温泉ブログ 山と温泉のきろく

山好き女子の温泉と食と山旅の記録です。

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2020年に泊まった温泉宿で「部屋」「風呂」「食事」が良かったおすすめ宿ランキングを発表する

お題「#買って良かった2020 」

2020年の温泉旅は、すべて一人旅でした

2017年から毎年、1年間に泊まった宿を振り返って「部屋」「風呂」「食事」というそれぞれの側面において「この宿はすばらしく良かった!」と印象に残っている宿をそれぞれ1位から3位まで紹介する、という記事を更新しています。本稿はその、2020年版です。

過去3回分の記事は下記になります。

毎度のことで申し訳ないですが、食事部門だけ3軒に絞りきれず3位が2軒あり、全部で10軒の宿を紹介しています。

2019年に続いて2020年版で選んだ宿も、すべて1人で宿泊した宿でした。2019年は、たまたまひとり旅で泊まった宿がピックアップされたのですが、2020年はコロナ禍もあってすべての旅がひとり旅だったのです。

今回ご紹介している10軒の宿の中で7軒は、休前日でも1人で宿泊可能な宿で、実際に私も土曜日に宿泊しています。私自身もそうですが、土日休みの勤め人で、できれば土曜日に1人で泊まれる宿が知りたい……という方が多いのではないかと思いますので、各宿についていつなら1人で予約可能かを付記しています。

気軽に旅に出づらい状況ではありますが、誰とも会話をしないひとり旅は、中では比較的ハードルが低いのではないかと思います。今後の旅の参考にしていただければと思います。

また、2019年までに泊まった、一人旅で利用しやすい温泉旅館については、発売中の著書にもたくさん掲載していますので、ぜひ、お手に取っていただけますと幸いです。

「部屋と建物」「風呂」「食事」の項目ごとに良かった宿ランキングを作った

普段、温泉旅館の宿泊レポートを書く際に私は、★5つを満点として「部屋」「食事」「風呂」について自分なりに採点し、最後にサービスや総合的な印象などを含めて「再訪したい度」を決めて、ご紹介するようにしています。

そのため、この記事ではそれに倣い「部屋」「食事」「風呂」という観点で、最高に印象に残っている宿を1位~3位まで発表します。項目ごとのランキングなので「お湯はいいけど、食事はちょっと……」な宿であっても「風呂ランキング1位」になり得るということです。

ただ、実際に「いい宿だったか」「また泊まりたいか」ということを考えるときは「部屋」「風呂」「食事」のどれかが突出していい宿だけではなく「すべてが平均的に良い」宿や「サービスが良い」「コスパがいい」宿が上位に来ることも多いものです。

昨年同様「いろんな要素を総合的に見たランキング」は、別の記事でまたご紹介したいと思います。

2017年、2018年、2019年に泊まった宿の総合ランキングは上記です。

2020年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング

宿泊レポートの中では「部屋」という項目名ですが、実際には

・建築物としてすばらしく「ここに泊まれるのか!」という感動がある
・設備が整っており、住みたいぐらい快適に過ごせる

という2軸で見ているため「部屋と建物」が良かったランキングとしています。

部屋第3位 鹿児島県「妙見石原荘」

鹿児島県霧島市の妙見温泉は、1895年(明治28年)に開湯した温泉地で、かつては湯治場として栄え、現在も自炊湯治の宿が多く残っている温泉地です。

源泉は鉄分を多く含んだ炭酸水素塩泉ですが、すべての宿が自家源泉を持っており、非常に湯量が豊富です。宿ごとに泉質も少しずつ違っていて、いつまでも入っていられるような温めの源泉もあれば、炭酸ガスを多く含んだ泡つきの良いお湯もあります。鹿児島空港から比較的近く、バスの便も良いので鹿児島に行く度に立ち寄っているお気に入りの温泉地です。

湯治宿が多い妙見温泉の中に2軒、宿泊料金が3万円を超える高級旅館があります。そのうちの1軒が、今回ご紹介する妙見石原荘です。

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1度泊まってみたい!と思っていた憧れの宿だったのですが、実はこちらの宿、じゃらんや楽天などの予約サイトでは1人泊のプランは提供されていません。

ですが、公式サイトから予約すれば、平日のみ、宿泊できるお部屋は限定されるものの、1人で泊まることも可能です。

部屋は広く快適、個室食事処は雰囲気抜群で、猫がいる

妙見石原荘で1人で宿泊できるのは、本館の「現代和風のお部屋」です。

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8畳の和室にリビングが付いており、1人で泊まるにはもったいないほどの広さです。

リビングスペースには応接セットと、デスク、冷蔵庫とお茶セットなどがまとまっていました。デスクが別にあるので「ブログ執筆が捗りそう!」と思ったのですが、お部屋のWi-Fiは若干弱めだったことは少し残念。部屋の場所にもよるのかなとは思いますが。

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うれしかったのは給茶コーナーに、ハンドドリップでコーヒーを淹れるための用意が整えられていたこと!ペーパードリップ用に挽かれた豆もたっぷり用意してありました。

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カプセル式のコーヒーメーカーが部屋に置いてある宿はたまにあるんですが(蔦温泉とか)ドリップコーヒーは淹れた後にゴミがたくさん出てしまうからか、部屋に置いてあるところはあまり見たことがありません。遠刈田温泉の大忠にはドリップタイプのコーヒーメーカーがあったかな……でも、思い浮かぶのはそのぐらいです。

コーヒーが好きで、旅に出るときもいつもドリップパックを持参する私は、やっぱりハンドドリップが1番好きなんですよね。ありがたく使わせていただき、お茶うけに置いてあったお茶菓子と一緒にコーヒータイムを楽しみました。

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お茶うけも、鹿児島県産の素朴な味わいのお菓子が3種類も置いてあり、どれも甘すぎず優しい味わいでおいしかったです。

