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情報システムの基礎(教科書・サンプル)
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Masanori Saito
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情報システムの基礎(教科書・サンプル)
1.
© 2016,NetCommerce 1 情報システムの基礎 目次 IT と情報システムの関係.........................................................................2 情報システムの構造
..............................................................................3 アプリケーション ............................................................................................................... 4 プラットフォーム................................................................................................................ 5 インフラストラクチャー ....................................................................................................... 6 エンタープライズ・アプリケーション .............................................................7 ERP システム................................................................................................................... 8 SCM システム ................................................................................................................ 10 CRM システム................................................................................................................ 12 PLM システム................................................................................................................. 13 CAD システム ................................................................................................................ 15 CAM システム ................................................................................................................ 16
2.
© 2016,NetCommerce 2 IT と情報システムの関係 IT(Information
Technology)を日本語に訳せば、「情報技術」となります。情報を手に入れ、加工・ 編集し、これを保存し、他の人に受け渡す、そんな一連の処理を電子的に実現するための技術の ことです。それにはコンピューターやネットワークなどが使われるわけですが、それを実現する半導 体や電子回路などのハードウェア技術、そのハードウェアに様々な計算や業務処理の手順を教え、 その実行を管理するソフトウエア技術なども含まれます。同様の意味で、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)という言葉も使われます。この言葉は、ネットワーク や通信技術を強調したり際立たせたいときに使う傾向があります。ただ IT にも通信やネットワークの 意味が含まれていますので、ほぼ同じ意味で使われているといってもいいでしょう。 この IT を使って、効率的な生産計画の策定や工場の現場へ仕事の指示を出すプログラムを作り、 それを実行します。また、交通費の精算、お客様との取引履歴の管理などのプログラムもまた同様 です。このように、IT を駆使して業務の流れ(ビジネス・プロセス)を円滑にし効率を高めるための仕 組みのことを「情報システム」と呼んでいます。 情報システムは、業務の効率化ばかりではありません。誰もが時間や場所を気にすることなく連絡 が取り合える電子メール、自分たちの近況や関心事を文字や写真、動画で共有し会話を交わすこ とができる SNS(Social Networking Service)、いつでも好きの時にどこからでも買い物ができるオ
3.
© 2016,NetCommerce 3 ンライン・ショッピング・サイトなど、IT がなければ決してできないことを実現してくれる情報システム もあります。また、鉄道や航空機の管制、地震や津波の監視や通報、建物の監視や入退室管理と いった私たちの安心や安全を支えてくれるものもあります。さらに、健康診断の結果やレントゲン写 真から病気の兆候を見つけ出し病気の診断を支援する、膨大な量の
SNS の投稿や株価の変動か ら投資すべき銘柄やポートフォリオ(金融資産の組合せ)をアドバイスする、新商品がどのような売 れ行きを示すかの予測をするなど、人間の能力や知識だけではとてもできないようなことを実現し てくれる情報システムもあります。 「“IT”とは“情報システム”を実現する技術」 両者をそんな関係として捉えるとわかりやすいかもしれません。ただ、両者を区別せずに使われる ことが多いのも事実です。それで、困ることもないと言ってしまえばそれまでですが、まずは基本の 基本ですから正しく理解しておきましょう。 ハードウェアとソフトウエアについても、簡単に触れておきます。情報システムはコンピューターとい う電子機械に、それを動かすために必要な手順や手続きを記述したプログラムを読み込ませ実行 させることで実現します。コンピューター以外にもデータ通信するための電子機械やデータを保管 しておくための電子機械などが使われます。このような電子機械をハードウェアといい、プログラム のことをソフトウエアと呼んでいます。略して「ハード」、「ソフト」と呼ぶ場合があります。 本来ソフトウエアという言葉には紙に書かれた「文書」やカタチにできない「ノウハウ」も含まれること もありますが、本書では、お断りしない限りプログラムのことと理解してください。 なお、巻末に IT の主要な構成要素である「コンピューター」、「ネットワーク」、「データベース」につ いて、その仕組みや役割を整理しておきました。心許ない方は、まずはそちらをご覧の上、読み進 んでください。 それでは、IT によって実現する「情報システム」とは、どんな組み立てなのかを見てゆくことにしまし ょう。 情報システムの構造
4.
© 2016,NetCommerce 4 「情報システム」は、アプリケーション、プラットフォーム、インフラストラクチャーの3階層で成り立っ ています。 アプリケーション 「アプリケーション(Application)」とは、「適用、応用」という意味で、業務個別の仕事の流れ(ビジ ネス・プロセス)をコンピューターで実行するための仕組みのことです。適用業務システム、あるいは、 アプリケーション・システムとも呼ばれています。「アプリ」と略されることもあります。 販売管理システム、文書管理システム、経費精算システムなど企業や組織で使うものや、ワープロ ソフトや表計算ソフト、ブラウザーや音楽再生ソフト、ゲームソフトなど個人で使うものもあります。 例えば、「販売管理」業務の場合、かつては「受注−顧客登録−出荷指示−請求」といった一連の仕 事を紙の伝票の受け渡しや電話連絡で行っていました。そのための手間や時間は大変なもので、 伝達や転記でミスを犯すこともありました。この作業をコンピューターで行えば、キーボードやバー コードで取り込んだデータは即座に関係者に伝達され、自動倉庫を動かして荷物をトラックに積み 込み、請求書を印刷してくれます。この一連の作業に人間が介在することはありません。おかげで、 業務の効率は高まり、連絡ミスや台帳の転機ミスもなくなったのです。 「文書管理」であれば、紙の書類を束ねたフォルダーを開かなくても、キーワードを入力して検索す れば、どこにいても即座に必要な書類を取り出すことができます。「経費精算」であれば、オフィスの 机に座って紙の伝票に出張の経路や日付、交通費を書き込み捺印して上司に渡さなくても、移動
5.
