よい作品もあれば、悪い作品もあるのが世の常。今年放送された地上波ドラマをすべて見たドラマウオッチャーの北川昌弘氏、上杉純也氏の2人に今年のワーストドラマを挙げてもらった。

 まず上杉氏が挙げたのが仲間由紀恵(35)の主演ドラマ「SAKURA~事件を聞く女~」だ。上杉氏は今年の助演女優賞に仲間を挙げるなど役者として評価。それだけに同ドラマの出来には納得できない。

「設定、台本の時点でダメ。朝は地元FMのDJ、昼からは刑事として潜入捜査するが、DJという設定はいらないし、声を聴く能力も解明されない。署内でなぜ優遇されているかの理由も分からないし」と疑問だらけだった。

 さらに上杉氏をあきれさせたのが最終回。

「最初の35分は、何だったのよ。必要ない。ラスト10分のいろんな人との別れを延々と見せられるし、最終回は5分拡大しているのにほとんどいらない」と必要のない部分ばかりだったという。最終回視聴率5・8%というのも納得か。

 一方、北川氏がワーストとしたのは今年話題を呼んだ「MOZU」だ。

「キャストも豪華だし、金もかけている。WOWOWでやるにはいいと思う。ただ悲惨なシーンが多すぎるし、ゴールデンタイムにやるのはどうか。事件ものとしても公安がどんな存在なのか、何をしているのか一般的でなく、なかなか視聴者が共感できない。ただ、有村架純と杉咲花の存在は砂漠の中のオアシスだった」

 今年のベストドラマ「BORDER」の裏番組であったことも皮肉だ。

 さらに北川氏、上杉氏が揃ってワーストと語ったのがNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」。現在も放送中のため、今年のワーストドラマには入らなかったが、2人の口から飛び出す言葉は前述2作よりも厳しい。

 両氏が指摘する最大の問題点は主人公の“マッサン”こと亀山政春のキャラクター。

「マッサンがクズすぎる。変わり者だとしてもリスペクトできるところを出してもらわないと。なぜウイスキーにこだわりがあるのか。なぜエリーがあの男にほれているのかが描かれていないから分からない」(上杉氏)

「ドラマの中で内でマッサンの成長を描きたいがために、最初は人間力を低くしているのだろうが、そのスタート地点が低すぎて感情移入ができない。今後どんなにいい話をしても最初の印象があるから、そこに没頭できなくなる。ドラマとして破綻するパターンにかなり近い」(北川氏)

 とにかく魅力のない主人公だが「まだ終わっていないから、希望は捨てていない」(北川氏)と挽回の余地は残されている。NHKの奮闘に期待したいところだ。