また、部屋の設備で印象的だったのは、トイレがすごく広いこと・笑

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男性小用と洋式便座があり、同室なので一緒に使うことは難しいですけど、おしゃれだし良かったです。

館内の設備も、どこも雰囲気があってゆったりとしており、寛げる雰囲気でした。
中でも気に入ったのは、浴室棟にある「湯上がりラウンジ」です。

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お風呂上がりに冷たいお水やコーヒーなどを自由にいただけます。
宿泊したのは2月なんですが、冬でも周辺の木々の緑が楽しめるのは鹿児島ならではかもしれないですね。

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この日は「ほっとアップルジュース」が用意されており、これが甘酸っぱくておいしい!アップルティーかと思ったらりんごジュースで驚いたんですが、りんごジュースって温めてもおいしいんですね。真似してみよう……。

それから、夕食と朝食をいただいたいた食事処も、雰囲気がすばらしかったです。

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朝と夕で別の席だったんですが、席ごとにテーブルなどの素材も違うことにも驚きました。
それと、食事処は「個室」というほどの閉鎖空間ではないのですが、他のお客さんの席はまったく見えないようになっているので、1人でも気になりません。密にならなくてすばらしいですよね。

それから、こんな高級旅館ではちょっと珍しいんじゃないかと思うのですが、宿の中に猫がいるんです!

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もともとは迷い猫だったそうで……「ろてんぶろ」から取って「ロブ―」というんだそう。

招き猫のように、玄関の近くにいるので癒やされました……。お高いので頻繁には泊まれませんが、またいつか泊まってみたい宿です。今回「部屋」での選出でしたが、食事もお風呂もすばらしかったので、近々宿泊レポートも更新するつもりです。

部屋第2位 福岡県「二日市温泉 大丸別荘」

二日市温泉は、博多駅から電車で30分足らず(特急なら10分少々)のJR二日市駅の南西にある「博多の奥座敷」とも呼ばれる温泉地です。

部屋が良かった宿2位の宿「大丸別荘」は、二日市温泉を代表する、1865年(慶応元年)創業の歴史ある旅館です。

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予約サイトなどでは「ハイクラス」に分類されることの多い宿ですが、以前から「いつか泊まりたい!」と思っていた宿で、毎年1月に更新している「今年泊まりたい宿」の記事でも「2020年に福岡県で1番泊まりたい宿」に選んでいました。

念願叶って2020年1月に宿泊することができ、ブログに宿泊レポートも書いています。

今回「部屋」で2位に選出しましたが、先にご紹介した妙見石原荘同様に食事もお風呂もすばらしい宿でしたので、興味のある方は記事のほうもお読みいただければと思います。

土曜日でも1人で、温泉内湯付きの部屋に泊まれるのが本当にうれしい

大丸別荘は、全41室の中規模な旅館ですが、部屋数のわりに敷地がものすごく広くて、お庭を散歩するだけでも楽しいです。

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大丸別荘は、建築された時期の異なる「平安亭」「大正亭」「昭和亭」 の3つの宿泊棟と「蓮魚庵」という一戸建ての離れから成るのですが、すべての部屋タイプに1人で泊まることができるのが本当にすばらしいなと思います。

今回私は「平安亭」のお部屋を予約しました。「平安亭」と離れの「蓮魚庵」には、部屋付きの内風呂にも温泉が供給されており、自室でかけ流しの温泉が楽しめるのです。

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部屋に入るとまず、長い廊下が続いていることに驚きます。

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リビングスペースも広々。
1人で使うのは申し訳ないぐらの広さですが、2人で泊まったときの1人あたりの宿泊料金と、1人泊の宿泊料金の差は、時期やプランにもよりますが概ね6千円ぐらいです。このクラスの宿としては差額は小さいほうだと思います。

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和室も二間続きです!
夕食、朝食共にお部屋でいただくのですが、2部屋あるので、朝食のときもお布団を敷きっぱなしにしておいてもらえるのがうれしいですね。

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お布団もぶ厚くてふかふかでした。

そして、楽しみにしていた内風呂は、檜造りで浴室中に良い香りが漂っているし、円窓で雰囲気あります。

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蛇口からは、ほんのり硫黄の香りのする源泉が。好きなようにお湯を継ぎ足して、源泉100%のまま、ちょうどいい温度で極上の源泉を楽しめます。

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部屋や建物の雰囲気もすばらしかったのですが、何よりも部屋風呂のすばらしさが印象に残りました。

1点だけ、部屋のWi-Fiがあまりつながらなかったのだけが残念だったかなと。

とは言え、部屋のみならず、食事もお風呂もすばらしいお宿ですし、「大正亭」という、大正時代に建てられた棟の部屋も気になっています。大正亭は、各部屋の風呂は温泉ではないのですが、大正亭に宿泊した人専用の貸切浴室が2つあり、夜通し入浴可能なうえに非常に雰囲気が良さそうなんです。

次泊まることがあれば、食事を少しグレードアップしたプランで予約したいなと思っています。

部屋第1位 長野県「信州湯田中温泉 華灯りの宿 加命の湯」

部屋と建物が良かった宿の第1位は、2月に1人で宿泊した、湯田中温泉の「華灯りの宿 加命の湯」です。

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全6室の小さな宿ですが、すぐ近所にある「よろづや」さんという老舗旅館の姉妹館です。

休前日は1人で泊まれない宿ですので、月曜日にお休みが取れたときに伺いました。
と言っても「この宿に泊まりたくて休みをとった」わけではなく、予約した時点ではこの宿のことはまったく知りませんでした。

「湯田中は熱いお湯だから、行くなら寒い季節がいいなあ」と思っていたんですが、2月に休みが取れたので湯田中温泉で空室があった宿の情報や口コミを見比べて、この宿が1番気になったので泊まってみた、という感じです。私はわりとそんな風に、日程優先で「この日空いてる宿で一番良さそうなのどこかな?」という宿の選び方をすることも多いんですよね……もちろん「ちょっと失敗したかな」と思うこともゼロではないですが・笑

