政府は2030年代半ばをめどにガソリン車の新車販売を禁止する方針と伝えられている。欧州や中国は電気自動車(EV)シフトを進めているが、日本の自動車産業は今後も勝ち残ることができるのか。
ガソリン車の新車販売をなくした電動化の場合、その対象としては、EVや水素を使う燃料電池車(FCV)に加えて、エンジンとモーターで駆動するハイブリッド車(HV)がある。
欧州ではEVに傾斜している。その流れだけをみて、国内でも、世界の流れはEVだと断言する向きもある。ましてFCVは、販売実績が伸びていないことから、もはや先はないとも決め打ちされがちだ。
政府の電動化方針では、EVの他にもFCVやHVを含めているが、こうした批判派から見れば、政府は流れを見誤っており、多額の助成金は無駄遣いだという。そうした批判派は、政府の原発方針も批判しており、脱原発、再生可能エネルギーありきの発想である。
欧州がEV推進の方針なのは、HV技術が乏しいからだ。日本は欧州のマネをするのではなく、自国の技術優位性をもっと生かすべきだ。HVでは日本の優位性があるのだから、ここで捨てるのはもったいない。HVは、ガソリン車とEVの中間的性格があるので、HVはEVを包含し、HVの発展系としてEVをとらえてもいい。
いずれにしても、多様な技術によって、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「グリーン成長戦略」を行うべきだ。そもそも将来技術は予測するのが困難なので、自動車の「多様な選択肢」は将来の状況変化にも耐えうる武器であると考えたほうがいい。