© 2016,NetCommerce 5 中の電車の中でスマートフォンを使い、過去に使った同じ経路の情報を呼び出し日付を変えるだ けで手続きを終わらせることができます。おかげで、めんどうな事務処理を短時間で、しかも隙間の 時間に終わらせることができるようになったのです。 このように業務個別のビジネス・プロセスをコンピューターで実行させるために作られたプログラムと、 それを動かすために必要なソフトウエアやハードウェアを使って動いている仕組みが「アプリケーシ ョン」なのです。 プラットフォーム プラットフォーム(Platform)とは、「土台、基盤」と言う意味で、アプリケーションを動かすために必 要となる共通機能を提供するソフトウエアのことです。 例えば、「オペレーティングシステム(Operating System
または OS)」は、キーボードやマウス、通 信装置やストレージ(データを保管する装置)などのハードウェアとアプリケーションのやり取りを仲 介し、無駄なく、確実にシステム全体の動きを制御する役割を果たします。 また、様々なデータを体系的に管理してくれる「データベース管理システム」、システムの稼働状況 を監視し問題があれば教えてくれる「運用管理システム」、プログラムの開発を簡単にしてくれる「開 発支援ツール」などもプラットフォームの仲間です。後者は、アプリケーションとオペレーティングシ ステムの中間に位置するソフトウエアということで、「ミドルウェア(Middleware)」と呼ばれていま す。
6.
© 2016,NetCommerce 6 ところでコンピューターが世の中に登場した 1950年代、「プラットフォーム」という考え方はまだ定着 していませんでした。そのため、業務個別に作られたアプリケーション・プログラムごとにデータを管 理する、システムの稼働状況を監視する、ハードウェアを効率よく動かすなどの機能を組み込んで いました。しかし、このような機能は、どのようなアプリケーションでも共通に使われる機能です。なら ばそれをひとまとめにしてコンピューターで動かしておき、アプリケーション・プログラムが必要に応 じて使えば、プログラム開発の負担を減らすことができのではないか、ということから誕生したのがプ ラットフォームです。 また、いまなら当たり前のことですが、PC(Personal
Computer)にワープロソフトを導入(インストー ル)したら、ワープロが使えます。ゲームソフトをインストールしたらゲームで遊べます。つまり、アプ リケーション・ソフトウエアを追加するだけで、一台の PC でいろいろなことができるようになります。 しかし、コンピューターが誕生した頃はこんなことはできませんでした。例えば、冷蔵庫はモノを冷 やす、電子レンジは食品を暖める、掃除機はゴミを吸い取るといったように、家電製品はひとつの 機能に特化した専用機として作られていますが、昔のコンピューターもそれぞれの仕事に合わせた 専用機だったのです。そのため、当時のソフトウエアもまたはひとつの仕事専用であればよく、アプ リケーションやミドルウェア、オペレーティングシステムを区別する必要はありませんでした。また、専 用のハードウェアに合わせて個別に作ればよかったのです。 しかし、それでは、業務毎に扱い方の違う専用コンピューターを用意しなければなりません。開発 する側も、使う側も大きな負担となっていました。そこで、コンピューターを「アプリケーション」、「オ ペレーティングシステム」、「ハードウェア」に分け、それらを組み合わせる際のやり方を予め決めて おけば、それぞれ別々に作ることができます。そのために重複したものは作らなくて良くなり、アプリ ケーションを開発するための作業負担は少なくなりました。また、同じオペレーティングシステム用 に作られたアプリケーションであれば、同じコンピューターで使いたいアプリケーションをインストー ルするだけで、いろいろなことができるようになったのです。やがて、アプリケーションの中でもよく 使われる共通の機能がミドルウェアとして取り出され、オペレーティングシステムと共にプラットフォ ームと呼ばれるようになりました。 オペーレティングシステムには、皆さんもよくご存知の PC 用の Windows や Mac OS X、スマート フォンやタブレット用の Android や iOS などがあります。最近では、これらオペレーティングシステム の機能に、文書作成や写真の加工・編集、音楽再生などのアプリケーション、ファイルの管理、稼 働監視、セキュリティ対策などのミドルウェアをパッケージにして、まとめて「オペレーティング・シス テム」と称している場合もあります。この辺りは、混乱するところですが、本来の意味での「オペレー ティング・システム」だけでは特徴を示し差別化することが難しく、このように便利な機能を付け加え て魅力を高め、自社の製品をアピールしているのです。 インフラストラクチャー インフラストラクチャー(Infrastructure)とは、「下支えするもの、構造」という意味で、略して「インフ ラ」と呼んでいます。プログラムを動かす電子機械であるコンピューター、データを保管するストレー ジ、通信を担うネットワーク機器などのハードウェアやこれらを設置するデータセンターなどの設備