しかし、知らずに選んだけれど加命の湯さんは、すばらしい宿でした。巡り会えて本当によかったし、一期一会に感謝しています。

こたつ&ロッキングチェア&夜食&DVDプレイヤーなど住みたくなる快適さ

色浴衣サービスがあり、チェックイン時に選ばせていただきました。柄もなかなかかわいかったです。

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そのわりに、すごく普通な浴衣を選んでしまいましたが……。

案内されたお部屋に一歩足を踏み入れて「あ、これはいい部屋だ!」と思いました。

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こたつとテレビとロッキングチェアの配置が、完璧ではないでしょうか……。

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窓辺に置かれたロッキングチェア。普段座る機会があまりないので、部屋にあると興奮します。お休み処にあるのはたまに見ますが、泊まる部屋にロッキングチェアがあったのは、新穂高温泉の中尾平さんぐらいではないかしら……。

また、家具だけでなく家電も充実していました。

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Panasonicのナノイースチーマーに、ナノイードライヤー。そしてDVDプレイヤー。
けっこういいお値段の宿なので、連泊するのはなかなか大変ですが「連泊してだらだらDVD見て過ごしたいよー」と強く思いました。

こたつの上にあった陶器の器の中には、お茶請けのおまんじゅうが。

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これが、黒糖味で非常においしかったんです。
お茶請けがおいしい宿って食事もおいしいことが多いので期待が膨らみますが……実はこちらの宿では、食事の提供は朝食のみで、夕食は姉妹館の「よろづや」さんでいただくことになります。

2人以上で宿泊する場合は、夕食を周辺の提携レストランで食べるプランもあるのですが、1人で泊まるときは連泊しない限りよろづやさんでの夕食になります。(夕食なしプランの設定は現在はなし)

よろづやさんの夕食はおいしかったし、よろづやさんでお風呂にも入れるのでお得感がありました。ただ、広い食事会場での食事となり、1人で泊まっている人は少ない宿なので、そのあたりが気になる方は避けたほうが良いかと思います。

夕食をいただいて宿に戻ってくると、雰囲気ある建物なんだなと思ったり。

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部屋に戻ると……こたつの上に今度は夜食が置いてありました!

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小さなおにぎりと漬物です。こうなるとお酒も飲みたいな。

夕食の提供はありませんが、お部屋でお酒をオーダーすることは可能でした。メニューの中から地ビールの「志賀高原ビール」を電話でお願いすると……。

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あれ?頼んでないのに梅酒もあります。女将さんが作った自家製の梅酒をサービスでいただきました。梅の実が2つも入っていてうれしいですね。 

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梅酒を飲みながらこたつでフィギュアスケートの中継を見たり、リクライニングチェアでビールを飲みながら、ゆるゆると夜が更けていきました。

早寝するのがもったいないぐらいの快適な部屋で、ゆったり過ごせてリフレッシュできました。朝食も大変おいしかったので、早く宿泊レポートを書いてご紹介したいです……。

2020年「風呂」が良かった温泉宿ランキング

「風呂」の良さには「お湯そのものの良さ」と、浴室がきれいで新しい・露天風呂からの眺めがいい・アメニティがしっかりあるなど「浴室の環境の良さ」の2つに分かれるのではないかと思うのですが、今回のランキングは特に「お湯」のほうを重視して選びました。

選んだ3軒の宿は、1軒のみ再訪の宿で、2軒は2020年に初めて泊まった宿でした。

風呂第3位 和歌山県「湯の峰温泉 湯の峯荘」

風呂が良かった第3位に選んだのは、和歌山県の湯の峰温泉 湯の峰荘です。

和歌山県の、熊野古道周辺のエリアには小規模な温泉地が点在しており、いつか行ってみたいと思っていました。しかし……東京からはなかなか交通の便が良くないのですよね。となると、行くなら1泊ではもったいない!と思ってしまい、これまでなかなか計画ができませんでした。

2020年の11月上旬に連休を取り、熊野古道周辺エリアだけで3泊する旅を計画したのですが、3泊した中で最もお湯が印象に残ったのが、湯の峰温泉の湯の峰荘です。

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温泉街からは少し離れているため、宿に連絡すれば温泉街までは迎えに来てくれるようなのですが、私はのんびり歩いて伺いました。本数は少ないですが、宿の近くまでバスの運行もあります。

湯量豊富な大浴場と、空いているときに自由に入れる貸切浴室

湯の峰荘には2つの大浴場と2つの貸切浴室があり、すべてのお風呂が夜通し利用可能です。

大浴場は、時間帯で男女が入れ替わります。チェックインから午後10時まで女湯だった浴室はこちら。

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浴室に足を踏み入れるといきなり小さめの浴槽があり、奥のほうにもやや広い浴槽があります。同じ源泉のようでしたが、温度が少し異なるので、好みで選べるのがうれしいですね。 

湯口や浴室の床には、温泉の成分が固まったもの(析出物)がたっぷり。

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ほんのり黄色っぽい色のついた源泉で、いかにも成分が濃い!感じ。
浸かってみると、熱めだけどとろみを感じさせるような濃厚なお湯です。湯口で源泉を口に含むと、ほんのりと硫黄の香りがして、案外飲みやすい味でした。

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露天も広く開放的で、周囲の山並みを眺めながらの湯あみが楽しめました。

大浴場からすぐのところに、貸切の浴室が2室あります。予約制ではなく、空いていればいつでも貸切利用が可能です。

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木造りの湯小屋の中は昔ながらの雰囲気で、やや薄暗いのですが、窓から差し込んでくる光を感じながら、1人で静かにお湯に浸かる時間は、やはり格別ですね。

