完了しました
露の核 配備可能に
【モスクワ=田村雄】ウクライナに侵攻したロシアとの「共闘」を宣言しているベラルーシで27日、憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。改憲案には「中立国家」と明記した条文を削除し、ロシアの核兵器の領内配備を可能にする内容が盛り込まれている。アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の強権体制のもと、投票総数の過半数の賛成により承認されることが確実視されている。
改憲案では、ベラルーシを「非核地帯」とし「中立国家」とうたっている現行憲法の条文を削除する。
改憲により、1994年から大統領に君臨するルカシェンコ氏は、2035年までの続投が可能となるほか、外交や軍事の基本方針を決める最高機関のトップに就任することもできるようになる。
ルカシェンコ氏に対しては、20年夏の大統領選での不正を巡り、辞任を求める大規模デモが起こった。政権側が抗議デモの参加者を大量に拘束するなど弾圧したため、欧州連合(EU)はルカシェンコ氏を制裁対象とした。今回の改憲について政権の延命を図るのが目的だと批判が起きている。
改憲案はもともと大統領権限の強化を主眼にしていたが、安全保障に関する変更も加わった。米欧の経済制裁を受け、孤立を深めたルカシェンコ政権を支援したプーチン露大統領の意向が働いたとされている。
ベラルーシは1999年にロシアとの間で「連合国家」を創設する条約を結んだ。昨年11月には、連合国家の「共通軍事ドクトリン」の改定を決めた。両国の安全保障分野での協力をさらに深めることが柱になっている。
ベラルーシではロシアとの大規模な合同軍事演習が行われた。演習名目でベラルーシに駐留していた露軍部隊が、ウクライナに進軍し首都キエフに向かったとされる。
ロシアがウクライナ侵攻を開始した24日、ルカシェンコ氏はプーチン氏の要請に応じ、新たにロシアの短距離ミサイル「イスカンデル」や最新型防空ミサイルシステム「S400」を配備する方針を示した。さらに軍幹部を前に「可能な限り(ロシアを)支援する」と強調した。
ルカシェンコ氏は26日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、ウクライナ情勢などについて協議した。両国の大統領府の発表によると、マクロン氏は「ベラルーシ領内にロシアの核兵器配備を認めることは深刻な問題だ」と懸念を示したが、ルカシェンコ氏は「フェイク(偽情報)だ」と
憲法改正案の主な内容
【安全保障】
▽ベラルーシを「非核地帯」とする条文を削除し、ロシアの核兵器配備を可能に
▽「中立国家」との条文を削除する
【大統領の任期・資格】
▽現職大統領の通算任期はゼロとみなし、ルカシェンコ大統領は最長2035年まで続投可能に
▽大統領経験者に在職中の責任が問われない特権付与