3. p.17 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
今日のお話
l アジャイル開発の中には「現場活性化のヒント」がたくさんあります。こ
れらは、ウォーターフォール、繰り返し型に関係なく使えます。
l さらに、これらの工夫は生産革新の現場で行われている「トヨタ生産
方式」と本質が同じもので、「見える化」を基本にしています。
l 私の関係するプロジェクトの現場で、実際に行われている「見える化」
の例を、写真を交えてお話します。
l さらに、その背後にある、「原則」と「価値」をお話します。
l これらを、私がミッションとしている開発現場の活性化手法として、プロ
ジェクトファシリテーションという名前をつけ、体系化しています。
l みなさんの開発の中でも、利用できるものがあったらぜひ使ってみてく
ださい。また、新しいアイディアが発見できたら教えてください。
4. p.18 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
プロジェクト
の見える化
からはじめ
ましょう。
5. p.19 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
プロジェクトの成功は、
Moving Target
要求 R(t)
システム S(t)
チーム(t)R(t) S(t)
Δ
t
不明確かつ不
安定な要求。
いくらよい計画を立てても、見えていなければ、プロジェクトは成功できない。POINT
Δ
基盤技術 T(t)
T(t)
6. p.20 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
見える化
l 「最新の正の情報」が、「一箇所に」、「大きく」書
かれていて、それを、「両チームのメンバー」、「審判」
、「観客」が見ている。 「次の行動」を誘発する。
全ステークホルダーが、行動を起こせるような、確かな、分かりやすい情報源 POINT
7. p.21 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
実践
8. p.22 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
タスクかんばん
l 作業の見える化
– ToDo(未実施)
Doing(実施中)
Done(完了)
で管理。
– 各自の作業を指示しなく
ても、毎朝自発的に
作業開始。
– フォーマットは徐々に
カイゼン。 タスクかんばんの例
※バーンダウンチャーなどと共に、とにかく、壁に貼る。「情報発信器」とも呼ばれる。
作業の見える化は、「タスクかんばん」で行なう。 POINT
(協力:チェンジビジョンastah* チーム)
9. p.23 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
助け合う
10. p.24 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
「かんばん-nano」スーツにもベストフィット! POINT
ポータブルかんばん
(協力:CCS 佐藤竜一さん)
11. p.25 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
SOMCでの朝会のヒトコマ
3⼈のリーダが集まっての朝会。移動式ホワイトボードであるNUboardを使ってます。
(写真提供:ソニーモバイルコミュニケーションズの冨⽥さん)
12. p.26 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
日本からも海外へ発信
14. p.28 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.http://blog.crisp.se/henrikkniberg/
15. p.29 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
http://leansoftwareengineering.com/2007/10/27/kanban-bootstrap/
Corey Ladas
16. p.30 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
(協力:ヤマハモーターソリューション)
17. p.31 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
バーンダウンチャート
l 進捗の見える化
– バーンダウン(下向き)
– タスクかんばんと連動
– 中間成果物で
は計測しない。
– メールでエクセルシート
を配布したり、
サーバに置いたから
見てね、はナシ。
バーンダウンチャートの例
全体進捗は、「バーンダウンチャート」で見える化、繰り返しのリズムづくり POINT
(協力:永和システムマネジメント:チーム角谷)
18. p.32 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
スルーしない
19. p.33 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
朝会
l 作業の明確化
– 自発的なサインアップ
– 昨日やったこと、
今日やること、
問題点、の3点のみ。
– かんばんの前
で、行なう。
– 朝の仕事はじめが
重要!
– スタンドアップで15分.
– 定時刻、定位置、短時間
朝会の例(協力:チェンジビジョンastah* チーム)
毎朝、「かんばん」の前で全員で短い会議を行ない、リズムをとる。 POINT
PF実践編:朝会ガイド
http://www.ObjectClub.jp/community/pf/
20. p.34 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
あんどん
l 異常の見える化
– 受け入れテストを自動化。
– 毎時バッチで流す。
失敗があれば、即時表示。
原因追及。
– 欠陥のムダを排除。
– 自働化とあんどんに対応
– 欠陥の長期滞在を排除。
あんどんの例
(協力:永和システムマネジメント:チーム角谷、芦沢さん)
異常の見える化は、「ソフトウェアあんどん」で行なう。(受け入れテストを回帰) POINT
※ 欠陥のムダ=欠陥の大きさ×プロセス中の滞在時間
21. p.36 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
Myボード
l ペアの討議内容の見える化
– UMLなどを使って、
二人の討議を見える化。
– 議論が空中戦になるのを
避ける。
– 他の人を巻き込みやすくする。
– ノートを捨てる。(蓄積⇒表現)
– 記録は、必要ならそのままコピー!
