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本日の弁士 川村泰久
この講演には残虐及びグロテスクな思想が含まれています。
あ…ありのまま今、起こっている事を話すぜ!
おれは4月いっぱいでバンダイナムコスタジオと
の派遣契約が切れるんだが、
いつの間にか社員のみなさまの前で話す事に
なっていた…
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何をしているのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか
超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ
断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
自己紹介 川村泰久
もとPBM会社有限会社ホビーデータゲームマスター
もと漫画アシスタント(銃夢 専属二年半、そのほか)
集英社Jノベルズ「銃夢小説版」執筆(オリジナルストーリー)
デジタルゲーム方面の所属会社遍歴
カプコン⇒クローバースタジオ⇒SCEJapan⇒イグニッションで正社員
以降は傭兵企画としてアクワイア、セガ、コナミ下請け、スクウェア下
請けなど。いまバンナム。
関わったタイトル
バイオ3 全設定とシナリオ、ファイル、演出、全ボスステージとおまけゲーム
「マーセナリーズ」の立案
デビルメイクライ1 初期シナリオ、初期ボスアクション、初期ステージ構成企画
ディノクライシス 1 と 3 シナリオ脚色
めいわく星人パニックメーカー シナリオ、設定、演出、ステージ企画、声優
クロックタワー3 CGムービー撮影班「深作組」助監督
バイオ4 初期ゲームコンセプト立案、初期企画、初期ステージ構成
大神 初期企画、序盤ステージ担当
エルシャダイ 初期プレイヤーアクション、ステージ企画、シナリオアドバイス
ライズオブナイトメア(セガのキネクト版ハウスオブザデッド) ステージ企画主任
ファイナルファンタジーアギト(iOS F2P) クエスト、NPCセリフ、レイドボス企画
エースコンバットインフィニティ(PS3 F2P) F2Pとして改造計画、各種企画立案
Etc……
さて、任天堂の呪いから。
日本のゲーム制作者には
伝統的な呪いがかかっています。
それは何か?
ゲームはゲームという
「呪い」。
美学といえば聞こえはいい。
「ゲームはゲーム」とは、ゲーム制作上の
ゲーム哲学です。
みなさんもよく耳にするのではないだろうか。
誰も見たことのない遊びを考えよう!
新機軸のゲームシステムを加えないと
ダメだ!
日本人は
使い古された「遊びの仕組み」を好まない。
「遊びの新奇性」
は絶対に必要だと考える。
・・・・・・誰も見たことのないものを作れと上司。あんた錬成の掟
をしらんのか。
新奇性とは
しん‐き【新奇】
[名・形動]目新しくて珍しいこと。また、そのさま。
「―を好む」「―な趣向」
[派生]しんきさ[名]
しんきせい【新奇性】
目新しいさま。物珍しいさま。「―に乏しい企画」
「かつて誰かが作った遊び方なら、
俺達が作る意味がないだろう」
そう、えらいひとが言った。
貴様ア!
作ってなぜ悪いか!
お前のようなやつに
洋ゲーを語る資格はない!
ゲームはゲーム。
この定理は玩具(おもちゃ)としては正しい。
玩具は遊びの新奇性さえあればいい。
スペックに頼るな。表現に頼るな。ストーリーやムービーに頼るな。
遊びが面白ければそれでいいんだ。そう横井さんは言っていた。
これは日本ゲーム発展の歴史を見れば当然の論理。
伝家の宝刀とも言える「ゲーム制作必勝法」だ。
スペックもなく、容量もなく。
そんなハードで可能性を見いだすには、
「ひとつの遊び」をいかに応用するかであったろう。
限定された中でいかに遊ぶか。
表示できない中でいかに表示するか。
鳴らない音の中でいかに音楽を奏でるか。
まさに無から有を生み出してきた日本人
・・・しかし。
数々の難題をくぐり抜けてきた過去の成功体験が、
今日の我々を縛り付けている。
もはやそれは呪いと言ってもよい。
スペックや最新技術に頼らなくても
よいゲームは作れる。
しかし、その逆もまた真実なんだ。
いま海外勢のゲームをプレイすれば分るように、
高いハード性能と進歩した表現技法や技術が
新たなゲームの新奇性
を運んでくる時代が来ている。
ゲームなのに、
ゲームの新奇性以上の狙いは存在するのか?
次は、新しい呪いの到来について。
近年は普通に受け容れていると思いますが、
洋ゲーの事を長らく日本人は理解できませんでしたね。
北米のハイエンドなゲームを
プレイしてみよう。
その感想を並べてみよう。
だいたいFPSか、操作がFPS。
移動して、狙って、撃つ。
常に殺し合い。
過去現在、未来永劫
戦争
毎回おっさん。
筋肉・・・すごく・・・
大きいです。
後で話しますが、これネタじゃなくて重要なビリーバブル要素なんですよ。
ゆがみねえナラティブ。
海外のゲームは
みんな遊びが同じですね。
でも飽きない。
それぞれが面白い。
ゲームの新奇性に乏しいにもかかわらず。
・・・ここから分かることは、
洋ゲーのキモは
ゲームの新奇性ではない。
そう言う仮説を立てて考えませんか。
・・・じゃあ
新奇性は何でしょうか。
おっさん
体験
みんな戦争映画は見るよね。
今まで第二次世界大戦の映画を何本見た?
