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ブッキング・ドットコムが斡旋する「白タク」に乗ってみた 衝撃の事実も【レポート】
世界有数の旅行予約サイトであるブッキング・ドットコム(Booking.com)が、日本国内で違法行為である「白タク」の手配を斡旋しているという記事は、ライドシェア解禁を前に衝撃を与えた。
ブッキング・ドットコムはこの数か月で、国内では宿泊施設への未払い問題、世界的にはシステムへの不正侵入によるカード情報の漏洩が明らかになるなど、利用者の間でも問題の多い旅行予約サイトであるという認識が広まっている。一方で、旅行業法は日本国外の企業に適用できないといった法の限界もあり、監督官庁も対応に苦慮しているというのが現状のようだ。
空港での「白タク」は、中国人観光客が増えた2018年ごろから報道が増え、問題となっていた。主に中国人観光客が利用しているとみられ、料金の収受を渡航前に済ませていることや、ドライバーが「友達を乗せている」と主張するなど、取り締まりの難しさもみられた。
”無法地帯日本”を体現したような、大手旅行予約サイトが「白タク」の予約を斡旋しているという事実は、旅行業界関係者も「ありえない」と口を揃える。「白タク」を実際に予約し乗ってみると、ドライバーの話から、機械的かつ組織的に行っている内幕を垣間見ることができた。
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ブッキング・ドットコムの「空港発着タクシー」サービスは、発着地と日時、人数を入力すると車種別に料金が表示される。「信頼性の高い提携パートナーからの最新料金」として、まずは車種と料金が表示される。この日の羽田空港から川崎駅への提示価格は、スタンダードタイプの車両で11,368円だった。
ちなみに千代田区まで利用すると、ブッキング・ドットコムでは8,998円(会員割引適用前)、大手タクシー会社の日本交通では6,900円で、実際には合法なタクシーのほうが割安だった。
そのまま「次へ」のボタンをクリックすると、”現地移動サービス提供会社”が割り当てられる。今回はTianjin OUYA Automobile Rental Serviceが運行すると表示された。利用者は発着地や金額を確認した上で、カード番号を入力する。契約先はイギリス・ロンドンに拠点を置く、ブッキング・ドットコムを運営するブッキング・ホールディングス傘下のブッキング・ドットコム・ライズ(Booking.com Rides)となる。
現地移動サービス提供会社は、日時や目的地を変えると複数の会社が表示される。そのうちの一つの香港に拠点を置く会社のウェブサイトをみてみると、成田空港と東京スカイツリー間は5人乗りで120米ドルと表示される。同様に日本交通では19,000円(高速料金別)で、タクシーより割安のようだ。
夜7時半過ぎ、予約を完了してから1時間少々経つと、iMessageを経由して、ドライバーから1通のメッセージが送られてきた。
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この日、国際線で羽田空港第2ターミナルに到着。ドライバーは入力情報から早着したことがわかったようだ。のりばは19番を指定された。19番は本来のタクシー乗り場、どこに止まっているのだろうかと疑問に思っていたが、まさかの場所に止まっていた。
もちろん本来のタクシー乗り場ではなく、歩道から3車線目を大きく塞ぐように、白のメルセデス・ベンツが駐車し、トランクを開けて待っている。ドライバーの中年男性は周囲を伺うように、車の外で待っている。もちろん、この場所は駐停車禁止だ。
この車であることは明らかだったが、前方に回り込みナンバープレートを確認して、ドライバーに挨拶する。もちろん緑ナンバーではなく、白ナンバーのいわゆる「白タク」だ。荷物をドライバーにトランクに積み込んでもらい、後部座席に乗り込む。わずか1分とかからずに車は走り出した。
最も安い「スタンダード」で注文したが、車種はメルセデス・ベンツのMクラスだった。ドライバーは、スマートフォンのカーナビアプリで目的地を確認。すると、「今日は混んでるから海のほうから行くね」と、中国語訛りの日本語で話し、目的地に向けてひたすら一般道を進む。
カーナビアプリからは、速度取り締まり機が設置されているエリアなどを注意喚起する音声が流れる。その音をかき消すかのように、ドライバーの趣味なのか、洋楽が流れている。ダッシュボードには3体のヒヨコをはじめとしたフィギュア置かれていて、安全性を考えるといまいちだ。赤、青などに光るLEDも目障りではあるが、海外で配車アプリに慣れていれば、どれもよくある話だ。
ドライバーに話を聞くと、「羽田空港、成田空港、どこでも行くよ?」とのこと。今回は”普段の人”が一杯で、自分に仕事が回ってきたのだという。仕事は現地移動サービス提供会社からメールで依頼されるのだそうだ。
実は今回、ショートメッセージで送り先を変更してもらっていた。新たな目的地は東京都中央区内で、ブッキング・ドットコムでは9,063円だった。ドライバーによると、定価は13,000円だそう。配車依頼は「メッセージでいいよ」と話す。
実際の利用者はどうなのだろう。ドライバーはちょっと考えた上で、「80%中国人。残りは外国人」という。ほとんどが外国人ということだ。確かに外国人からは、緑ナンバーなのか白ナンバーなのか、違法か適法かはわかりづらいだろう。
結局、通常であれば30分かからない道のりを45分かけて、一般道路を使って目的地に到着。ドライバーは荷物を下ろし、「じゃあね」と言い残り、5分ほど駐車したあとに去っていった。次の配車先に向かったのだろうか。
問題はまだ続く。前述の通り、筆者は目的地を神奈川県川崎市から東京都中央区に変更してもらっている。しかし、ブッキング・ドットコムの予約確認画面は、高速道路を使って川崎市に移動し、午後5時15分に川崎駅前で降車したことになっているのだ。乗車場所、降車した時間は合っており、ブッキング・ドットコムが偽の走行情報を掲載していることになる。
現在もブッキング・ドットコムでは、「白タク」を配車したプロバイダーの予約ができる。ブッキング・ドットコム日本法人の広報担当者からは、現在までにこの件に関する回答を受け取っておらず、真摯に対応する気はまるでみえない。旅行業法の適用外である外国法人との契約であることを隠れ蓑として違法行為を助長する行為を続ける姿勢からは、旅行者の安全を守るべき旅行会社としての責務を放棄しているとしかいえない。