に加えて、できるだけ今の体重を減らさないよう食べやすい食品で栄養を補ってほしい。また食べ吐きしたあとは水でうがいをして胃液の酸から歯を守り食塩やカリウムが多い食品をとってほしい」と話しています。

そして「過食や拒食をしない完璧な対応を考えるよりも、いまできる対応を少しでも行うようにして、自分を追い込まないことも大切だ。体に大きな変調を感じたら迷わず医療機関を受診してほしい」と話しています。