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22日に投開票された衆院選は、東京都の小池知事を代表とする希望の党が政権交代を目指して多数の候補を擁立したが、結果は現政権である自公の大勝に終わった。この選挙結果から、果たして「アベノミクス」が信任されたといえるのか。そして、現在の国内経済の課題と、今後、政府が検討すべき政策は何か。明治大准教授の飯田泰之氏に聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部 中根靖明)
アベノミクスは「信任」されたのか?
安倍首相としてはこの選挙で「アベノミクスの信任を問う」こととあわせ、その信任をもって現在の外交や安全保障を確固たるものにしたいという思いがあったのだろう。しかし、今回の総選挙は、「政策」の話がほとんど出てこなかった印象だ。ちょっと驚くほどだった。
要因は言うまでもなく、希望の党の小池代表と、民進党の前原代表の一連の行動だ。これにより、有意義な政策論争がないまま、政策面では焦点の定まらない選挙になってしまったというのが率直な感想だ。その意味では非常に残念だった。
2005年に小泉首相(当時)が解散を決断した衆院選は、今回のような「劇場型」の選挙ではあったが、「郵政民営化」というイシュー(論点)があった。しかし、今回はイシューがほぼ見当たらなかった。
イシューのない選挙で、自公政権側が勝利した。定数減を考慮すると、議席は実質的に微増といっていい。ここまで安定的に勝利できた背景には、有権者が「大きな変化」を望んでいなかったことがあった。
例えば、内閣支持率の動向を見れば、現政権がベストと思っていない人が一定数いるのは事実だ。しかし、積極的に「首相の交代を求める」わけでもなく、かといって熱烈に「首相になってほしい人」も見つからない、というのが実態だろう。支持も消極的なら不支持も消極的なのではないか。
国内経済の状況は決して良くはない。しかし、悪くもないのだ。人によって感じ方に差はあるだろうが、「我慢できる程度」とか「ちょっといい程度」に感じている人が多かったと思う。
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