遠すぎた橋、ナバロンの嵐、戦争のはらわた、スターリング
ラード、プライベートライアン・・・
みんな、甲子園漫画を何作読んでる?
ドカベン、男どあほう甲子園、バツ&テリー、タッチ、大
甲子園、緑山高校、ダイヤのエース・・・
刑事ドラマなんてもう飽きるほど見てる。
太陽にほえろ、あぶない刑事、はぐれ刑事、踊る大捜査線、
アンフェア、ストロベリーナイト、相棒・・・
まだ見るよね。なんで見るのかな。
同じ戦争、スポーツ、犯罪・・・・・・
いつもと同じジャンル、様式。
しかしそこで織りなされるドラマは違う。
体験が経験が
違う。
そう、洋ゲーハイエンドのゲームは
プレイヤーに
「体験の新奇性」
を提供しているんだ。
もはやゲームシステムに軸はない。
ゲームは体験の「媒体」なんだ。
ジャパニーズは規格を変え
すぎデース!
再生めんどくさいデース!
日本人はFPS等の仕組みにとらわれ、ハイエンドな
ゲームにおける新奇性の解明が遅れた。
それはゲームの新奇性という要素以外を「ゲーム
のおまけ」と断じて疑わなかった事が原因。
スペックがもたらす
「新たなゲームの可能性」
というものを、
「ゲームはゲームなんだ」という論理が
暗に遠ざけてしまったのだ。
その論理で言えば、FPSや箱庭放置ゲームは
まったく理にかなわないだろう。
現に多くの日本人ゲームデザイナーも
プレイヤーも、それを否定してきた。
「なぜ外人はFPSばかり作り、
遊ぶのか」
それは理解の外にあった。
ゲーム性で計ったら、洋ゲーの潜在能力は測れない。
ハード的にもソフト的にも
高度な表現が可能となりつつある現代、
ハイエンドなゲームであるほど
「新たな体験を提供するもの」
が求められるでしょう。
体験に軸(新奇性)があるからこそ、
体験の再現手段であるゲームシステムは
シンプルかつ枯れたものがよい。
映画を再生するたびにマニュアルを覚え直さなくてはならないことを想像して
みましょう。
プレイヤーがすぐにさまざまな体験へと
没入できるシステム(ルール)として
FPSが最適だった。
体験に軸(新奇性)があるから、
ゲームシステムはシンプルかつ
枯れたものになった。
プレイヤーがひとつの遊び方を覚えたらすぐに
さまざまな体験へと没入可能
フォーマットとしてFPSが最適だった。
「どんな体験を提供するか」に軸があるから、
AIや自動生成などの「環境」にこだわる。
同じゲーム内でもゲーム性は再現したい体験のために変える。
日本のふるいゲームの論理ではかんがえられない事。
世界体験という軸を見いだせれば、洋ゲーの
謎はだいたい解ける。
日本のゲームはゲーム思想が
枯れた技術の水平思考
であるなら、
洋ゲーとは
枯れたゲーム性の水平思考
である。
枯れた技術を転化し、
新しい遊びと結びつける事で何かを生み出す。
それは日本のお家芸だ。
しかしFPSや箱庭ゲームはどうか。
それとは真逆だという事に気づいて欲しい。
最新の性能、最先端の技術、それらの生み出す最高
の表現力。
新しい技術と使い古された遊びを組み合わせる事で、
いま何が生み出されているのか。
それは
「世界体験」
であると俺は思っている。
世界体験ゲームへの取り組みもそうだし、
遊びにこだわるゲーム軸ゲームもそうだが、
これらの信念は時に力となるが、
時に呪いとなってしまうことがある。
呪いをよく扱えば福音となるはずだ。
目的にとってどちらが最適なのか。
ゲームは多様でなければ発展しない。
これらは両輪で、同位だ。
そう言う意味で両方を呪いという。
任天堂の呪いとナラティブについてバンナム編
世界体験ゲームは、
この私が長らく考えてきたゲームの概念です。
発端はいろいろありますが、分かりやすいところで
「バイオで三上さんに企画が仕込まれたこと」
をみなさんにお話ししましょう。
まずはクイズです。
ゲームクリエイターがしるべき97のこと2を
読んだ人は
「記憶を一時的に失ってください」
両隣の人が覚えていそうなそぶりを見せたら、
殴打して気絶させてください。
クイズです。
バイオハザードではゾンビの体力を
どれくらいに設定するのか?
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