「『3C分析』を武器にこつこつと努力を続けた」
商学部4年 まよよ
ヘアカタログなどに登場するサロンモデルとして、写真投稿ソーシャルメディア「インスタグラム」を始めたまよよさん。大学2年生の終わりから約2年間で2万フォロワーを抱えるインスタグラマーとなり、大手のファッション雑誌とブランド、ファッション系Webサイトなど活躍の場が次々と広がっていきました。その要因は運で引き寄せたものではなく、商学部・恩藏直人教授のゼミで培った「マーケティング」などの知識を生かした戦略的な姿勢にありました。卒業後は大手広告代理店への就職が内定し、日本語・英語・中国語と3カ国語を操る「まよよ」さんは「広告のグローバル化に貢献したい」と語っています。
――どのような学生生活を送ってきたのですか?
2年生までは公認サークル「英語会(W.E.S.S. )」に所属し、ディベートなどを通して英語を学んでいました。マーケティングにも興味があり、3年生から恩藏ゼミに入りました。私たちのテーマは「インバウンド政策」で、多くの外国人に日本を訪れてもらうための政策を考えるものでした。かなり忙しくて、ゼミ生で週5回集まっていた時期もあります。サークルとの両立は難しかったので、3年生からはゼミに専念しました。
――モデルを始めたのはいつごろですか?
2年生の秋ごろ、友人と原宿のシェアハウスに住むようになってからです。表参道も近く、ファッション性の高い環境に影響を受けて、モデルという全く知らないことに挑戦してみようと思いました。女の子として、きらびやかな世界に憧れもありました。それまではメークもできなくて、スウェットで授業に出席する大学生だったんです。最初はサロンモデルから始めました。
――なぜインスタグラムを始めたのですか?
まず、サロンモデルがどのように活動しているのか、ヘアサロンを訪れて聞いて回りました。そうすると、モデルはインスタグラムで探されていることが分かりました。私は当時、インスタグラムをやっていなかったので「これではモデルとして認知されない」と思い、フォロワー「0」から始めたんです。また、他のモデルさんのインスタグラムを見てみると、みんな必ず「タグ」という機能を使って服のブランド名などを書き込んでいました。タグをたどると、そのブランドのサイトにリンクされたりしているんです。投稿時間は朝の通勤時間帯や夜9時半から11時半に集中していました。現状をもっと分析しないといけないと思い、恩藏ゼミで学んだ「3C分析」(市場・顧客: Customer、競合: Competitor、自社: Company」)を行うようになりました。
――3C分析はどのように行ったのですか?
まず、自分自身を商品に見立てました。“Customer”では雑誌をモデルの系統別に分け、ロング、ミディアム、ボブ、ショートなど、どんな髪型がどの雑誌で流行しているのかを調べました。髪型は競合が少ないほうが、モデルとして声がかかりやすい。ボブのニーズが高かった時期、私はロングだったのですが、ばっさりと切ったこともあります。また、雑誌にでている有名ヘアサロンに足を運んで、自分を売り込みました。これまで600ぐらいのヘアサロンを訪ねています。
――Competitor、Companyについてはいかがですか?
他のモデルさんがどんなタグを付けているのか、どのようなアイテムを活用しているのか、世界観の作り方を参考にしました。また、アンニュイ(物憂い)な感じ、クール系、不思議ちゃん系など、モデルの系統はファッション誌ごとに決まっていますが、私は自分の認知度を広める必要があったので、幅広く対応できるモデルになろうと思いました。ジャンルが決まってない「オールマイティー」を私の強みにしました。自分の売りである「唇」アップの写真を載せたり、タグもブランド名や「Love」「Like」「Cute」など検索されやすいものを付けたりしています。恩藏ゼミで勉強していなかったら、モデル業をマーケティング的に分析することはありませんでした。恩藏先生、ありがとうございます!
――フォロワーはどのように増えていきましたか?
最初はなかなか増えなかったのですが、学校で勉強して、アルバイトもしながら、こつこつと撮影して写真をアップしているうちに、フォローしてくださる美容師さんが増えていきました。ヘアサロンからオファーが来て、撮影が増えて、その写真をアップすると「かわいい」の連鎖で、ヘアサロン関係以外の方のフォロワーも増えました。一度、有名な雑誌に掲載された写真が、テレビ番組でアイドルタレントに「これ、いい!」と紹介され、一気にフォロワーが増えました。
――卒業後は大手広告代理店に就職されるんですね。
世界の広告市場規模のトップはアメリカで、2位が中国、3位が日本です。日本企業が世界に進出するように、広告も海外市場に進出していく必要があると思っています。大学教授である父が中国人のため、中国の小学校に通っていたこともあります。早稲田大学でも忘れないように中国語の授業を取っていました。私は何もないところから“コネ”を作るのが得意です。人見知りしないで話すのが好きという性格なので、中国でコミュニケーション力やコネを作る力を使って、日本との懸け橋になれればと思います。信頼関係を築いて、広告の中国進出に貢献したいと思っています。
第651回
【プロフィール】
本名・馬容容。埼玉県出身。東京学芸大学附属高等学校卒業。モデルの撮影では企画のポイントを撮影スタッフからよく聞き出して撮影者との理解を深め、お互いが成長できる撮影を心掛けている。「お互いに学べることがあれば、このモデルをもう1回呼ぼう」ということにもつながると考えている。無類の油そば好き。「ぴーぷる」第587回で紹介した平井幸奈さんのブリュレフレンチトースト専門店「Foru Cafe」で、客の視点で店の情報を発信する「アンバサダー」も務める。インスタグラムは@lilymilk914。