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貸切浴室は浴槽が小さいため、源泉の投入量は大浴場よりも絞ってあります。そのため、お湯の新鮮さでは大浴場のほうが勝るかなと思いましたが、そうは言っても、無料で空いていればいつでも、何度でも使える貸切風呂があるのがうれしいポイントです。 

源泉利用状況と、温泉分析書が掲示してありました。

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加温も消毒もしていない源泉かけ流しですが、気温によっては加水することもあるそうです。源泉温度が72度と高温だからですが、宿泊したのは11月の肌寒い日だったので、加水はしていたとしてもそんなに大量ではなかったと思います。ph8.1でややアルカリ度が高いこともあり、つるつる感のある良いお湯でした。

夜10時に男女の大浴場が入れ替わりますので、深夜と朝に、もう1つの大浴場に入りました。

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内湯は大きな浴槽が1つで、露天風呂は小さめの浴槽が2つと、もう1つの大浴場(内湯2、露天1)と浴槽の数が逆になっていました。こちらの浴室も開放感があってお湯もすばらしく、浴室の清掃が始まる9時直前まで浸かってしまいました。

宿のお風呂の紹介はここまでですが、チェックアウト後は温泉街まで車で送っていただき、世界遺産にも登録されている「つぼ湯」に入りに行くことに。

1組ずつ、30分交代の貸切利用なので、混んでいる日は何時間待ちになってしまうこともあるそうですが、この日は平日だったので、先客は1組だけ。20分ほどの待ち時間で入ることができました。

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川のすぐ側に湯小屋があります。湯の峰荘のお湯とはかなり泉質が異なり、こちらは青みがかっていて濁りがあり、宿の源泉よりも強めの硫化水素臭がありました。

30分入浴してあがったら、既に「2時間待ち」になっていて驚きましたが……湯の峰温泉に来たら、「つぼ湯」もぜひチェックしていただけたらと思います。

湯の峰温泉、温泉街も(お店などはほとんどありませんが)雰囲気があって良い温泉地でした。

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湯の峰荘も、お湯がすばらしいのはもちろんのこと、食事もおいしく、夕食は部屋でのんびり食べれますし(朝食は会場食)、接客も気配りが行き届いていて、また必ず泊まりたい、すばらしい宿でした。

風呂第2位 山形県「深山荘 高見屋」

風呂が良かった宿第2位に選んだのは、山形県の蔵王温泉、深山荘高見屋です。 
宿泊したのは、小雪のちらつく12月の寒い日でした。

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蔵王温泉は山形県の有名温泉地ということもあって、これまで何度も泊まっているのですが、深山荘高見屋さんに宿泊するのは今回が初めて。

なので、蔵王温泉のお湯がすばらしいのは以前から知っていたのですが、高見屋さんは浴室の雰囲気・快適度・湯使い共に、これまで泊まった蔵王温泉の宿と比較しても一歩抜きん出ていると感じました。

宿泊料金も、これまで泊まった宿よりは少しお高めなんですが、GoToキャンペーンの恩恵もあって、宿泊が叶ったというところです。

「ハイクラス」に分類されることの多い宿ですが「一人旅専用」の客室が1室あるため、休前日であっても一人泊の受け入れがあります。

今回は「お湯」でのランクインですが、食事も大変おいしく、部屋も「一人旅専用ということは狭いのかな?」と思いきや、一般的な広さの和室でした。

白濁の硫黄泉を、昔ながらの雰囲気ある浴室と快適な新しい浴室で楽しめる

深山荘高見屋さんの浴室は、昔ながらの浴室「長寿の湯」と、設備の新しい大浴場「せせらぎの湯」がそれぞれ2室あり、時間帯で男女交代となります。この4つの浴室は夜通し利用可能です。

このほかに、50分2700円の有料の貸切風呂も2室ありますが、1泊では4室ある一般浴室を堪能するので十分だろうと思い、今回は貸切風呂は利用しませんでした。

長寿の湯は、昔ながらの木造りの浴室です。フロントから近いところにあります。

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隣り合う2つの浴室のうち、1室には露天風呂がついているのですが、現在は利用できなくなっていました。

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脱衣所は畳敷きで広々しており、洗い場は板張りです。
昔ながらの建物ですが、シャワーなどの設備はきちんと新しいものが設置してありました。

洗い場の向かい側には、大きな浴槽が一つ。

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お湯は濃厚な酸性硫黄泉です。42度程度の熱めの適温に調整されていて「あちちっ!」とならずに入れるちょうどいい温度でした。
浴室内の照明は少なめで、あまり明るくならないのですが、夕方に入っていたら外がだんだん暗くなって、夜に近づいていくのが窓越しに感じられてよかったです。

翌朝入ったもう一つの「長寿の湯」がこちら↓ 

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内湯の雰囲気、泉質などはどちらも変わらずでしたが、どちらの浴室も昔ながらの雰囲気が残っていて、天井が高くて開放感があり(硫黄泉なので換気を良くする必要があり、天井の高さは重要なのです)ゆったりと浸かれるすばらしい浴室でした。

さて、フロント近くにあった「長寿の湯」とは逆に、建物の奥のほうにある大浴場が「せせらぎの湯」です。

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こちらも、時間帯で男女の浴室が入れ替わります。

長寿の湯よりも新しく作られた浴室で、脱衣所や洗い場の設備も新しくピカピカです。

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硫黄泉の浴室の場合、シャワーやカランなどの金属部分が傷みやすいのですが、こちらの浴室のカランはとてもきれいです。

もちろん、定期的にメンテナンスをしているというのもあるのでしょうが……よく見ると「洗い場」と「浴槽」の間にドアがあり、完全に別室になっているのです!

