温泉ブログ 山と温泉のきろく

山好き女子の温泉と食と山旅の記録です。

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2022年に泊まった温泉宿で「部屋」「風呂」「食事」が良かったおすすめ宿ランキングを発表する

選んだ10軒の宿はすべて1人で宿泊可能な宿です

2017年から毎年、1年間に泊まった宿を振り返って「部屋」「風呂」「食事」というそれぞれの側面において「この宿はすばらしく良かった!」と印象に残っている宿をそれぞれ1位から3位まで紹介する、という記事を更新しています。
本稿はその2022年版です。

過去5回分の記事は下記になります。

食事部門だけ3軒に絞りきれず3位が2軒あり、全部で10軒の宿を紹介しています。

2019年、2020年、2021年に引き続いて2022年版で選んだ宿も、すべて1人で宿泊した宿でした。現時点でも、すべての宿が1人泊を受け入れており、10軒の宿の中で6軒は、休前日でも1人で宿泊可能な宿です。私自身もそうですが、土日休みの勤め人で、できれば土曜日に1人で泊まれる宿が知りたい……という方が多いのではないかと思いますので、各宿についていつなら1人で予約可能かを付記しています。

1年前の2022年には全国旅行支援の影響もあって、一時的に一人泊のプランをなくしてしまった宿もけっこうありましたが、2023年現在は通常モードに戻ったようです。インバウンドが多い温泉地以外なら、現在はひとり旅も比較的しやすくなっていると思います。

一人旅で利用しやすい温泉旅館については、発売中の著書にもたくさん掲載していますので、ぜひ、お手に取っていただけますと幸いです。

「部屋と建物」「風呂」「食事」の項目ごとに良かった宿ランキングを作った

普段、温泉旅館の宿泊レポートを書く際に私は、★5つを満点として「部屋」「食事」「風呂」について自分なりに採点し、最後にサービスや総合的な印象などを含めて「再訪したい度」を決めて、ご紹介するようにしています。

そのため、この記事ではそれに倣い「部屋」「食事」「風呂」という観点で、最高に印象に残っている宿を1位~3位まで発表します。項目ごとのランキングなので「お湯はいいけど、食事はちょっと……」な宿であっても「風呂ランキング1位」になり得るということです。

ただ、実際に「いい宿だったか」「また泊まりたいか」ということを考えるときは「部屋」「風呂」「食事」のどれかが突出していい宿だけではなく「すべてが平均的に良い」宿や「サービスが良い」「コスパがいい」宿が上位に来ることも多いものです。

昨年同様「いろんな要素を総合的に見たランキング」は、別の記事でまたご紹介したいと思います。

2017年~2021年に泊まった宿の総合ランキングは上記です。

2022年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング

宿泊レポートの中では「部屋」という項目名ですが、実際には

・建築物としてすばらしく「ここに泊まれるのか!」という感動がある
・設備が整っており、住みたいぐらい快適に過ごせる

という2軸で見ているため「部屋と建物」が良かったランキングとしています。
選んだ3軒の宿のうち1軒は過去にも宿泊したことがあり、2軒は2022年に初めて宿泊した宿でした。

部屋第3位 神奈川県「箱根塔ノ沢温泉 福住楼」

部屋が良かった宿3位に選んだのは、2022年11月に初めて宿泊した、箱根湯本駅から徒歩15分ほどの場所にある塔ノ沢温泉の福住楼です。登録有形文化財にも指定されている1890年(明治23年)創業の歴史ある宿です。

福沢諭吉、夏目漱石、島崎藤村などなど、数多くの文化人に愛された宿で、当時の建物に今も泊まることができます。また、土曜日も1人で宿泊可能です。

もちろんエレベーターはなくトイレや洗面所も共同で、新しい便利な宿ではありませんが「この建物に泊まることができるのか!」という気持ちが盛り上がる宿です。

宿泊レポートも公開していますので、詳細は以下の記事でご覧いただけます。

川端康成が逗留した部屋に宿泊。好みの部屋を予約時に選べるのがうれしい

福住楼の館内は、階段周辺の手すりや壁の飾り窓も凝ったデザインになっていて、眺めて歩くだけでも楽しいです。

宿泊した「桐三」の部屋は、作家の川端康成が好んで泊まったという部屋です。

福住楼は早川沿いに建っており、部屋によっては窓から美しい渓流を眺めることもできるのですが、この部屋は川に面しておらず、眺望はあまりよくありません。
しかし、川端康成はこの部屋を「川に面していなくて川音がしない」のが良いということで気に入っていたんだとか。

夜中に執筆していつも夜食のお茶漬けを頼み、朝になると編集者がやってきて、入口の戸に挟んである原稿を持っていったそうで……恐らく入口の戸も当時と同じものなのではないでしょうか。

そんなことを思い巡らすのも楽しいです。
宿泊予約の際に、どの部屋に泊まるかを指定することができますが、旅行サイトの予約ページにも「この部屋は誰が好んで泊まった宿か」の解説があるので、そのあたりを踏まえた上で泊まるとより楽しいでしょうね。

また、客室の茶菓子が箱根湯本の和菓子店「ちもと」の湯もちだったのもうれしかった!

