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チケット駆動開発現場の最前線
~ 深夜残業・休日出勤が多かったプロジェクトの健全化への軌跡 ~
こばやし よう
自己紹介
こばやし よう
メーカー8年目
C#、WPF、Java、C++、Redmine
趣味はバンド、キャンプ、ソシャゲ
Twitter @yokoba569
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 2022/11/05 2
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 3
課題
計画が勘や経験に頼ったものになる
やることが見積通りにいかない
情報がメールやTeamsで流れてしまう
やることが誰待ちになっているのかが分からない
登録しただけで、やらないチケットが山積してしまう
プロジェクトの全体像が把握できない
残業、休出によるリカバリ リリース時期の延長
チケット駆動
実績時間の蓄積
見積り手法改善
開発計画の改善
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 4
No Ticket, No Work!
全ての作業をチケット化
作業の依頼や質問も、メールではなくチケットで実施
「redmine_reply_button」プラグインを導入
「返答」ボタンを押すと、最終更新者を「担当者」に変更した状態で、編集モードが起動
誰がボールを持っているかが、はっきりわかる(チケットをメールのように使う)
情報がすべてやり取りとともにチケット上に残る
https://github.com/SabastianGambrell/redmine_reply_button
チケット駆動 実績時間の蓄積 相対見積り 開発計画
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 5
チケットツリーで階層化
「調査」「仕様」「設計」「開発」「テスト」といった案件に紐づく業務だけでなく、
日々発生する “すべての業務” をチケットと紐づけ階層化を実施
 「朝会」や「開発環境作成」といったものにも「開発全般」といった親チケットを作成し階層化
特定なチケットへのアクセスを容易に(フォルダをたどってファイルにアクセスする要領)
仮でよいから期日を入力
やれなかった場合、必ず「期限切れチケット」で浮上するのでウォッチが容易に
「期限切れ」のタイミングで、更に伸ばすか、却下するか、実施するかの判断ができる
これにより、「チケットが登録だけされて放置される現象」を回避可能
チケット駆動 実績時間の蓄積 相対見積り 開発計画
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 6
「Redmine Time Puncher」
時間がかなり正確に入力できる
 「Redmineの活動」
 「Outlookの予定/メール」
 「Teamsの通話履歴」
外部ツール出力機能で
“自社の勤怠管理WEB”にも出力可能
 2重登録は、メンバーの負荷になってしまうので
運用が続けられない
入力した工数の分析機能もあるので、
週報、月報を書くときにも便利
https://www.redmine-power.com/
チケット駆動 実績時間の蓄積 相対見積り 開発計画
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 7
「相対見積り」の実施
脱KKD!(勘、経験、度胸)
アジャイルで行う「プランニングポーカー」を参考にした
やり方
1. 過去の規模感が近い案件をみんなで選定する
2. その実績時間を元に、予想工数を見積もる
効果
実績に基づいているので、多すぎ少なすぎの議論を回避
開発が進めば実績時間が蓄積され、精度が上昇
https://www.mof-mof.co.jp/blog/column/agile-estimation-planning-poker
チケット駆動 実績時間の蓄積 見積り手法改善 開発計画
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 8
「見積り」と「持ち工数」をもとにした堅牢な開発計画
各案件の工数を相対見積りで見積る ⇒ 「見積り」
リリース時期から持ち工数を算出する ⇒ 「持ち工数」
「持ち工数」の算出
開発業務にすべての時間をさけるわけではない
 一日が 8h なら開発に使える時間は 6h と見積る
祝日はもちろん、個人の休みも計算に入れる
 一人、最低一ヶ月で1日は休む
 別途、計画している人は、それも組み込む
個人スキルも係数をかけるようにする
 トップエンジニアを1として、新人は0.3とか
 ここはエイヤで決めちゃう
チケット駆動 実績時間の蓄積 見積り手法の改善 開発計画の改善
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 9
「見積り」と「持ち工数」をもとにした開発計画
「見積り」と「持ち工数」に基づいて“デジタル”に判断する
溢れてしまったら「案件選定」 ⇒ それでも溢れたら「仕様調整」 ⇒
「リソース追加」を上役に依頼 ⇒すべてやってダメなら「期日」をずらす
これらの「決断」ができないと、見積もりの意味がなくなってしまう(ので頑張って調整!)
調整方法を事前に上役と合意を取る
一致した見解のもとに、できる・できないという話ができるので、上役の方も納得しやすい
段階的に見積もりを実施し計画を更新
複数回実施することで乖離を最小限にできる
仕様がFIXしたら、再見積もりして、スケジュールを再考する
チケット駆動 実績時間の蓄積 見積り手法の改善 開発計画の改善
2022/11/05
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 10
チケット駆動 実績時間の蓄積 見積り手法改善 開発計画の改善
全ての業務をチケット化。
Replyプラグインで
メールのようにやり取りする。
Redmine Time Puncher
を使って、正確な実績データを
記録する。
正確な実績データをもとに、
ある程度、正確な見積もりを実施する。
「相対見積り」
「見積り」と「持ち工数」から案件を選定。
それ以外は、次Verに見送る。
チケット駆動開発、
めっちゃ気持ち良い!
チケット駆動開発
との相性良すぎ!
メンバーが自発的にデータを見て
分析して、改善が始まりました。
結構、精度が出ますよ。
ものによりますが、大体、
±20%くらいの誤差です。
試行錯誤して1年くらい…
残業は大きく減少
休出は0になりました!
ご清聴ありがとうございます
まだまだ課題も多いですが、皆様の参考になれば幸いです。
Redmineに関わる全ての人に感謝です。ありがとうございます!
不明点があれば、Twitterにご連絡ください。できる範囲でお答えします。
こばやし よう
Twitter よこば@yokoba569
REDMINE.TOKYO第23回勉強会 2022/11/05 11

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