阿武町誤振り込み 2審の裁判 被告に執行猶予付き有罪判決

おととし(令和4年)、阿武町から誤って振り込まれた給付金を別の口座に振り替えたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われた被告の2審の裁判で、広島高等裁判所は、1審に続いて罪の成立を認め、被告に執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

山口市の会社員、田口翔被告(26)は、おととし、阿武町から振り込まれた国の臨時特別給付金4630万円を、誤って入金されたと知りながら決済代行業者の口座に振り替えるなどしたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われました。
裁判では、誤って入金されたことを銀行側に伝える義務があったかなどが争点になり、被告側は、「罪は成立しない」として無罪を主張したのに対し、1審の山口地方裁判所は、去年(令和5年)2月に罪の成立を認めて、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡し、被告側が控訴していました。
11日の2審の判決で、広島高等裁判所の森浩史 裁判長は、「誤振り込みがあったと被告が銀行側に伝える義務があることは当然で、銀行実務に照らしても重要な要素だというべきだ。今回の送金などが正当な権利行使といえないと判断し、罪の成立を認めた1審に誤りがあるとはいえない」として、被告側の控訴を退け、1審に続いて、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

田口被告の弁護士は、判決のあとで広島市内で会見し、「上告するか今後検討していきたい」と話しました。
また、田口被告は、弁護士を通じて、「判決の内容に関わらず、自身のしたことに向き合っていきたい」とするコメントを出しました。