もちもちとしていて大変おいしいです。

洗面所やトイレは客室内になく共同ですが、トイレは部屋を出てすぐのところにあり、ゆったりとした格調高いトイレ(というのも変な話ですが……)でした。

ここは男女共同のトイレなので、そのあたり気になる方はいるかもしれませんが……私は特に気になりませんでした。

またお部屋だけではなく、福住楼の建物は雰囲気があって「こんなところに泊まれるのか!」と、ワクワクしてくるような造りです。

窓枠や戸のデザインが、場所によって異なっていたり、苔むした庭も美しかったですね。

宿泊したのは11月の中旬でしたが、目の前を流れる早川沿いの紅葉が盛りでした。

浴室は内湯のみですが、男女交代で使用する共同浴室が2箇所と予約制の貸切風呂が3箇所あり、深夜も入浴可能です。

早川に面した浴室の窓から紅葉も眺められ、風格ある浴室とすばらしいお湯を楽しむことができました。

また、福住楼は部屋食で食事も大変おいしいのですが、生ビールの注ぎ方がものすごく上手で、運ばれてきた後もぜんぜん泡が消えなくて不思議でした。

建物が特にすばらしいですが、お風呂、食事もすばらしく、交通の便も良いのでまた必ず泊まりたい宿です。

部屋第2位 福島県「裏磐梯 ホテリ・アアルト」

部屋が良かった宿2位に選んだのは、2022年10月に初めて宿泊した、裏磐梯の自然に囲まれた全17室のホテル、ホテリ・アアルト。
かつては企業の保養所だった施設が閉館することになり、もともと保養所の管理を担当していた福島県内の建設会社がオーナーとなってリノベーションして誕生した宿です。

と最近、朝日新聞デジタルに掲載されていた中田英寿さんの記事で知りました。少し前の記事ですが、中田氏のお気に入りの宿らしいです。

私は、2022年の秋に磐梯山を登山した後に初めて宿泊しました。

登山と組み合わせると少し慌ただしくなってしまいますが、ホテリ・アアルトからすぐの場所に裏磐梯を代表する景勝地の「五色沼」がありますので、天気が良ければチェックイン前・チェックアウト後に立ち寄るのも楽しいです。

お安い宿ではありませんが、土曜日も1人で宿泊できますし、休前日の料金アップもなく、平日と同じ料金で宿泊できます。

また、宿泊料金にアルコールを含めたドリンクの料金が含まれており、一部の有料メニューをオーダーしなければ追加の支払いが発生しない、オールインクルーシブの宿です。

お風呂や食事については宿泊レポートを参考にしていただければと思います。

地元産木材を使用してリノベーションされた、木のぬくもりあふれる快適な部屋

ホテリ・アアルトのお部屋と言えば「北欧風インテリア」と言われますが、ブログで紹介した際に、おそらく北欧インテリア好きと思われる方から「値段のわりにしょぼい」とブコメをいただいたりしまして。
まあ、オーナー企業も外資系とか輸入家具屋さんとかじゃなく福島県内の建設会社ですし、あんまり「北欧インテリアーーーー!」を求めて泊まりに行く宿ではないんだろうとは思います。

ですが、北欧家具になど何の興味もない私が宿泊して、館内、客室ともに非常に快適で、癒やされる空間だと感じました。

すべての客室が異なる間取り・インテリアとなっており、予約する際に自分の好みの部屋を選ぶことができます。

私はそこまでこだわりがなかったので、中では宿泊料金のお安いクイーンサイズのベッド1台のお部屋を選んだのですが、空間がゆったりとしていて快適に過ごせました。

洋室ですが靴で中に入るのではなく、入口で外履きを脱いでフローリングの客室に入る方式。使い捨てスリッパの内履きも用意されていましたが、無垢材フローリングの床は裸足で歩いても気持ち良かったです。

滞在中に執筆したりもするので、しっかりとしたライティングデスクがあるのもうれしい。Bluetoothスピーカーも設置してあって、便利に使わせてもらいました。

ベッドも広々。寝具も寝心地が良く。

窓辺の椅子でくつろいだり、ベッドでテレビを見ながらごろごろしたり。

客室内の冷蔵庫に入っている飲み物も無料で、さるなしのジュースが珍しい&おいしかったです。

お茶菓子のクッキーも素朴な味わいで良かったですね。

レストランを含む館内では作務衣で過ごせるのですが、この作務衣もごわごわしていなくて着心地が良い。また作務衣の他に客室内だけで着るパジャマもあります。

洗面所のアメニティも、良い香りがする上質なものが用意されていました。

お風呂上がりにはサイダーや牛乳が自由に飲めるようになっており、ロビーやラウンジではワインやビールも楽しめました。こちらも宿泊料金に含まれています。

そして、2箇所ある大浴場のお湯も、つるつる感のある硫黄泉で、浴感がとても良く、食事も朝夕共に大変おいしい宿でした。

部屋・風呂・食事のすべての面において上質なサービスを提供してくださっているすばらしい宿だなと思いますが、1番印象に残ったのはやはり部屋の快適さだな……ということで、「部屋が良かった宿」の2位に選出しました。

部屋第1位 長崎県「壱岐リトリート海里村上」

部屋と建物が良かった宿の第1位は、2022年9月に宿泊した長崎県壱岐島の湯ノ本温泉にある「壱岐リトリート海里村上」です。

10年以上前に1度泊まったことがあったのですが、その後オーナーチェンジし、現在のオーナーの手によって全室オーシャンビューの露天風呂付きの宿として生まれ変わりました。

以前泊まったときは「食事がおいしいオーシャンビューの宿」という印象でした。今回も、壱岐産の食材を使った料理は大変おいしかったのですが、それ以上に部屋の快適さと客室露天風呂からの眺めが印象に残ったので、部屋が良かった宿1位に選出しています。

宿泊した際も全国旅行支援クーポンを利用してお得に泊まったのですが、先ほどじゃらんをチェックしたところ、9月29日現在も旅行支援のクーポンが適用可能なようです。また、土曜日も1人泊が可能な宿です。

宿泊レポートも公開していますので、参考にしていただければと思います。

オーシャンビューの客室露天風呂に浸かり、風呂上がりにクラフトビールを味わう至福の時間

壱岐リトリート海里村上は館内共有部分の雰囲気も大変良く、広々としたロビーで海を眺めつつチェックインしました。

ウェルカムスイーツは壱岐銘菓の「かすまき」という、カステラを巻いたお菓子。

宿泊したのは「プレミアム和洋室」です。
もう少しお安く泊まれるお部屋もあったのですが、旅行サイトの「○円以上のプランに適用可能なクーポン」を適用したところ、こちらの部屋が1番安く泊まれたので1人で広めのお部屋を使わせてもらいました。

