菅首相「アジア版NATO否定発言」で米が日本の対中姿勢警戒 親中派のドン二階幹事長の存在も気がかり 有本香氏「厳しい対中態度を」
菅義偉内閣が発足して1カ月以上が過ぎた。携帯電話料金の値下げや、デジタル化などの具体的改革を次々と打ち出し、支持率は依然高めだ。菅首相は今週、就任後初めての外国訪問(=ベトナムとインドネシア)を終え、26日召集の臨時国会に備えている。こうしたなか、「菅首相が外遊先で行った安全保障関係の発言が、米国を警戒させたのではないか」という見方がある。米大統領選(11月3日投開票)が佳境に入るなか、同盟国の対中姿勢は重要。米有名シンクタンクが名指ししていた「親中派のドン」の存在も大きそうだ。
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「『自由で開かれたインド太平洋』は特定の国を対象としたものではなく、考え方を共有するいずれの国とも協力することができる」「インド太平洋版のNATO(北大西洋条約機構)をつくる考えは、まったくない」
菅首相は21日、訪問先のインドネシアの首都ジャカルタで内外記者会見を開き、日本と米国、オーストラリア、インドが主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想について、こう語った。
米欧30カ国が加盟するNATOは、加盟国が攻撃されれば全加盟国が反撃する集団防衛機構である。「日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)」とは次元が違うのは当然だが、中国を牽制(けんせい)する集合体であることは間違いない。
現に、中国の王毅国務委員兼外相は13日、「インド太平洋版の新たなNATOの構築を企てている」と批判していた。