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「ゲームの歴史」の著者にしてかつて「もしドラ」で一斉を風靡したハックルさんこと岩崎夏海さんについての思い出を語る

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ハックルさんこと岩崎夏海さんについて自分が知ってることをちょこっと語ってみようかなと。


岩崎夏海さんとは

岩崎書店創業者のお孫さんです。建築家の父を持ち、東京藝術大学の建築科に進学。


ここまでは親の七光りみたいな人生に見えますがとんでもない。ハックルさんはめちゃくちゃ独立志向の高い人間でした。


大学卒業した後は家業から離れて放送作家をやったりAKBのアシスタントプロデューサーをつとめたりゲームソフトの開発を手掛けるものの退社。放送作家以外はどの仕事も2年ちょっとくらいしか続いてないので会社勤めが苦手なのかもしれません。無職になっていた期間はひたすらFF11をプレイしていたらしく、FF11を最速でクリアしたことで有名な伝説のプレイヤーである暇空茜さんとぜひ対談してほしいですね。


はてなダイアリーで記事を書き始めますがあまりの自意識モンスターぶりにシロクマ先生が「はく製にして展示しよう」と物騒なことを言い出すほどの尖ったキャラで話題になりました。


逆にハックルさんがはてな村をどのように見ていたかは、シロクマ先生による2012年「はてな村反省会」レポートをご覧ください。

もしドラの大成功で一躍有名人に

そのあと「もしドラ」が大成功して作家として注目を集めます。バラエティ番組にもたびたび出演したり、売れっ子作家としてたくさんの本を出版されたりしました。久米田さんが表紙を担当した小説なんかもあります。


また、岩崎夏海としてではなく「十全 文博」としてマンガ原作にも挑戦したり、各種対談本が出るなど2010年は「時の人」という感じでしたね。この「妹のジンテーゼ」はもしドラ嫌いな人でも楽しめる作品だと思いますのでちょこっとお勧めです。


ドワンゴ創業者のかわんごさんのお気に入りということもあってニコニコでは公式ブロマガライターとして選ばれ、月840円でブロマガを出されている時期もありました。YouTubeにも挑戦して文化人ラジオのようなものを目指していろんなゲストを読んでトークしたり、こんまりさんよりも先に片づけの重要性をアピールして「ヘヤカツ」キャラで売り出そうとしたりもしていました。

方向性は合ってたので世の中のニーズへの嗅覚はばっちりだったと思います。いろいろな事情があってうまく行きませんでしたね……これに関してはただただこんまりさんが抜きんでただけで、ハックルさんもすごかったと思ってます。

「僕は一発屋でない」と次のヒットを目指して熱く語っていた時期の岩崎さんのブロマガはいろいろ面白かったです。2013年ころにはブロマガで1年くらいかけてラノベの書き方指南をやった後「革新的な取り組みでラノベを出す」と豪語してイラストレーターまで募集していたのですが、結局作品はブロマガどまりとなり、全く話題になることもなく、世に出ることは一切ありませんでした。
info.nicovideo.jp

300万部ベストセラー作家の作品でありながらリリース時から全く注目されたなかった「台獣物語」。読んだことがある人は結局どのくらいいるのでしょうか……。
ch.nicovideo.jp
http://info.nicovideo.jp/seiga/hucklenovel/plan.pdf

一発屋になるまいと努力し続けた結果、「だれよりも一発屋のイメージが強い人」となってしまった感じがします。日本出版業界の歴史に残る大ヒットを残した功績はいささかも色あせるものではありませんけどね。


もしドラ絶頂期以降

残念ながらもしドラ以降はそのあと出る本は「もしドラの作者」という知名度に依存しなければそもそも世に出るべきではないような(現在の我々の感性では)凡作ばかりでした。特に「エースの系譜」がひどかった。作品の内容以前の問題でとにかくクソ読みにくい。今でも変わりませんがなんでこんな変な文章の書き方をするのだろうという感じで「読む拷問」でした。
lobotomy.hatenadiary.org