部屋の窓が大きく、和室で座卓に座っていても間近に海を眺められるのがすばらしいです。

洋室の縁側にはカウチソファがあり、ここでお風呂上がりにビールを飲みつつ海を眺めるのが至福のときでした。

壱岐リトリート海里村上は、客室内の冷蔵庫の飲み物無料です。

ウォーターサーバーが各部屋に設置されており、日田天領水をいつでも飲むことができます。ドリップポットの設置もあり。

冷蔵庫にはウーロン茶とオレンジジュース、炭酸水、そして壱岐内で醸造されている「ISLANDBREWERY」のゴールデンエールが2本入っていました。

このビールがおいしくて、夕方に飲んだのですが、夜明けにも飲んでしまいました。2本あってよかったです。ガラス瓶のウーロン茶も珍しくてちょっといいですよね。

それから各部屋に新たに設置された客室露天風呂。
浴槽は1人入ればいっぱいなサイズですし、常時かけ流しではなく入りたいときにお湯をためて入る仕組みなので温度調節に少しコツがいりましたが……。

それにしてもすばらしいロケーション。
特別に海が好き、というわけではない私ですが、この露天風呂はかなり気に入りました。

海がある方向に日が沈むので、夕日を眺めつつの湯浴みを楽しめたのも良かったですね……。

こういう、開放感のある露天風呂だと「外から見えてしまうのではないか」と心配になる方もおられると思いますが、露天風呂と外の間にブラインドを下ろすこともできるようになっていました。

誰も通らないので私はブラインドは使いませんでしたが、気になる方のために用意があるのはありがたいことだなと。

また、館内のライブラリーにはバーコーナーがあり、コーヒーやスパークリングワイン、ちょっとしたお菓子などをいただくことができます。

ライブラリーからも海や夕日を眺めることができます。

食事は、特にアップグレードなどせずに基本のコースで予約しましたが、アワビをしゃぶしゃぶと炭火焼きでいただけたり、絶妙な焼き加減の壱岐牛のステーキもおいしく。

朝夕共に壱岐の食材をめいっぱい楽しむことができました。

また、大浴場の露天風呂からも海が眺められます。

全室露天風呂付きの宿なので浴室が混雑することもなく、終始ゆったりと過ごすことができました。なかなか再訪しにくいエリアではありますが、きっとまた伺いたいです。

2022年「風呂」が良かった温泉宿ランキング

「風呂」の良さには「お湯そのものの良さ」と、浴室がきれいで新しい・露天風呂からの眺めがいい・アメニティがしっかりあるなど「浴室の環境の良さ」の2つに分かれるのではないかと思うのですが、ランキングでは特に「お湯」を重視して選びました。

選んだ3軒の宿は、1軒が再訪の宿で、2軒は2022年に初めて泊まった宿でした。

風呂第3位 鹿児島県「吹上温泉 みどり荘」

お湯が良かった宿第3位に選んだのは、鹿児島県日置市にある吹上温泉みどり荘です。
2022年の1月に初めて宿泊しました。

ちょっと公共交通機関では行きづらい場所ですが、鹿児島中央駅から「加世田・伊作行き」のバスに乗り「東本町」バス停で下車してそこから歩くか、バス停の目の前に「湯の浦タクシー」なるタクシー会社があるのでそこからタクシーを利用します。

徒歩25分。タクシーなら5分もかかりません。
以前は隣の「伊作」バス停から宿の送迎を利用できたのですが、現在は送迎は行っていないとのことでした。私は、天気が良かったので歩きましたが、タクシー会社が目の前にあるバス停が最寄りというのは、悪天候の日に便利でいいですね。

みどり荘は、素泊まりだと6畳和室に7000円ぐらいで泊まれるプランがあるのですが、こちらは現在は1人泊のプランは出ていないようです。

2食付きだと料金はグッと上がってしまうのですが、お部屋も広く快適ですし、食事もおいしく、土曜日や連休でも1人で宿泊可能です。

食事も大変おいしいですし、部屋も快適だったので私は2食付きで泊まって満足しています。

黒い湯の花と白い湯の花、異なる2つのトロトロ浴感の源泉が楽しめる

みどり荘の浴室は、敷地内にある池の畔に点在しています。

浴室は「男女別の内湯」と「男女別の露天風呂」そして空いているときに何度でも入浴可能な「貸切風呂」があります。男女の入れ替えはありません。

内湯は窓際に長方形の大きな浴槽が1つ。

洗い場にシャワーはなく、カランからはやや温めに冷ました源泉が出ます。硫化水素臭のある源泉なので、頭を洗ったりするのは好みが分かれるところかもしれません。気になる方はチェックイン前にどこか立ち寄るとかしたほうが良いかもしれませんね。

しかし、この源泉が極上なのです!

