07-20-2012-1999

(C)ケロQ 「素晴らしき日々~不連続存在~」 トリビュートコンピレーションアルバム

" 07-20-2012-1999 "

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track list

01 : 小さな旋律 (Cheap Dream Remix) / yo_so original [小さな旋律]

02 : a wonderful days -rebirth- / EiK feat. らいむ(゚ロ゚)。

03 : 空気力学少女と少年の詩(由岐ちゃんの抱き枕第二弾制作祈願mix) / Noma original [空気力学少女と少年の詩]

04 : Mad Hatter / sekken100%

05 : Smile of the End / X2N_ original [終末の微笑]

06 : ideal encounter / run_cider

07 : 終わりの七月 / viewtorino original drum arrange [空気力学少女と少年の詩]

08 : 呪われた生/祝福された生 (the confusion) / 木下 original [呪われた生/祝福された生]

09 : yuki / mikanima original [夜の向日葵]

10 : Tractatus Logico-philosophicus (Prepared Gtr Choirs) / kzk original [Tractatus Logico-philosophicus]

11 : 鏡の世界には私しかいない (Shoegaze arrange) / Enrico original [鏡の世界には私しかいない]

12 : ナグルファルの船上にて -Piano Ver.- / 松本文紀 original [ナグルファルの船上にて]

artwork/duet

Notes

はじめに。今これを読んでいただいているという事は、無事に『07-20-2012-1999』が皆様の前に発表された、という事になる。まずはその事に・・・これに興味を持っていただいた皆様に感謝を、そしてこれに関わった全ての人に祝福を。そしてそれ以前に、今これを読んでいただいてるという事は、私達が意識的或いは無意識的に、2012年7月20日0時00分のその先へと進む事ができた、という事になる。この先どうなるかわからないにしても、だ。その事にも・・・空と世界へ感謝を。そしてすべての生命へ祝福を。

このコンピレーションについて話をするなれば、まずはケロQから2010年に発売された『素晴らしき日々~不連続存在~』(以下『すばひび』)、さらには1999年に発売されたその前身にあたる『終ノ空』という2本のPCゲーム(共に18禁)についてある程度詳しく説明しなければならない。・・・のだろうけれど、そこは重々承知の上で、あえて割愛させていただこうと思う。何故ならば、プレイした人が一発で気に入ってもらえるのはもちろんの事、まだ未プレイの人、そのゲームの存在をここで初めて知った人にも、特に前置き無しで確実にゲームに興味をもってもらえる内容だと聴いて確信したからだ。それほどまでにこのコンピは楽曲的にも全体的にも完成度が高い。・・・いや、これじゃ伝えたい事が伝えられないな・・・そう、物凄く“アツい”。『すばひび』がそうであるのと同じように、だ(実際にはその3文字で言い切れるような単純な話ではないけれど・・・)。ただひとつ、この日にリリースしなければ意味がなかった、という事は(知らない人はなんとなくでいいので)理解していただきたい。

聴いていただけると分かる通り、疾走感溢れるギターロックからかなりマニアックなアレンジ、劇中のセリフを効果的にサンプリングしたエレクトロニカまで、この手のコンピにしては珍しい振れ幅の内容になっていると思う。ゲームの音楽性を考えるとこの様な集まり方は必然の様にも感じるが、それほどまでに様々なミュージシャンがこのゲームの虜になった事が窺えるだろう。実際、主題歌や使用楽曲のクオリティの高さ、各場面での効果的な使い方などから、音楽ファンにも『すばひび』ファンは多いはずだし、新しい音楽との出会いの場、という思い出を持つ人もいる事と思う。このコンピも、聴きながら『すばひび』に思いを馳せるのはもちろんの事、新しい音楽の出会いの場として機能してほしいと心から願う。各アーティストそれぞれ様々な活動をされているので、気になったら是非調べてみてほしい。少し解説させていただくと、参加者の一人である松本文紀さんは、『すばひび』本編音楽の製作者のうちのひとりだ(当時はszak名義だった)。本家の方がこのような二次企画に賛同してくれただけではなく、この曲のアレンジで参加していただいたという事は個人的にもとても感慨深い。松本さんは現在、ケロQの別ブランドである枕のこの秋発売予定の新作『向日葵の教会と長い夏休み』の音楽制作に携わっているとの事。楽しみに待ちたい。そしてこのかわいらしくも独創的なジャケット・・・ひと目見てピンときた方もいらっしゃるかもしれない。こちらも『すばひび』のED絵を担当されたduetさんの作品だ。未プレイの方がこのジャケットを見て心を動かされたのであれば、本編で使われている絵も是非見ていただきたい。

自分がこのコンピを聴いて思った事・・・というか、分かった事がある。それは自分にとって『すばひび』とは「祈りと願いの物語」なのだ、という事。聴きながら様々な場面とそこで感じた事を思い出していくうちに改めて気付いたのだが、全ての主要登場人物は、どんなかたちであれ、強く願い、強く祈っていたのだ。だからこそ自分はゲームを進めるにつれてあんなにも彼らの事を人間くさく、美しく、愛おしく思えたのだろうし、ゲームクリア後、彼らに祈りを捧げずにはいられなかったのだろう。どんな結末であれ、彼らはその先を強く願い、祈り、信じていたから。そして自分はその先をを知る事を許されてはいない。だからせめて、祈りたかった。「幸福たれ」と。たとえ彼らに届かないと分かっていても。

各参加者、それぞれ並々ならぬ想いを込めて作ったのだろう。どれほどのものを込めたのかは実際に話を聞いてみないと分からないところではあるが、とにかく、彼らは『すばひび』に対する想いを楽曲に込めてここに発表した。ならば自分はこの場を借りて、感じた事を書かせてもらおうと思った。自分の力量不足でうまく伝えられないのが歯痒いところだが、これが自分の全て。どうか自分以外にも、このコンピを聴いて、もう一度『すばひび』への想いを見つめ直し、その想いをどこかにぶつけたいと思う人が出てきますように。自分の胸の内でだけだって構わない。とにかく、ぶつけてほしいと思う。

最後にひとつだけ。自分は『すばひび』をプレイした事をちょっと後悔してしまっている。出来る事なれば、これを聴いてからプレイしたかった。いやここまで書いといてそりゃねえだろって話だが。・・・だってこれ、凄くかっこいいんだもん。そりゃ聴いててワクワクもするし、やってなかったらきっと聴きながら買いに走っちゃうもん。この感じ、初めてプレイする瞬間に持って行きたかったなあ。これからやる人が心底羨ましい。なので、そういう人達に、叶えられない願いを勝手に託して、その未来を勝手に祈らせていただきます。「幸福に生きよ!」以上。

2012年7月19日22時44分

明日晴れますように。

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