ドアを開けると、内湯の浴槽がありました。

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なるほど……これは良く考えられている浴室だなと思いました。

硫黄泉の源泉は私も大好きですが「硫黄の成分で金属が腐食しやすい」という欠点と「硫化水素がたまらないよう、浴室の換気を良くしなければならない」という特徴があります。

だから硫黄泉の浴室は、真冬でも窓が開けっぱなしになっていたりして、寒いことが多いんです。お湯に浸かっているときはいいけれど、洗い場で体を洗っているときに寒くてたまらない!ということになりがちなんですが、「浴槽」と「洗い場」を完全に別室にしてしまえば、洗い場も寒くならないし、おまけにカランなども、多少は腐食しにくくなるのではないでしょうか。

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源泉投入量も多く、湯口には温泉の成分が白くこびりついていました。

内湯にしばらく浸かった後、露天風呂に入ろうとしたら、その手前にも1人しか入れないような小さな浴槽がありました。

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浴槽が小さいと、源泉が頻繁に入れ替わるからか、濁りが少なかったですね。

そしてこちらが露天風呂。

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この日はまだあまり雪はありませんでしたが、今ごろはきっと、かなり降り積もっていて雪見露天も楽しめるのではないかと思います。

ほんのり青みがかったミルキーブルーの源泉です。

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温度も41度ぐらいでちょうど良く、成分の強い温泉なのであまり長湯しすぎないほうがいいのですが、時間を忘れて楽しんでしまいました。

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源泉使用状況が掲示してあり、加水・加温・消毒・循環ろ過すべて無しのパーフェクトなかけ流しの温泉でした。

入れ替えになった、もう1つの「せせらぎの湯」には翌朝入りに行きました。

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こちらも、浴槽と洗い場の間に壁があり、完全に別室になっていました。

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内湯は広々。お湯も新鮮です。

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露天風呂は「桶風呂」とのことで、山形の伝統桶職人が作った大きな桶を、浴槽にしているそうです。

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簾がかかっていて外が見えないのは少し残念でしたが、チェックアウトギリギリまですばらしいお湯を楽しめました。

風呂第1位 鹿児島県「霧島湯之谷山荘」

2020年お湯が良かった宿第1位に選んだのは、鹿児島県霧島市の「霧島湯之谷山荘」です。「部屋が良かった宿第3位」でご紹介した「妙見石原荘」に宿泊する前日に、こちらに泊まりました。 

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とにかくお湯がすばらしくて……正直に言えば、1人で泊まれる部屋は湯治部屋仕様でやや古めですし、食事も普通(私は十分おいしいと思うんですけどね……)ですが、お湯が大好きすぎて、鹿児島の宿なのにもう4~5回泊まっています。

「もっときれいな宿に泊まって、湯之谷山荘は日帰りで行ったほうがいいよ」なんて言われたこともあるのですが(地元の人に)、土曜日でも1人泊のプランが出ていますし、私は泊まって楽しみたい派です。宿泊レポートも書いていますので、宿泊を検討されている方はこちらも参照いただけたらと思います。

温度の異なる2つの源泉が楽しめる内湯がすばらし過ぎる

湯之谷山荘の浴室は、滞在中に1回だけ貸切利用できる、予約制の貸切露天風呂と、滞在中いつでも入れる内湯の2つです。

まずは貸切露天風呂をご紹介します。チェックイン時に予約した時間になったらフロントに向かい「貸切中」の札を借りて浴室の前にかけておきます。

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グリーンのシートの上を歩いていくと、突き当たりにミルキーブルーのお湯を静かにたたえた岩風呂が見えました。ちなみに、こちらの露天風呂には洗い場はなく、石鹸類も使用できませんので、貸切風呂を使う前に内湯で体を洗っておいたほうが良いです。

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利用時間は30分ですが、源泉が40度程度のややぬるめの適温に調整されおり、入りやすいので30分ぎりぎりまで湯あみを楽しんでしまいました。

源泉は内湯と同じだと思うのですが、露天風呂はお湯の投入量が少ないせいか、内湯よりも濁りがあります。お湯の新鮮度で言うと内湯のほうが上ですが、やっぱり露天風呂があるとテンションが上がります。

そして……私の一押しの内湯の浴室です。

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初めて泊まった10年ぐらい前は、ドライヤーの風量が弱くて髪がぜんぜん乾かなかったり、シャワーの水圧が弱かったりしましたが、10年の間に改善され、2020年は洗い場もドライヤーも普通に使えました。

しかし……ドライヤーやシャワーが使いづらかった時代から「この風呂があるならもうここに泊まるしかない!」と思うほどに惚れ込んだ浴室がこちらです!

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似たような浴槽が3つ……?と思われるかもしれませんが、奥の浴槽には高温の硫黄泉、一番手前の浴槽には、人肌の炭酸泉がドバドバとかけ流されており、真ん中の浴槽では、2つの源泉が混ざって、長湯にちょうどいい39度ぐらいのややぬるめの湯になっています。

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こちらが、43度ほどの源泉が注がれている高温の浴槽です。熱い!けれどいいお湯なので入ってしまいます。

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手前の蛇口をひねれば水が出るので、あまりにも熱ければ自由に加水もできるのですが、できれば水は足したくない……。

湯口から離れたほうが温度が下がるので、やや離れたところで、熱い硫黄泉に身を浸します。

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ああ……熱い!けど気持ちいい!