内湯はやや黒みがかっていますが、湯の花が黒っぽい色なのです。

身を浸すとかなり濃厚さが感じられる、とろんとした浴感です。ph9ほどのアルカリ性の硫黄泉なんですね。

湯口も源泉の成分で黒く染まっています。ちょっと他では味わえない、個性的な源泉です。

貸切風呂では内湯と同じ源泉を、1人でゆったりと楽しむことができます。

大浴場の窓は目隠しシートが貼ってあって外はよく見えませんでしたが、貸切風呂からは緑の木々に囲まれた池を眺めることができます。

湯温も熱すぎずぬるすぎず適温に調節されています。

加水・加温・循環消毒なしの源泉をめいっぱい楽しむことができました。

そして、露天風呂です。男湯の露天風呂は客室から近いところにあるのですが、女湯は建物から離れた静かな場所にあります。

女湯の露天風呂を離れた場所に設置したのは視線を除けるためだと思いますが、歩いてきた甲斐があった!と思える、静かで開放感のある露天風呂です。

こちらの源泉は宿の自家源泉だそうで、内湯・貸切風呂とは異なるお湯です。
湯の花は白く、phはこちらも9ほど。心地良い程度の硫化水素臭が鼻をくすぐる、すばらしいお湯でした。

2種類の源泉の分析表です。
黒湯のほうはやや温度が低めなので、高温の自家源泉を混ぜて温度を調節しているようでした。

ちなみに食事も大変おいしかったです!

人手が足りていなそうな感じで(おそらくそれで送迎もなくなったんだろうなと)料理がわりと一気に並ぶところやお品書きがないところは、お安い宿ではないので好みが分かれそうではありましたが……。
揚げ物は食事の後半に揚げたてで提供されたし、鹿児島だけどおいしい日本酒を揃えているところなどこだわりが感じられて、私はすべておいしくいただきました。

宿泊レポートはまだ書いていませんが、実は2023年に既に再訪しており、個人的には気に入っている宿です。

風呂第2位 大分県「別府鉄輪温泉 山荘神和苑」

風呂が良かった宿第2位に選んだのは、大分県の別府鉄輪温泉の山荘神和苑です。

以前から青い源泉に浸かれることで有名な、別府では高級なほうの旅館でしたが、コロナ禍以前に全館建て替えてリニューアルオープンし「かなりインバウンドを意識した作りの、全室温泉浴室付きの宿になった」と聞いていました。別府由布院は外国人観光客が多いですからね……。

1度泊まってみたいけれど、リニューアルオープン後は宿泊料金も高騰し「とても泊まれる値段ではないな」と思っていたところにコロナ禍の到来。外国人観光客がいなくなったことで一時的に宿泊料金がかなり下がっており……「これは今のうちに行かなければ!」と思って2022年に滑り込みで宿泊することができました。

宿泊したところ「たしかにインバウンドを意識した作りだな」と思う部分はありましたが、とにかくお湯はすばらしく「泊まれて良かった!」と思えた宿でしたので2位に選出しています。

1年前に全国旅行支援が始まった当時は1人泊のプランがなくなってしまった時期もありましたが、現在は平日のみプランが出ているようです。
1人だと特に割高になりますので、宿泊レポートをお読みいただいて、宿泊を検討いただけますとありがたいです。

まるで青い化粧水のよう!メタケイ酸豊富な源泉は美肌効果も抜群

神和苑は全室露天風呂付きの宿ですが、その他に男女別の大浴場と女性のみ利用できる「泥湯」があります。
泥湯は宿泊レポートには掲載していますが、個人的にはそんなに……というところだったので、ここでは大浴場のみご紹介します。*1

大浴場の内湯は、窓際に広々とした浴槽が2箇所あります。

どちらも適温に調整されており、片方の浴槽はあまり濁りのない青色、片方はミルキーブルー。
「青湯」の宿にはけっこう入っていますが「うっすら青い」ぐらいのところが多くて、露天風呂だと「もしかして、青空が映り込んで青く見えるのかな?」なんて思うことも多かったのですが、内湯で石の浴槽の中のお湯がこんなにはっきり青いことにまず感激しました。

露天風呂に向かう途中には源泉の蒸気を利用した蒸し風呂もあります。

露天風呂の湯口は小さな滝のようになっていて、高温の源泉が流れ落ちてくる間に少し冷えて適温になるという仕組み。

露天風呂も、驚くほどの青さです。
広いので場所によってぬるめだったり熱めだったりしますので、好みの温度の場所を選んで長湯が楽しめます。

恐らく男湯はもっと眺めがいいのではないかと思うのですが……女湯からも別府の街並みを眺めることができました。

そして、客室内の温泉浴室です。

数年前に増築された「宙館」の和洋室に宿泊しました。
パッと見は窓の大きな普通の浴室ですが……

お湯は青いです!

光に照らされてきれいですね……。

実は、チェックイン時にはそこまでお湯は青くなくて「うっすら青い」ぐらいだったのですが、翌日の朝になったらかなり青い色に変化していました。

青湯は大抵「メタケイ酸」を多く含んでいるのですが、例にもれず神和苑のお湯もメタケイ酸豊富な源泉です。

メタケイ酸は肌をしっとりさせる美容液のような成分なので、神和苑のお湯もとろとろ浴感でお風呂上がりはお肌しっとり、美容液に浸かっているような源泉でした。

宿泊したお部屋は神和苑の中ではお安く泊まれるほうの部屋ですが、広々とした和洋室です。内装などはわりとシンプルですが、快適に過ごすことができました。

食事は鉄板焼きコースを選び、こちらも十分満足のいく内容でした。
私が泊まった時期はインバウンドが戻ってくる直前でお安く泊まれたのですが、現在は1人泊だと宿泊料金は割高になっています。1人泊で検討されている方は特に、食事などの内容と値段が見合うかを宿泊レポートで確認していただければと思います。

風呂第1位 鹿児島県「霧島温泉郷 霧島湯之谷山荘」

風呂が良かった宿第1位に選んだのは、鹿児島県の霧島湯之谷山荘です。

とにかくお湯が大好きな宿で、何度も泊まっているのですが……泊まるたびに「また泊まれて良かった」と思っている宿です。

1人で宿泊できる湯治棟はお部屋は古めですし、日帰り入浴も受け付けているので「湯之谷山荘には日帰りで行けばいいのに」と言われたりもするのですが、私は本当にここの風呂が好きで、できれば2食付きで宿泊したいと思っていますので今回も1位に選びました。

