Google検索のAJAX化でアクセス解析ツールが使えなくなる?

2日前に、AJAXベースのGoogle検索が目撃されたことをお伝えしました。

たいしたインパクトのないニュースのように思えましたが、実はそうでもないようです。
ともすると、ほとんどのWebマスターにディープインパクトを与える可能性があります。

海外の多くの著名ブログでは、AJAXベースのGoogle検索が及ぼす影響に関する記事が投稿されています。

フォーラムでもディスカッションが展開されています。

どんな影響があるかというと、次の2点です。

  1. ランキングチェックツールが機能しなくなる
  2. アクセス解析ツールでキーワードを分析できなくなる

AJAXではJavacriptを利用するため、SERPのHTMLソースに出現しないデータもあります。
したがって通常のランキングチェックツールでは、すべての情報を取得することができません。

とはいえ、普段からランキングチェックツールを使っているのでなければ、たいした問題にはならないでしょう。

Googleにとって、順位を自動で調べるツールはネットワークやコンピュータのリソースを消費するだけで何のメリットもなく、それどころかサービスを提供するユーザーにとって邪魔な存在です。

もう1つは、僕も含めてSEOを実践するWebマスターはもちろん、サイトのアクセスを多少なりとも分析するWebマスターにとっては、無視できない問題です。

アクセス解析ツールで、どんなキーワードでGoogle検索からのアクセスがあったのかを調べることができなくなるのです。

詳しい仕組みは後で説明しますが、検索結果のURLが従来と変わることが原因で、一般的なアクセス解析ツールでは、検索キーワードの取得が不可能になります。

キーワードのアクセス解析が可能と思われる唯一のアクセス解析ツールは、「Google Analytics」です。

SEOにとって、キーワードの分析はもっとも重要な項目のひとつです。

新しいAJAXベースのGoogle検索の下では、キーワード分析をするには、Google Analyticsを使うしかないのでしょうか?

AJAX仕様の検索はいつ正式導入されるのでしょうか?

GoogleのMatt Cutts氏は、次のようにコメントしています。

“We’re continually testing new interfaces and features to enhance the user experience. We are currently experimenting with a javascript enhanced result page because we believe that it may ultimately provide a faster experience for our users. At this time only a small percentage of users will see this experiment. It is not our intention to disrupt referrer tracking, and we are continuing to iterate on this project. For more information on the experiments that we run on Google search, please see:
http://googleblog.blogspot.com/2006/04/this-is-test-this-is-only-test.html.”

“僕たちは、ユーザーエクスペリエンスを向上するために、絶えず新しいインターフェイスと機能をテストしている。僕たちは現在、Javascriptで能力が高められた結果ページを実験している。なぜなら、最終的にそれはユーザーにとってより早い体験を提供できると信じているからだ。今の時点では、ごく限られた小数のユーザーだけしか、この実験を見ることができない。リファラーのトラッキングを妨げるつもりはなく、このプロジェクトを繰り返し継続するつもりだ。Googleが実行する実験に関する、より詳細な情報はここを見てほしい。
http://googleblog.blogspot.com/2006/04/this-is-test-this-is-only-test.html.”

まだまだ実験の段階で、導入するかどうかさえ分からない印象です。

また、Google Analytics以外のアクセス解析ツールでもキーワード解析ができるように改良を加えることも十分に想定できます。

今すぐあわてる必要はないでしょう。
できることといえば、Google Analyticsに慣れておくことくらいでしょうか。(笑)

しかし、Googleにとってデメリットしかないランキングチェックツールが無効化され、アクセス解析ツールに自社のGoogle Analytics以外の選択肢が与えられないような現実が来ないとも限りません。

恐るべし、Google。

AJAXベースの検索に切り替わると、なぜキーワードの分析ができなくなるのか、説明します。
僕自身が、決してAJAXに精通しているわけではないので、概要になります。

現在のGoogleの検索結果のURLは、「ww.google.co.jp/search?q=***」のような形式になります。

「?」でパラメータが始まり、「***」には検索キーワードが入ります。

たとえば、google.co.jpで「ajax」を検索すると、検索結果ページは「http://www.google.co.jp/search?q=ajax」というURLになります。
※日本語や記号は、UTF-8でエンコードされる。2語以上は「+」でつなげられる。通常は使用言語などのその他のパラメータも付加される

ブラウザはウェブページにアクセスしたときに、その直前に閲覧していたウェブページのURLを「Referrer(リファラー)」という情報として、アクセス先のウェブサーバーに伝えます。

Googleの「ajax」というキーワードSERPに出現したウェブページをクリックしてアクセスしたら、「http://www.google.co.jp/search?q=ajax」がリファラーとして送信されるわけです。

アクセス解析ツールは、リファラーを取得して「?q=」の後に続くデータを抽出して、検索キーワードとして認識します。

AJAXベースの検索結果URLは、「?」ではなく「#(シャープ、英語ではハッシュというようです)が使われます。

「ajax」というキーワードの検索結果のURLは、「http://www.google.co.jp/#q=ajax」となります。

何が問題かというと、ブラウザは「#」の後に続く情報を保存できず、「#」以下をリファラーとして送信しないのです。

AJAX検索からのアクセスのリファラーはすべて「http://www.google.co.jp/」となってしまい、google.co.jpのトップページからのアクセスとして認識されてしまうのです。

実際に、Googleのホームページからのアクセスが急増したというユーザーの報告があがってきています。

僕は主要なサイトではGoogle Anaylitcsを利用しているので、こちらもさしたる問題はありませんが、そう言えないWebマスターやアクセス解析ツール提供者もいることでしょう。

今後の進展を監視したいと思います。

最後に、AJAXベースになると何がいいのかということですが、操作性の向上やページのロード時間の短縮が実現するようです。

AJAXに詳しい方、Google検索がAJAX化されることで予想できるメリット(とデメリット)を教えていただければ、嬉しいです。