Q1料理を志した経緯や技術について教えてください。
––––最初に料理の道を志したのはいつからですか?
子供の頃から料理人になりたいなというかコックさんになると思ってたんですけど、僕たちの時代はみんな中学、高校、大学へ行くのが当たり前な時代だったんです。でも僕は勉強が本当に嫌で嫌で...。高校一年生の夏休みの時に、親戚のおじさんの所に行ったら地元で有名なお菓子屋のご主人がいて会話の中で「お前やりたいことあるのか?」「手に職つけておいた方がいいぞ」と言われて、そうだ俺料理人になりたかったなと。恐らく改めて志したのはその時からです。高校一年生の夏に専門学校に行くということを決めて、もう1、2年生の時には専門学校の下見に行き、高校卒業と共に大阪の専門学校へ行きました。
––––フランスへ行くきっかけはあったのですか?
ホテルで勤めたのち、ロブションに入るまでずっとフランス料理に対しての疑問というか、自分が作っているものが本当にフランス料理なのかなという疑問があり、やっぱり実際にフランスに行かなきゃいけないだろと思っていました。そんな時、日本でロブション監修の出店があり、応募してオープニングスタッフとして入ったんですね。その時には、もやもやしてたフランス料理か否かという疑問は消えて、その当時のフランス三ツ星のシェフの料理なので、そこは本当に満足していました。パリに本店を構えるお店だったんですけど、絶対に東京の方が美味しいお店を作ろうっていうそんな気概で仲間たちとやってました。で、まあそんな僕の周りの人同年代のたちもフランス行ってくると言って、周りがぞろぞろ行きだして、僕もそろそろ行かなきゃなと。
––––日本でもたくさん勉強されたと思うんですけど、フランスで学んだ技術はありますか?
フランスで学んだ技術は正直そんなにないんですよ。既に日本で僕自身も突き詰めてやった部分もあるし、なんでしょうね、日本の方が細かいというか。ですけどやっぱりフランス料理はフランスにしかなくて、やっぱりそれってレストランだけのことじゃなくて、生活だったり文化だったりそういう背景があってのやっぱりフランス料理なので。地方に行って地方の料理を食べたり、空気を吸ったり、ぶどう畑を見たり、そういう事から学んだように感じてます。その時から仕事や技術を学びに行こうというよりも、フランスを楽しみに行こうという考えで行っていたので。勿論仕事は仕事で一生懸命やるんですけど、休みの日とかはなるべく色々な地方行ったりとか、美味しいワイン飲んだりとかするようにして刺激をもらってましたね。
––––ロブションで星を獲得され、独立後Ryuzuですぐに星を獲得してますよね?
実はロブションを辞めてフランスに行き、またロブションに戻りまして。そこからまた一回辞めて料理学校講師を経て、またロブションに戻りました。丁度、恵比寿店の1階がリニューアルするタイミングで1階のシェフを任されたんですけど、1年も経たずに六本木店のシェフが移動になるので、代わりのシェフとして僕が六本木のラトリエ ドゥ ジョエル・ロブションのシェフを5年ほどやってから独立しました。ラトリエではミシュランが日本創刊の時に2つ星を獲得しました。「2つ星は絶対ない」と言われていたのに2つ星を獲れたんです。それはロブションさんの著書にも「六本木のラトリエの2つ星は本当に喜ばしいことだった」というふうに書かれていて、僕たちも勿論嬉しかったです。
独立してRyuzuをオープンした年の秋に1つ星を獲り、次の年には二つ星ですね。その後はずっと維持はしています。