じゃらんでのみ1人泊のプランが出ていますが、宿泊を検討する際はレポートをお読みいただいて風呂以外の部分についてもご確認いただければと思います。

「この浴槽を考えた人は天才だな」と思うすばらしい内湯に夜通し浸かれる

湯之谷山荘には男女別の内湯と、宿泊者専用で予約制の貸切風呂が1箇所あります。

貸切風呂は小さな浴槽にやや熱めの源泉が満たされていています。やや青みがかって白濁した硫黄泉です。

外の空気を感じながらの湯浴みはやはりいいものですね。

しかし、湯之谷山荘の真骨頂はやはり内湯です。

昔ながらの木造りの浴室に、3つの浴槽が隣り合って並んでいます。手前の浴槽は1人入ればいっぱいぐらいの小さな浴槽です。

それほど大きいわけではない浴槽がなぜ3つも並んでいるかと言うと、手前の小浴槽と奥の浴槽にはそれぞれ異なる源泉が注がれており、真ん中の浴槽はその2つが混じり合う形になっているのです。

奥の浴槽には高温の硫黄泉が常時かなりの勢いで投入されています。こちらの源泉は飲泉も可能です。奥の浴槽は42度ほどの熱めです。

そして手前の浴槽では、湯口がお湯の中に浸かるような形になっていますが、こちらの源泉は36度ほどの炭酸泉なのです。

湯口でバシャバシャさせると炭酸が消えてしまうからか、小さく深めの浴槽に静かに源泉が注がれています。

そしてその2つの源泉が、真ん中の広めの浴槽で混じり合い、39度ほどの長湯にちょうどいいぬるめの湯温になっています。

この3つの浴槽をひたすら行き来しているううちに、気がついたら何時間も経っていた……というのが、この宿の醍醐味なのです。

だから日帰り客で混雑する昼ではなく、深夜早朝に入りたいので、泊まりたいんですよね。

もはや「偏愛」と言ってもいいかもしれませんが、本当にこの浴室が好きなので1位に選ばせていただきました。

お湯重視ではない方にはおすすめしませんが「ぬる湯と熱湯の交互浴」が好きな方にはぜひ、お試しいただきたいです。

1人で泊まれるお部屋は湯治用のお部屋なので、トイレ洗面も共同ですが掃除はきちんとされています。以前は夕食付きで泊まると食事のタイミングで布団を敷いてもらえましたが、コロナ禍以降はセルフになったようです。

食事は、リーズナブルな宿なので豪華ではないけど味は良いです。鶏刺しも出ます。

それから2022年に宿泊したときは、フロントの前にケージがあって、白い猫ちゃんが寝ていてかわいかったです。

仔猫だったけどもう大きくなっていそうですが……。また必ず泊まりに行きたいので、2食付きの1人泊のプランをなくさないでね……と思っています。
1人泊のプランはじゃらんでのみ提供されているので、気になる方はチェックしてみてください。

2022年「料理」が良かった温泉宿ランキング

実は毎年「料理が良かった温泉宿ランキング」でも、3位を1軒に絞りきれず4軒ご紹介しているのですが、今回も……でした。もはや毎年恒例のようになってしまいましたが、4軒とも本当においしい宿でしたので、ご紹介させてください。

今回選んだ4軒のうち2軒は再訪の宿、2軒は2022年に初めて泊まった宿でした。

また、以前公開した「朝食がおいしい温泉宿20選」という記事内で、今回ご紹介する4軒すべての宿を選出しています。

食事がおいしい宿は、夕食のみならず朝食もすばらしいのですね。

料理第3位 静岡県「伊東温泉 マストランプ」

第3位に選んだ2軒のうちの1軒は、静岡県の伊東温泉にある温泉付きプチホテル、マストランプです。

伊東駅から徒歩20分ほどの場所にありますが、連絡して送迎していただくことも可能です。

2022年の3月に初めて宿泊し、食事のすばらしさのみならず、お湯の良さにも驚きました。

基本的には平日のみ1人泊可能な宿ですが、直前に空室があるときなどに土曜日に1人泊のプランがスポット的に出ていることもあります。2022年に泊まった後「また泊まりたいなあ」と思ってときどきチェックしていたのですが、今年の1月に土曜日に1人泊のプランが出ていたので早くも再訪してしまいました。

宿泊レポートも公開しています。

宿泊当時は工事中でしたが、現在はかけ流し温泉付きの離れの客室が増築されたようです。

金目鯛・伊勢海老をはじめとした伊豆の魚介をフレンチでめいっぱい楽しめる

食事は朝夕共にフロント橫にあるダイニングでいただきます。
テーブルとテーブルの間隔が広く、ゆったりとした空間でした。

1杯目に「山ももスパークリング」をいただき、前菜で早くも「伊勢海老のビスク」が登場します。濃厚でめちゃくちゃおいしい……これはパンが欲しいな……。

と思ったところで焼き立てのパンが提供されます。オリーブオイルが塗ってあり、そのまま食べても料理と一緒に食べてもおいしい!