小説もすごかったですが真骨頂は評論やマーケティング論です。もしドラヒットの要因を分析するマーケテイングの本や、競争社会を語った本などがあるのですが、あまり根拠がなく「これは〇〇だ、私がそう決めた」という感じでひたすら本人の推論を重ねまくった謎世界に連れていかれます。まじめに読んでいるとどこからか「チャカポコ」音が聞こえてきそうになります。こんなん私みたいに以前からハックル節に慣れていて耐性がついてない人間にはつらすぎるでしょ……*1

そういうこともあってかとにかく新作を出すたびに売り上げはどんどん減っていき、次第に出版社からも相手にされなくなっていったように私からは見えています。


もしドラがヒットしてから2年くらいは「なぜ僕はもしドラ2を出さないのか」「もしドラ2を出したら作家として終わり」などとドヤった記事を書かれてたのですが、結局いろいろ言い訳をして「もしドラ2」を出したときはちょっと待てやと言いたくなりました。しかし時すでに時間切れ。もうすっかり世間の注目は去っており二匹目のどじょうを捕まえることはできませんでした。この作品自体は「もしドラ」と比べて結構面白いと思うんだけれね……*2

最終的には「もしドラ2」と、もしドラ以外では最も売れていて評価も高かった「甲子園だけが高校野球ではない」シリーズの3を最後としていったん本を出すことからは遠ざかられていたようです。


2016年から2018年ころには祖父が創業した岩崎書店の経営者をつとめておられましたが2年で退任されました

www.tyoshiki.com
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就任時には自らも本を出してヒットさせた経験を活かして、これからはヒット作を生み出していきたいということを語っておられました。

経営者としての取り組みの良しあしは私にはわかりません。自分から見える範囲では、結構面白いことに挑戦されていたような気もします。ただ、結果だけ見るとわざわざ叔父から役職を引き継いだのにその叔父が再び復帰されてるあたり、何かしら問題があったのかもしれません。

岩崎書店の経営者をやめた後はnoteで「文脈くん」という名前でなにやら書いていたのは知ってますがそれ以外は何をされてたのかは全然知りません

過去記事を見る感じ、定期的にはバズっていたようですが、ぶっちゃけあまり人気はないようです。
b.hatena.ne.jp
note.com

なにより、ブロマガの時は840円に設定していて「なぜ840円という強気の価格設定なのか」「なぜこの価格以下ではいけないのか」を熱く語られていたのに500円に下がっていたのは少しがっかりしました。

そんな岩崎さんが、なにやら「ゲームの歴史」という本を出されたようですが内容は推して知るべし、なものだったそうです

Amazonでは酷評されまくってますね。ひどい評価だと「虚栄心と誤情報が混じり合う最低な啓蒙書」とまで書いている人もいて逆に興味がわきます。

・ブロック崩しにプログラムがあると思っている
・アタリショックがETから始まるいつもの神話をまた書く
・ファミコンのプラスチックは安いからという神話をまた書いている
・ファミコンのコントローラがなぜ2つあるかの説明が違う
・ファミコンの拡張端子がなぜあるかを知らない
・サードパーティが最初から予定されていたと思っている
・任天堂が生産本数をコントロールしていたと思っている
・初心会と任天堂の関係を間違っている
・appleⅡのソフトを許諾制だと思っている
・堀井雄二がプログラムを書けないと思っている
・ファイアーエムブレムより前にSRPGのようなゲームはないと思っている

などなど、信じられない数の誤りにあふれた本。しかもゲームの歴史と言いながら、アーケードにもパソコンにも全く触れず(筆者が知らないのだろう)、アクションRPGは存在せず、ドラクエとFFとマザーと任天堂のゲームしか世の中にないような書きっぷりで、ドルアーガの塔すら出てこない粗雑ぶり。

読まずに適当なことは言いたくはないが、自分でこの本にお金を出すの嫌だから誰か僕にこの三冊をプレゼントしてください

三冊ともプレゼントしていただけたので募集締め切ります。ありがとうございます。
かわりにkindleセールの紹介でもおいておきます。

www.tyoshiki.com
あと、このエントリー最後まで読める人なら「ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~」っていうマンガ作品が絶対に好きになるはずだからぜひ読んでほしい

*1:私は2015年までに出版された岩崎夏海さんの本はすべて読んでます

*2:ブログで感想書いてるからよかったら読んでね. https://www.tyoshiki.com/entry/2015/12/31/152728