浴槽が3つあるので「熱い湯で十分温まった後、炭酸泉のぬる湯でひやっとする」「真ん中の浴槽で長湯する」「炭酸泉とぬるめのお湯を行き来してだらだらする」など、組み合わせて楽しんでいるうちに、あっという間に2時間ぐらい経ってしまうから恐ろしいです。

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温度の異なる源泉を持っている宿はたまにあるのですが、2つの源泉浴槽の間に、ちょうどよく混ざる浴槽を作った方、天才ではないでしょうか……。落ち着いたらまた必ず行きたい大好きなお湯で、大好きな宿です。

2020年「料理」が良かった温泉宿ランキング

実は、2017年・2018年・2019年とも「料理が良かった温泉宿ランキング」でも、3位を1軒に絞りきれず4軒ご紹介してしまったのですが、今回も……でした。もはや毎年恒例のようになってしまいましたが、4軒とも本当においしい宿でしたので、紹介させてください。

今回選んだ4軒のうち、3軒が「連泊」した宿でした。
実は、2020年は山小屋への宿泊やテント泊できる場所が限られていたこともあり「山の麓の宿に連泊して、2日目に日帰り登山する」という計画を何度も立てたのです。中には、天気が悪くて登れなかったパターンもあったのですが、その場合は温泉宿への滞在を楽しみました。
温泉宿の食事は量も多いですし、2日連続で食べたら飽きそうに思うのですけど、2日続けておいしいと思える宿って本当に料理がおいしい宿だよなあと感じて、今回の選出につながりました。

料理第3位 福島県「檜枝岐温泉 旅館ひのえまた」

第3位に選んだ2軒のうちの1軒は、福島県会津檜枝岐温泉の旅館ひのえまたさんです。7月の、海の日の連休に2泊しました。

以前にも、会津駒ヶ岳登山の前泊で何度も泊まっていまして、今回もそのつもりでした……が、3日間とも天気はいまいちで。

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結局のところ、山歩きはせずに近所を散歩したり、共同湯に入りにいったり、部屋で執筆(この頃はまだ著書の執筆中でした)を進めたりしながら過ごしました。

以前泊まったときも食事がおいしい宿だと思って、宿泊レポートでは「食事」の項目を5点満点にしていたのですけど、2泊してみて改めておいしさを実感したので、今回、選出となりました。

山の恵みたっぷり&檜枝岐の郷土料理はバリエーションも豊富で飽きないおいしさ

旅館ひのえまたでは、一人で泊まると食事を部屋まで持ってきてくださいます。(2人で泊まったときは、1階の食事処でした)

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食事処も個室になっているので、1人でも人目を気にせずに食べることはできるのですが、夕食は時間もかかりますから、テレビを見ながらのんびりといただけるのはやはりうれしいですね。

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お酒は、会津の地酒の利き酒セットを注文しました。

山菜やタケノコを使った小鉢が3つ並びます。

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左から「孟宗筍にふきみそ」「ぜんまい煮」「青みずの和え物」です。山菜も筍も大好きなのでうれしい……。

鍋は、きのこと野菜たっぷり!鴨鍋でした。

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お酒がすすむ味わいです……。

そして、この黒っぽい料理は何かと言うと……「はっとう」と呼ばれる檜枝岐の郷土料理で、これがめちゃくちゃおいしいんですよ!

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そば粉と餅米の粉をこねて、まわりにじゅうねん(エゴマ)と砂糖をまぶしたものです。餅のようだけど餅ではなく、香ばしさもあって、とにかくおいしい……自分で作れないだろうか……。

蕎麦は「布を裁つように切る」ことから「裁ち蕎麦」と呼ばれる、檜枝岐の郷土料理です。

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打ち立てで蕎麦の香りがしっかりと香ります。つなぎ無しの十割蕎麦で、そばつゆは岩魚で出汁を取っているとのこと。旅館の食事の途中に蕎麦が出てくることはよくありますが、この裁ち蕎麦は、檜枝岐でしか味わえない蕎麦です。

こちらのお皿は、豆腐田楽、蕎麦田楽、ミョウガの甘酢漬け、そして……天然サンショウウオのから揚げです。

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田楽は味噌の味付けが絶妙だし、サンショウウオも案外おいしかったです・笑

ご飯は地元産の舞茸ご飯。

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お腹いっぱいなのに、お替わりしたくなるおいしさでした。

翌朝、食事処でいただいた朝食はこちら。

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シンプルな和食ですが、やはり山菜やきのこがおいしく、火にかけられたたっぷりの味噌汁も、お替わりしていただきました。

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朝食後には、フロントの前でコーヒーのサービスも。

朝食をたくさんいただいたのでお昼はあまりお腹も空かず、昼を抜いて夕食を迎えます。

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この日は熱燗をいただきました。3種の小鉢は「地ワラビ」「山うど」「鹿の舌(という名のきのこ)」で、昨夜と味も食材もすべて異なるのがうれしいですね!

昨日の「はっとう(大好物!)」の替わりに、そば粉の団子が。はっとうにはちょっと負けるけどこれもおいしいです。

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本日の鍋は、やはりきのこと山菜、野菜がたっぷりですが、昨日は鴨だったけど、今日は熊です!あまり熊らしさは感じなかったけど珍しいしおいしかったです。

焼き魚は鮎。写真は載せませんでしたが1日目の夕食は岩魚でした。

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蒸し物は、舞茸汁にお餅を載せて、泡雪仕立てにしたもの。

揚げ蕎麦と、隣にあるのは「蜂の巣」で、このまま食べられます。

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濃厚な蜂蜜味で、元気が出そうでした。そして、昨日のサンショウウオに続いて本日はカジカ・笑
ご飯は「しし茸」と呼ばれるきのこのご飯です。最後まで飽きることなくおいしくいただきました。「裁ち蕎麦」だけは2日間とも登場しましたが、看板メニューだし本当においしいので、2日連続でも問題なかったです。

最終日の朝食も、温泉卵以外はすべてメニューが変わっていました。

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汁物の具も違ったし、魚も、昨日は岩魚を甘辛く煮たものだったのが、今日は鮎の一夜干しでした。

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山の宿は、海の宿に比べると食材のバリエーションが少なくなりがちだと思うのですが……。旅館ひのえまたさんは、秘湯と言って差し支えない山奥の宿ですけど、山の食材だけでおいしい料理を2日間楽しませてくれて、改めてすごいなと思いました。

会津駒ヶ岳や尾瀬に行く前後に、また泊まりたいですね。

料理第3位 長野県「小谷温泉 雨飾荘」

もう1軒、料理が良かった宿の第3位として選んだのは、長野県北安曇郡小谷村の、小谷温泉雨飾荘です。非常に雪深い場所にある宿で、11月下旬から4月中旬ごろまで冬期休業中ですが、2020年の夏に雨飾山登山のために2泊しました。

