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保育園の昼寝、見直し広がる
4,5歳児 取りやめの例も
保育園の日課として実施されてきた昼寝を見直す動きが広がっている。特に体力のついた4、5歳児クラスで取りやめる例が出てきた。早寝早起きのリズムができやすくなって就学準備につながるなど、保育園での昼寝の見直しは利点も多いようだ。
東京都品川区の区立旗の台保育園。午後2時に訪れると、4歳児が教室でブロックやビーズで遊んでいた。別の部屋では2、3歳児が2~3時間の昼寝中だった。
同園では2008年から、5月の大型連休を境に4歳児の昼寝は実施していない。その代わり、昼食後に「眠い」と訴える子どもや保護者から要望のある場合は3歳児と一緒に約1時間寝かせている。この日は13人中4人が昼寝していた。
教室に残った子どももこの1時間は静かに過ごし、なるべく体を休めるようにしているという。
同園は2007年、保育園と幼稚園の機能を併せ持った「認定こども園」として再出発した。その際、同じクラスでも午後2時に帰宅する「短時間組」は昼寝しないのに、その後も保育を受ける「長時間組」は昼寝するという違いに直面。「本当に昼寝は必要か」「大人の都合や習慣で寝かせているだけでは」などといった視点から保育士らが考え直し、4、5歳児の一律な昼寝は取りやめることにした。
「昼寝によって夜なかなか眠れず、その結果、朝も早く起きられないという悪循環に陥る子どもを何とかしたいという思いもあった」と園長の木内ひとみさんは言う。
昼寝は、子どもの体調管理や夜の睡眠を補う目的で、保育園では長年実施されてきた。保育士が保育記録をつけたり休憩したりする時間にも充てられてきた。
幼保一体化の流れなど、保育園を取り巻く事情が大きく変化していることを受けて厚生労働省は昨年4月、国の保育所保育指針を改定。「午睡」のあり方を見直し、個々の子どもに応じた適切な休息が取れるよう求めている。
同省保育指導専門官で保育士でもある丸山裕美子さんは「体力の増す4~5歳児に昼寝は絶対必要とは言い難く、見直しの時期にきている。ただし、昼寝の取り方には個人差があるため、その子の発達状況や親の働き方などを考慮して、その子に合った休息方法を保育園では検討してもらいたい」と話す。
品川区では今年10月、41の区立保育園で5歳児の昼寝を取りやめた。就学に備え生活リズムを身につけさせるのが狙いという。足立区も同月から49の区立園で5歳児の昼寝を段階的に取りやめている。保護者らからは「自分から布団に入るようになった」など、歓迎の声が聞かれるという。
幼児の睡眠の実態に詳しい江戸川大教授の福田一彦さん(睡眠学)は「4歳では7割強が、5歳では8割強が昼寝しないという統計もあり、年齢と共に昼寝は不要になっていく」と指摘。また「幼児期の眠りの習慣は小学校3、4年まで続くため、就学後、日中眠くなって勉強に身が入らなくなることも考えられる。こうした長期的視点も踏まえて、昼寝をどうすべきか考えてみてほしい」と話している。
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