野生性と人類の論理

ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考

著者
卯田 宗平
ジャンル
人文科学  > 文化人類学
発売日
2021/04/30
ISBN
978-4-13-056312-3
判型・ページ数
A5 ・ 400ページ
定価
8,580円(本体7,800円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
動植物と人間とのかかわり方を新たに提示する

人類にとって動植物の野生性とは何か――。ミツバチ養蜂、狩猟犬、鷹狩りのタカ、水田植物、腸内細菌、ブタ、ドジョウ、タケ、エノキダケ、アユなど、なじみ深い事例を引きながら、あえてドメスティケート(家畜化や栽培化)しない事例や野生性を保持する事例、生殖介入したあとに天然や野生とよばれるものに改変していく事例などに注目し、そうした人間の働きかけを包括的に理解するための解釈枠組みを新たに示す。

【本書の特色】
●動物から植物、腸内細菌まで多様な事例にもとづき、人間社会とのかかわりを精緻に描きだす。
●野生性をめぐる人間の働きかけを4つに類型化し、動植物利用の議論に新たな知見を加える。
●人類学や生物学、植物学、魚類学など学際的な成果から、人類と動植物の多様な関係史を読み解く。
序 章 ポスト・ドメスティケーションという思考
     ――鵜飼研究からの展開(卯田宗平)
 
    
第一部 野生に向かう力の利用

第一章 野生を飼いならすことの難しさ
     ――インドネシア西ジャワ州におけるコピルアク生産の事例から(須田一弘)
第二章 あえてドメスティケートしないこと
     ――ミツバチ養蜂戦略の違いから家畜と野育を考える(竹川大介)
第三章 博物館の展示場で生き物文化を考える
     ――ミツバチと人の関係から(池谷和信)
第四章 アンチ・ドメスティケーションとしての「野生」
     ――双主体モデルで読み解くバカ・ピグミーとヤマノイモの関係(安岡宏和)
 
  
第二部 野生性と扱いやすさのバランス調整

第五章 慣れと狩りの「心の理論」
     ――鷹猟における関係性の構築と葛藤(竹川大介・南香菜子)
第六章 駆け引きすることの有効性――九州の狩猟犬の事例から(藤村美穂)
第七章 スイギュウの「再ドメスティケーション」
     ――フィリピンのカラバオの乳用化とポリティカルな力学(辻 貴志)
第八章 リバランスの論理
     ――育てたウミウがみせる個性と鵜匠たちによる介入の事例から(卯田宗平)


第三部 ドメスティケート後の改変

第九章 立地条件の克服と養殖技術の開発
      ――「半天然アユ」の誕生とニーズ(井村博宣)
第一〇章 食用ドジョウの過去・現在・未来
      ――水田環境の悪化が招いた品種改良の進展(中島 淳)
第一一章 つくられた野生――エノキタケ栽培がたどった道(齋藤暖生)
第一二章 人為と人工のあいだの家畜動物
      ――イベリコブタに求められる自然を考える(野林厚志)


第四部 意図しないドメスティケーション

第一三章 イヌのドメスティケーションをニューギニア・シンギング・ドッグから考えてみる(小谷真吾)
第一四章 意図せざるドメスティケーション
      ――人間と細菌のかかわりを手がかりに(梅﨑昌裕)
第一五章 ドメスティケーションの実験場としての水田
      ――水田植物の採集と栽培の事例から(小坂康之・古橋牧子)
第一六章 農耕空間と親和的な「野生」植物のドメスティケーション
      ――タケと東南アジアの焼畑(広田 勲)
第一七章 ドメスティケーションの背景としての民俗自然誌的技術
      ――生産技術の文明論的序説(篠原 徹)  
終 章 いま,野生性を問うことの意義――成果と展望(卯田宗平)


Wildness and Human Logic:
Four Approaches to Post-domestication
Shuhei UDA, Editor
卯田 宗平
国立民族学博物館准教授
野生性と人類の論理
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