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旅館ひのえまたに続いての山の中の宿ですが、こちらも負けず劣らずすばらしい食事でした。

雨飾荘は、時期によっては土曜日も1人で泊まることが可能ですが、私は今回夏季休暇中の平日に宿泊しました。

食事処の雰囲気が良く、山奥とは思えない洗練された料理とサービス

雨飾荘では2食とも、食事処でいただきます。
山奥の温泉の食事処というと、囲炉裏を囲んで……というようなところが多いですが(もちろん囲炉裏の食事処も大好きですけど)雨飾荘の食事処はテーブル席で、カウンターバーもあり、照明も雰囲気があって「レストラン」という趣でした。

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食前酒は「さるなし酒」、前菜は「信州ハーブ蒸し鶏」でさっぱりと。

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ここでもやっぱり利き酒セットをお願いしました。4種類を少量ずついただけるのはうれしいですね。

お刺身は鰆、甘エビ、信州サーモン。
山の中で海老?と思われるかもしれませんが、とても新鮮でおいしかったですよ。私は、山の宿で海の魚が出てきても、おいしければ気にしないほうです。

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ガラスの器に入って、スプーンを添えて提供されたのは……?スープかと思いきや「山うどの茶碗蒸し」でした。山うどのほのかな苦みがいいですね。

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信州牛のすき焼き。定番料理とは言え、間違いのないお味です。

そして信州はやはり蕎麦もおいしい……暑い夏の日でしたので、のどごしの良い蕎麦がうれしいですね。

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天ぷらは「ズッキーニ」と「のりな」「コリンキー」という、ちょっと聞いたことのないような野菜3種でしたが、揚げたてで提供していただき、大変おいしかったです。

朝食も同じ食事処でいただきました。

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湯豆腐に焼き魚、サラダ、漬物、温泉卵、ヨーグルト、ご飯と味噌汁と言った、旅館の朝食の定番料理が並びます。定番料理ですが、ちょっとひねりがあるのがすばらしいなと。たとえば、湯豆腐の湯は蕎麦湯を使っているそうで、ほんのり蕎麦の香りがしたり。

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焼き魚は「のどぐろの一夜干し」です。
小谷村は長野県ですが、新潟県の糸魚川市と隣接しており、位置的には日本海に近いところにあるので、のどぐろが出てきても不思議ではないんですよね。のどぐろは、付け合わせの「胡椒味噌」と呼ばれる少し辛い味噌を付けながら食べると、ご飯にも合うし、朝からお酒が飲みたくなるおいしさでした。

本当は、2日目の昼間に登山できればベストだったんですが、3日目のほうが天気が良さそうだったのでこの日は朝食後、ぶらぶらしたり、だらだらしたりして過ごしました。宿の近くの野天風呂や、徒歩20分ぐらいの場所にある別の旅館に日帰り入浴に行ったり、部屋で昼寝したりして夕食を待ちます。

2日目の夕食もおいしかった!前菜も色合いよく、夏らしい料理。盛り合わせの中央にある「信州牛の八幡巻き」が特においしかったです。

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小鉢に入った寒天のようなものは「焼きナスゼリー寄せ」。味も見た目も涼しげで素敵。

この日のお刺身は岩魚でした。山葵は自分でおろして、おろしたてを使います。

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ふわふわした小鉢は「長芋養老蒸し」です。
すりおろした長芋を蒸したものですが……どうしたらこんな風にふわふわの見た目にできるんでしょうか。

1日目はすき焼きでしたが、2日目の肉料理は「信州プレミアムA5牛の陶板焼き」です。

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岩塩でいただきます。程よい脂の入り方で、おいしくいただきました。

最終日の朝食はお弁当にしていただき、宿の車で登山口まで送っていただきました。

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お弁当もおいしかったし、登山に不要な荷物を預かっていただけたおかげで、身軽に登山ができました。

料理第2位 北海道「旭川旭岳温泉 湯元 湧駒荘」

第2位に選んだのは、北海道の大雪山の麓、旭岳温泉 湯元 湧駒荘です。

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例によって、旭岳登山をするつもりで2泊したのですが、ずっとずっとお天気が優れず、ぶらぶらして過ごしました。

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ですが、食事のみならずお湯も本当にすばらしい宿でしたし「1人泊専用」のシングルルームがあって、休前日でも1人で泊まれますので、晴れるまで何度でも泊まりに行きたいと思っています。

山の中でいただく北海道の食材の数々……肉も魚介も野菜もおいしい

湧駒荘では、食事は朝夕共に会場食となりますが、席と席の間は十分にスペースがありますし、1人客は窓際の席にしていただけるようでした。

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人目も特に気になることはなく、1人でのんびりと食べることができました。

席に着くと、テーブルの上にはお通しが4種類とお作り、食前酒がセッティングしてありました。

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お皿の向こうにはお品書きが置いてあるのですが、お品書きとは別に、それぞれの料理についての説明書きが置いてあったのがうれしかったですね。

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給仕を担当しているスタッフの方には日本語がそこまで流暢ではない方もいたので、料理の説明を口頭でするより紙を置いたほうがいいだろう、ということなのかなと思いました。個人的には、口頭で説明されても聞き取れなかったり、酔っていて忘れてしまうことが多いので、この説明書き、非常にありがたかったです。

最初から日本酒を注文することもあるのですが、今回はお品書きを見て、この後「インカのめざめのコロッケ」が出てくるとわかったので、グラスのビールを注文しました。

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いただきます!

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前菜は、ごま豆腐にハラスに、つぶ貝に黒米に、バリエーションに富んだ食材なのもうれしいし、どれもおいしいです。

お待ちかねのコロッケは、紙に包まれて登場です!すばらしい!