魚料理は「金目鯛の鱗焼き ふきのとうとナッツのソース」と、春らしさを感じられるメニュー。

食事の後半には宿の名物料理であるブイヤベースが!伊勢海老が丸ごと入っているほか、白身魚やムール貝も入っていて、豪華かつ具だくさん。

最後にブイヤベースのスープでリゾットにしていただきました。魚介のうまみがたっぷり詰まったリゾットは感動のおいしさでした。

朝食も同じダイニングでいただきます。「白インゲン豆と野菜のスープ」「玄米と根菜とひじきのサラダ」など一品一品丁寧に作られたのがわかるすばらしい朝食です。

そしてパンは「クロワッサン」「レーズンパン」「チョコデニッシュ」「海洋深層水を練り込んで作った柔らかいパン」の4種類から好きなものを好きなだけお替わりできます。

部屋はいくつかのタイプがあり、私は和洋室に泊まりましたが、空間がゆったりとしていて快適でした。

浴室は広々とした露天風呂と、2箇所ある内湯のすべてを予約制で貸切で利用します。

すべて予約制なので入りたい気分のときに入れない可能性はあるものの、浴室はどれも雰囲気良くお湯も良く、お湯目当てでも十分満足できる宿だと思います。

料理第3位 北海道「定山渓温泉 厨翠山」

もう1軒、料理が良かった宿の第3位として選んだのは、北海道の定山渓温泉の厨翠山(くりやすいざん)です。
札幌の奥座敷とも呼ばれる定山渓温泉にある、
定山渓第一寶亭留翠山亭と同系列の全13室の宿です。「2022年に泊まりたい宿」の記事で「北海道で泊まりたい宿」として選んでいた宿ですが、宿泊が叶いました。少し先の日程であれば、土曜日も1人泊可能な宿です。

第一寶亭留と同系列の宿は定山渓温泉に6軒ほどあって、女性専用だったり若者向けだったりコンセプトがそれぞれ異なるのですが、この厨翠山は「食の宿」というコンセプトの宿です。

食の宿とは言え、浴室の雰囲気も良く、かけ流しの温泉を楽しめます。
また、滞在中は定山渓第一寶亭留翠山亭の浴室も利用できるという特典があり、湯めぐりのために系列宿を回る送迎バスも出ています。

お部屋はシンプルな和室ですが、アメニティ・設備共にしっかり整っていて快適度の高い部屋です。

ウェルカムドリンクも凝っていたり、お部屋に備え付けられていたお茶菓子が、焼き菓子の詰め合わせだったり。

ラウンジでは時間毎に、お菓子やケーキ、フルーツや夜食が並び、胃袋がいくつあっても足りません。

食事以外のサービス面でも大満足の宿でしたが、やはり1番印象に残っているのは食事だったので「食事が良かった宿3位」に選出しました。

夕食・朝食共に丁寧に作られた料理が少量ずつたくさん提供され、満足度が高い

夕食、朝食共にオープンキッチンスタイルのレストランのカウンター席でいただきます。カウンター席なので1人でも気になりにくく、食事に集中できるのもいいですね。

1つだけ残念だったのが……少量でオーダーできる日本酒の種類が少なく、ほとんどが4合瓶だったことでしょうか。2合瓶でオーダーできる「獺祭」か「八海山」の発泡日本酒から選ぶことになり……1合でオーダーできるお酒があれば……と思いました。実はペアリングプランもあるのですが、1名での宿泊だと予約できなかったのです。

しかし、料理については本当にすばらしかったです。

一品一品が丁寧につくられているのがわかります。

最初の一口のおつまみは「クリームチーズと高菜とデラウェアのタルト」

お凌ぎは「ドナルドサーモン(虹鱒)とイクラ」の手巻き寿司。巻いて食べるのがもったいない美しさです。

お刺身は「毛蟹ボイル、ウニ、帆立」と北海道の旬の饗宴です。お皿にのっている白い泡はなんと「土佐酢」でした。

北海道牛ロースの炭火焼きは、肉の柔らかさや焼き加減のすばらしさはもちろんのこと、付け合わせの野菜の甘さにも驚きます。

デザートは、系列のカフェで提供している塩バニラのジェラートと季節のフルーツ。

最後にコーヒーと一緒に「味噌と小豆のフィナンシェ」が提供されたのもうれしかったです。和食のコースってデザートは少し物足りなかったりしますが、和食の括りにとらわれない、すばらしい夕食でした。

朝食にもしっかりとお品書きがありました。
夕食もそうでしたが、一品一品の量は少しずつで、いろいろなものがたくさん食べられるスタイルです。

どの料理もおいしいので「もう少し食べたい!」と思う量で留まっているのがうまいなあと思いました。それから、朝食の白ご飯が大変おいしかったです。

北海道らしくスープカレーも提供されました。これもお替わりしたいおいしさ……。

食後の「自家製みたらしプリン」のデザートもおいしかったです。

初めての宿泊だったので、ラウンジで提供されるお菓子などもいろいろとつまんでしまい、夕食に集中しきれなかったような気がします。きっといつかまた、別の季節に宿泊して北海道産の食材を楽しみたいです。

料理第2位 新潟県「松之山温泉 酒の宿 玉城屋」

第2位に選んだのは、昨年「2021年に宿泊した食事がおいしい宿」で1位に選んだ、新潟県十日町市の松之山温泉にある「酒の宿 玉城屋」です。

今回1位と2位に選んだ宿は本当に僅差というかおいしさ・満足度では同じレベルなので、両方1位にしたほうがいいのか?とかなり悩んだのですが……。
1位の宿とこちらの宿では1位のほうが少しお安く楽しめるので、それでなんとか順位を付けました。でも、玉城屋さんも本当に好きです。1位の宿のコスパがちょっと異常なんですよ。

そんなわけで2年連続で宿泊した玉城屋さん。私にとってはけっこうお高め宿ですが、お湯も食事もとても気に入っているんですよね。

こちらは平日のみ1人泊可能な宿で、今回は日曜日に宿泊しました。

客室露天風呂付きの部屋で1番コンパクトな部屋を予約していたのですが、なんと「リニューアルしたばかりのコンセプトルームが空いていたので」と、広々とした和洋室に泊まらせてもらいました。これを書くと私の正体が宿の人にバレそうでこわいですが、とにかくすばらしい宿です。

フレンチと日本酒のペアリングプランが抜群にすばらしく、朝食のご飯も感動的なおいしさ

松之山温泉は1000年以上前に地中に閉じ込められた化石海水が地圧によって湧出しているそうで、塩分をはじめとした成分が濃く、草津温泉、有馬温泉と並んで「日本三大薬湯」のひとつに数えられます。

