作品と出版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/04/01 02:50 UTC 版)
「アレッサンドロ・ピッチニーニ」の記事における「作品と出版」の解説
ピッチニーニは2巻のタブラチュア集を出版している。第1巻 Intavolatura di liuto, et di chitarrone Libro primo は1623年、ボローニャで出版され、フェリペ2世の娘であるスペイン王女イザベラに献呈されている。第1巻の前半はリュート用の作品集であり、アリア、コレンテ、カンツォーナ、ガリアルダ、リチェルカーレ、トッカータ等を含んでいる。後半にはキタローネのためのコレンテ、ガリアルダ、パルティータ、トッカータなどが掲載されている。第2巻 Intavolatura di liuto Libro Secondo は、ピッチニーニの死後である1639年に、彼の息子、レオナルド・マリアの手でやはりボローニャで出版されている。第2巻に含まれるタブラチュア譜はすべてリュートのためのものである。これら2巻のタブラチュア集でいうリュート Liuto とは拡張バス弦付きの14コースリュート・アティオルバートを指しており、拡張弦をもたない10コース以下のルネサンスリュートでは演奏できない曲を多く含んでいる。 これらタブラチュア集の他にも、キタローネのタブラチュアを収集したモデナ写本にもピッチニーニ作とされる作品が、カプスペルガーの作品とともに収録されている。 ピッチニーニの作品には、ガリアルダ、コレンテ等のルネサンス以来リュートで頻繁に演奏されてきた舞曲が多く含まれる一方、トッカータ、リチェルカーレ等では走句の作り方や半音階の使用などに鍵盤楽器における同種の音楽の影響が見られる。 タブラチュア集第1巻の冒頭には «A gli studiosi»(学者(学生)へ) で始まる34の短い章からなる緒言が掲載されており、リュートの様々な奏法やテクニックに関する示唆が含まれている。これらは時折譜例等を含めて記述されており、この時代のリュートの奏法を研究する上で重要な資料の一つである。 さらに、この緒言の最後の章 dell'Arciliuto & Inuentore di esso(アーチリュート、およびその発明者について)では、自分こそがアーチリュート(リュート・アティオルバート)の発明者であると主張している。その記述によれば、リュートに拡張ネックと拡張バス弦を付け加えたのは1594年に彼が発明した楽器が最初であるとし、当時拡張バス付きのリュートに対して一般的だった「リュート・アティオアルバート」(Liuto attiorbato「テオルボ化されたリュート」) の呼称はミスリーディングであり、アーチリュート Arciliuto と呼ぶべきであると主張している。
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