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こうやって、かぶりついて食べるのがおいしいですよね……思ったとおりビールにも合います!うれしい。

唐突に現れた大きな塊は「蝦夷アワビの塩釜焼き」です。

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塩に包んで焼いたアワビがまるごと1個。
周辺の塩を取り除いていただきます……これは、そろそろ日本酒かしら。

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箸休めは、湧き水に黒蜜をかけていただく「湧き水ゼリー」をつるんと。

このあたりで、追加オーダーした熱燗がきました。

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鍋物は「知床クリーンポークのしゃぶしゃぶ」です。お肉の量もたっぷりでうれしい!

鍋物と一緒にご飯が来ました。汁物はなくて、鍋と一緒にご飯をいただくのがこの宿流のようです。

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デザートは宿名物の「白い珈琲プリン」
真っ白なのにちゃんとコーヒー味がするプリンをいただいて、ごちそうさまでした!

翌朝の朝食も、かなり品数豊富で彩りがいいのがうれしいですね。トマトジュースおいしい!

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鍋の中身は大きな豆腐と海藻が入ったお味噌汁でした。

そしてこの日の夕食も、前日とはがらりと変わって、すばらしかったです。
お造りは炙りサーモンサラダ。

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そして、先付けは「旬野菜と蝦夷アワビの天ぷら」です。初っぱなからアワビの天ぷら!もう、日本酒を飲むしかない!

なので、宿オリジナルの日本酒をオーダーしました。

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この後の「特大開きホッケ」も、辛口の日本酒によく合います。

箸休めはさっぱりと檸檬ソルベ。

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この日は北海道のおいしいお米「ななつ星」をいただきつつ、すき焼きを楽しみました。

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最終日の朝食まで、前日とはまったく違う料理が並び、大満足の2泊3日の滞在を追えました。

帰りは新千歳空港で回転寿司を楽しみ……山の中の宿では、さすがにウニやイカの刺身は出てきませんので、こちらでさらに魚介欲を満たします。

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2020年は登れませんでしたが、また、旭岳登山と絡めて必ず泊まりたい宿です。できれば次も2泊したいですね……。

料理第1位 神奈川県「湯河原温泉 オーベルジュ湯楽」

2020年料理がおいしかった宿第1位に選んだのは、湯河原温泉のオーベルジュ湯楽です。実は、2019年も1位でしたので、2連覇ですね……。

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2019年の12月に初めて泊まり、本当にすばらしい宿だったので、2020年2月に、すぐに再訪してしまいました。

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実は、初回に宿泊した際に生年月日を登録したところ「誕生日前後に使えるスペシャルプラン」のご案内をいただいたのです。

そのため、最初の宿泊から約2ヶ月後に、早くも再訪することになりました。

すべての料理が美しくおいしく、バースデー特典のブイヤベース&パスタもすばらしかった

オーベルジュ湯楽の、グラスワインをはじめとしたドリンクメニューの豊富さについては昨年の記事でもご紹介しましたが……今回も、グラスのスパークリングワインからいただきます!

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前菜からお造りからステーキまで……とにかくすべての料理の盛り付けが美しいのが、こちらの宿の特徴です。
前菜は2皿あり、ガラスの皿のほうは「小エビとヤリイカ ふきのとうとアンチョビのソース」

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赤いお皿は「和牛すね肉、地にんじん、タマネギマリネ」
和牛は一度煮てから焼いているそうで、すね肉ですがとても柔らかいです。見た目に美しいだけでなく、調理にも工夫が凝らされています。

前菜を食べ終わったところでスパークリングワインがなくなったので、日本酒の利き酒セットをお願いしました。
この後お刺身なので、日本酒がいいなと。「正雪」「初亀」「浦霞」がガラスの器で80mlずつ提供されます。

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お刺身は相模湾で獲れた金目鯛、いさき、こち。
ツマとして添えられている色鮮やかな花も、すべて食べられる花です。

そして今回、バースデーコースの特別料理としていただいた、ブイヤベース。これが食べたくて来ました。イカ、海老、カニ、ムール貝……どれもすばらしいお味。

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しかも、ブイヤベースのソースを、バスタにして持ってきてくれるんです……これが本当においしかったです。

この後に続く魚料理は「真鯛とホタテ貝の香草蒸し 季節野菜マスタードバターソース」

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肉料理は「黒毛和牛リブロース 木の芽風味の新牛蒡フリカッセ」です。とびきりおいしいものを少しずつ、品数多く食べさせてくれるのがうれしいですね。

〆はご飯で、地鶏と蕗の炊き込みご飯。さっきパスタもいただいたけれど、こちらも最高においしくて残さずいただいてしまいました。

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この後、トリュフのアイス(とろっと濃厚!)のサービスがあって、最後に、バースデーメッセージの入ったデザートプレートをいただきました。

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誕生日まではまだ1ヶ月近くあるタイミングではありましたが、誕生日特典のブイヤベースはじめ、大満足の夕食でした。

翌朝の、野菜たっぷりの和食の朝食も、大変おいしかったです。

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野菜や果物が本当に新鮮で、朝食のデザートまで、しっかり手がかかっているのがすばらしいなと思いました。

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前回も今回も、朝食の選択肢は和食のみだったんですが、イタリアンのメニューがおいしいので、洋朝食が食べてみたいんですよね。朝食の際、洋食を食べている人がいるので、どうすれば食べられるのかな?と考えていたんですが。

プランをよく見てみると、どうやら「イタリアンコース」を選ぶと、朝食で洋食を選択することができるようなので、次はイタリアンコースで泊まってみたいですね。

お安い宿ではないですが、都内からだと湯河原は近くて交通費もあまりかからないので、たまの贅沢を味わいに行くのに最高の宿ではないかと思います。

2020年、いろいろありましたができる限り、山も旅も楽しめました。
ここで紹介した以外にも、さまざまなすばらしいお宿に出会えましたので、あと何本か、2020年の振り返り記事を書いていきたいと思います。