うっすらと緑っぽくも見える透明な源泉ですが、石油のような独特の香りがほんのり漂い、成分の濃さを感じさせてくれます。よく温まり、メタケイ酸豊富で肌がしっとりするすばらしいお湯です。

大浴場の前にはお休み処があり、ルイボスティーやわさび沢の冷たいお水をいただけるのですが、その他に数本の日本酒のボトルが入っています。

栓を抜いてから数日経ち、有料で提供はできないけれど細かいことを気にしなければまだまだ楽しめる!というお酒を「訳ありのお酒」として提供しているそうです。飲んでみたところ、まったく訳ありとは思えないおいしいお酒でした。

食事は朝夕共に1階のダイニングでいただきます。
玉城屋さんの夕食は「里山キュイジーヌ」と称される、フレンチのフルコースです。

飲み物についてはその都度注文することもできますし、日本酒またはワインのペアリングプランで宿泊料金に含める形で予約することもできます。前回宿泊したときに「日本酒ペアリングプラン」がとても気に入ったので、今回も同じプランで予約していました。

利き酒師の上位資格である「酒匠(さかしょう)」の資格をお持ちのオーナーが、その日のとっておきのお酒を料理に合わせて提供してくださいます。

最初の1杯は阿部酒造のクラフトコーラシロップを、専用の日本酒で割ったもの。これがスパイシーでめちゃくちゃおいしい!

前菜は松ぼっくりなどが一緒に盛り付けられていてびっくりしますが「グジエール」というおつまみのチーズ入りシュークリームです。スパイシーなお酒によく合います。

ここからもすべておいしい料理が続くのですが……玉城屋さんのお品書きはすごくシンプルでして……。

もちろん、料理を提供されるときにしっかりと説明はいただいており、その場では「なるほど!」と思ってメモを取っているのですが、後から見るとよくわからなかったりもします・笑
個人的には「お品書き詳しく書いてほしいー」と思わなくもないですが……メモしている限りでご紹介したいと思います。

ズッキーニと自家製リコッタチーズ、梅のジャムの上に半透明な膜のようなものがかかった料理。実は上にのっているのは夕顔で、美しい一皿でした。

「サザエの肝和え」は、サザエとそうめん南瓜を肝ソースで和えたもの。

魚料理は「めばるのフリット」で、ロメスコーソースというナッツやパプリカ、トマトの旨みがたっぷりのスペイン料理のソースがかかっていました。

肉料理は妻有ポークのビール煮込み。マコモダケとつるむらさき、シシトウが添えられています。

料理1品ごとに異なるお酒が提供され、酒器も凝っているし、私には量もちょうど良かったです。

最後に、ずいきとブルーベリー、甘酒のムース。

それから桃の紫蘇のゼリー、ヨーグルトのアイスとデザートも2品!フレンチはデザートがしっかりあるから好き……。

最後にコーヒーと一緒に提供されたお菓子は、栗のパウンドケーキ、フランボワーズのゼリー、パッションフルーツのマシュマロの3種。最後まで手抜きなしのすばらしい夕食でした。

ちなみに食事の後半、日本酒をサーブいただく際にオーナーに
「今回はどのお酒が好みでしたか?」
と聞かれたのですが、もうだいぶ酔っていたので「全部おいしくて選べませんー」みたいな感じで答えたら
「前回はあべの純米吟醸っておっしゃってましたよねー?」
とさらっと言われて、ちゃんと記録してあるんだ……と、震えました。(前回泊まったのは1年半前なので、記憶していたわけではないですよね……)

朝食は、前日と同じダイニングで、和食ベースですが色鮮やかで楽しい朝食です。

5種類あるジュースに圧倒されますが、全部おいしかった!こちらは説明も詳しいのね……。牛乳が飲めないので、白いのが牛乳じゃなく「吉乃川の甘酒」でうれしかったです。

大皿に野菜や山菜のおかずが盛り合わせられていますが、これが見た目にも美しく、味もおいしくてとても気に入りました。

1人で泊まれるのは平日のみですし、お値段もなかなかの宿ですが、自分にご褒美をあげたいときなどにきっとまた泊まりたい、お気に入りの宿です。

料理第1位 神奈川県「湯河原温泉 オーベルジュ湯楽」

2022年料理がおいしかった宿第1位に選んだのは湯河原温泉の「オーベルジュ湯楽」です。

2019年、2020年と続けて1位に選んでいた宿で、今回3度目……でもやっぱり、この宿はすごいなと思います。なんと2022年は1月と6月に2回泊まってしまいました。

建物は新しくはなく、エレベーターがなくて階段が多い宿です。トイレは各部屋にありますが「部屋から廊下に出るとその部屋専用のトイレが目の前にある」という作りの部屋もあり、以前ご紹介したときにそのあたりが気になったという感想をいただいたこともありました。

しかし……料理もお酒もすばらしいのです。お湯も良いのです。

男女別の大浴場の他に、予約制の貸切風呂も2箇所あります。

建物が新しくないと言っても客室やレストラン、ライブラリースペース内はきれいで快適ですし、個人的には気になりません。今年の9月から来年の2月にかけて改修工事を行うため、客室を限定しての営業となるそうです。その間は客室数を絞っての営業となるため予約難易度は上がってしまいそうですが、土曜日も1人で泊まれる宿です。

宿泊レポートも公開しており、過去にいただいた料理についても紹介しています。
料理プランによって内容が異なりますので、参考にしていただければと思います。

イタリアンコースで予約し、本格的なイタリアンと洋朝食に感動

2019年と2020年に宿泊した際は「シェフ特選コース」「湯楽特選コース」で予約し、こちらはいずれも「イタリアンと和食を融合させたフルコース」でした。この2つのコースは、食事の最後は土鍋で炊いたご飯が提供され、翌日の朝食は和食となります。

