マイナンバーカードをめぐる混乱が拡大している。個人情報の誤登録や、医療機関で健康保険資格が確認できないといったトラブルが相次ぎ、カードを自主返納するケースが急増しているのだ。あまりの評判の悪さに、河野太郎デジタル相は名称変更を示唆した。根本的な問題解消のメドすら見えない中では、「マイナカード」という名前を変えても何の意味もない。「小手先対応」として、炎上がさらに広がりかねない。
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「マイナンバー制度とカードが世の中で混乱している。次の更新でマイナンバーカードという名前をやめた方がいいのではないか」
河野氏は2日のNHK番組でこう述べ、2026年中にも実施するデザイン変更を念頭にした名称変更を示唆した。
都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市区を対象とした共同通信の調査では、カードの自主返納が5月以降、少なくとも計318件あったことが判明した。4月は20件程度で、5月以降に公金受取口座の誤登録や他人の年金情報閲覧、健康保険証の情報ひも付けミスなどが明らかになって急増した形だ。
岸田文雄政権は、カード取得者向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる全29項目を対象に、ひも付けの誤りがないかを点検する作業を進めている。ただ、河野氏は2日の番組で、「徹底的にやる。秋をめどとするが、日程ありきではない」と語り、政府の総点検本部が設定した期限を過ぎる可能性にも言及した。