どちらのコースもすばらしかったのですが、シェフはもともとイタリアンレストランのシェフだと聞きますし、本格イタリアンをいただける「イタリアンコース」を食べてみたい!と思い、2022年の1月に予約しました。

そうしたらイタリアンコースがとても気に入ってしまったので、2022年の6月にまたしてもイタリアンコースで予約してしまいました。このときはリピーターになるといただける「バースデー特典ハガキ」を利用して、特典付きで宿泊しています。

2022年1月に宿泊した際の食事については既に宿泊レポートに掲載済みですので、今回は6月に宿泊した際の料理をご紹介します。

イタリアンコースの料理は、グラスのスパークリングワインから始まります。こちらの1杯はコースに含まれています。すっきりと辛口で飲みやすい泡です。

前菜1品目は「水蛸 金時草 オクラ」スプーンですくっていただきます。

前菜2品目は帆立と水茄子をアンチョビのソースで。

地魚のカルパッチョはイサキとシマアジ、くろむつです。海藻や食べられる花で美しく彩られており、味もすばらしいです。

パンは左から「全粒粉のパン」「セッポリーニ」「グリッシーニっぽい固いパン」です。

「セッポリーニ」は「生地に海藻を練り込んで揚げたパン」で、こちらでは生海苔を練り込んでいるそうです。ポンデケージョを揚げパンにしたような味で、もちもちしていてめちゃめちゃおいしい。このあたりでグラスの白ワインをオーダーしました。

ここで、バースデー特典のブイヤベースが!ムール貝、アサリ、海老などかなりしっかりと量があります。

ブイヤベースの後は残ったスープでリゾットかパスタを作っていただけるというおまけつき!パスタでお願いしましたが、ゆで加減が当然のように完璧で、濃厚なブイヤベースを最後まで味わいつくしました。

ロゼワインを追加でオーダーし、鮎と枝豆の焼きリゾットに青海苔のスープを合わせたもの。

ここでリゾットが来るとわかっていたので、ブイヤベースはパスタでお願いしたのです。こちらはさっぱりとした味わいで、まるでお茶漬けのようにさらさらっといただいてしまいました。

魚料理は「さごし」という鰆の幼魚のグリルをワタリガニとズッキーニのソースで。淡泊な味わいのお魚に濃厚なソースがたまりません。

お口直しのグラニテの後に黒毛和牛のリブロースを。バルサミコとフォンドボーのソースで、たっぷりの野菜と共にいただきます。

バースデー特典付きでの宿泊だったので(実際の誕生日はだいぶ前だったのですが)デザートにはバースデーメッセージ付き!

最後にコーヒーをいただいてごちそうさまでした。

オーベルジュ湯楽は、グラスでいただけるワインの種類がかなり多く、日本酒やカクテルもいろいろとラインナップされているのが楽しいのですが、この日は季節限定の「甘夏スプモーニ」が気になって、お部屋でいただくためにオーダーしてしまいました。

甘夏のさわやかな酸味がおいしかったです。

イタリアンプランでは、朝食に洋食を選ぶことができます。干物をいただける和朝食もいいのですが、この洋朝食がかなり気に入っておりまして。

たっぷりの野菜サラダに、生ハム、自家製の鶏ハム、しらすとオリーブなど、ワインが飲みたくなるおかずが並びます。

焼き立てのパンドミと「パセリとクリームチーズの塩ケーキ」も絶品で、パンはお替わりをお願いしました。

特製のミートソースを添えられた温泉卵は、パンに付けると無限に食べれそうな危険なおいしさでした。

デザートにフルーツを添えた自家製パンナコッタをいただき、コーヒーのお替わりもいただいてお腹いっぱい。

季節毎に旬の食材が使われていて、さらに毎月メニューが大きく変わるので、短期間でリピートしてもまったく飽きることがないのがすごいなと思います。また必ず泊まりたい宿です。

【おまけ】惜しくも選に漏れた「部屋・風呂・食事」すべての満足度が高かった絶対再訪したい宿5軒

ここで紹介した以外にも、2022年はさまざまなすばらしい宿に出会えました。

ご紹介した10軒は宿泊料金がややお高めの宿が多いのですが、「部屋」や「食事」がいい宿の宿泊料金が高くなりがちなのは仕方のない面もあります。そのためこの後は2022年に宿泊した「2食付き2万円以下で1人泊できる宿」に絞って10軒を選んだ記事を、本年中には更新する予定です。

しかし、昨今の物価上昇に伴い、また1人泊は割高になるということもあって、2食付き2万円を超える宿が全体的に増えました。すごくいい宿なのに「2食付き2万円以下」という括りだと選外になってしまう宿がかなりあるのです。

それはちょっともったいないなあと思ったので、ここから先は私の日記ブログ「日常に帰ろう」の有料記事を購読してくださっている方への特典として「食事、部屋、風呂のいずれかが飛び抜けているわけではないので今回のランキングからは漏れたけれど、すべての満足度が高かった宿」を5軒、ご紹介したいと思います。

日記ブログについて初めて知った、購読を迷っていた方は、この機に購読いただけましたら幸いです。月額300円です。

また「日記ブログなんぞ興味はないけどその5軒は気になる」方のために、この下の有料部分のみ、100円で読めるようにしました。

ただし、ご紹介する5軒はいずれも、既に「山と温泉のきろく」内で宿泊レポートを公開している宿です。過去のブログ記事をすべてお読みになっている方であれば「なんだあそこか」と思われるかもしれません。

あくまで日記ブログ読者の方へのおまけとして追記した部分になりますので「購入したのに既に知っている宿だった」などと言われませんよう、ご了承願います。

*1:清掃時間前に許可をいただいて撮影しています。

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