– 「問題vs私たち」の構図を作る。
– 自作すると、なおよい。(200円)
Myボードの例(600円)
討議内容を、ボードにして見える化。ノートでなくボードで。 POINT
22. p.37 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
色つきUML
l ソフトウェア構造の見える化
– UMLを使って、全員が意識する
構造(アーキテクチャ、
モデル)を貼り出す。
– 手書きでもよい。
– UMLでなくてもよい。
– 色をうまく使う。
– 図の前で議論が始まる。
ソフトウェア内部構造のUML例
構造の見える化は、「色つきUML」で行なう。厳密でなくてよい。手書きでよい。 POINT
23. p.38 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ふりかえり(1)
l カイゼンの気づき
– Keep(良い点)
Problem(悪い点)
Try(次回挑戦)
を出す。
– 全員で意見を出し、
暗黙知の共同化と
形式知化を行なう。「名前付け」
– 「課題-解決リスト」、とは違う。
– とにかく、カジュアルな雰囲気で
全員発言することで、チームの
安全性を確保する。
– 「問題vs私たち」の構図になるように。
ふりかえりシートの例
カイゼンの「気づき」を「ふりかえり」で得る。 POINT
実践編:ふりかえりガイド
http://www.ObjectClub.jp/community/pf/
24. p.39 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ふりかえり(2)
l Keep/Problem/Try(KPT)
– Keepは定着する。
– ProblemはTryを
生み出す。
– Tryは、Keepか
Problemに移動する。
– 定着したものには、
「名前づけ」を。
ふりかえりがカイゼンを導く
Keep
Problem
Try
新しい問題! 新しいアイディア!
解決法
やってみて
うまく行った
うまく行かない
定着
イテレーション毎に「ふりかえり」を繰り返すことでプロセスが改善される。 POINT
25. p.41 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
マインドマップ
l 頭の中の見える化
– 中心に話題をおいて
– 放射状にキーワードを書く。
l すばやいノート術として
l 自己紹介として
l どちらかというと、
– ブレインストーム
– アイディア書き出し
– アウトライン
などの発散系ツール マインドマップの例(協力:Kent Beck、作:懸田剛)
頭の中は、「マインドマップ」で見える化。 POINT
26. p.42 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.マインドマップの例: 作:水越明哉
30. p.46 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
読書のまとめの例(常盤文克著『モノづくりのこころ』
31. p.47 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ホワイトボード上のブレインストーミングの例
(協力:オブジェクト倶楽部)
32. p.48 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.非機能要件洗い出しの例(協力:浅海智晴さん)
33. p.49 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ユーザ要求聞き取りの例
34. p.50 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
新入社員教育
35. p.53 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
チームムードは、にこにこカレンダーで見える化 POINT
l チームのムードを見える
化する。
l 帰宅時の気分を、
– 気持ちよく仕事が終えられた
– フツウ
– ダメダメ
l チームが自発的にモチ
ベーションマネジメント
にこにこカレンダー
※(株)富士通ソフトウェアテクノロジーズ
実践!!IT屋のトヨタ生産方式―あるソフトウェア会社の挑戦
36. p.54 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
(協力: NECシステムテクノロジー)
この掲示は、メンバが自発的に参加しないと成り立たないが、うまく機能することでメンバのモチベー
ションがアップする。この例では、カレンダー上で掛け合いをしたりして楽しんでやっている。
このカレンダーは保存されており、日次の作業(=付箋の枚数や種類)とつきあわせることで、作業負
荷とモチベーションの関係をつかむこともできる。
にこにこカレンダーの例(1)
37. p.55 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ブラジルで見たニコカレ
39. p.57 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
みなさんから頂いた
事例
40. p.58 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
あまのりょーさん(1)
独自ルール、独自の名前付けがよい。朝でなくて、夕方。
41. p.59 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
あまのりょーさん(2)
http://www.slideshare.net/beakmark/20090318pfp11beakmark
42. ヴァル研究所
p.60 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
https://speakerdeck.com/araitakeshi/hui-she-falsewen-hua-woaziyairunibian-etai-kiminimodekiruyo
日本最大数(100以上)のかんばん実践例が観れます。
下は総務(!)の例。営業でも、開発でも。
43. p.61 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
IT以外の事例(1)
l ニコニコカレンダー
(協力:佐賀県庁
東 泰史さん)
44. p.62 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
危険
ゾーン
IT以外の事例(2)
l タスクかんばん
(協力:佐賀県庁
東 泰史さん)
45. p.63 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
副知事
IT以外の事例(3)
l 朝会
(協力:佐賀県庁
東 泰史さん)
ぜひこの資料を見てください。(有名資料)
http://www.slideshare.net/hiranabe/agilejapan2010-saga-prefecture-higashi
46. p.64 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ブラジル、Ci&T社にて
l Agile Brazil 2011参加後、訪問。
l 米国との同じタイムゾーンを利用した、アジャ
イルアウトソース(オフショア受託開発)
l 顧客毎にチームを組み、100%アジャイル開発
l アジャイルとリーン原則を組み合わせ、現場
もマネジメントも、顧客指向でチーム開発。
47. p.65 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
1
3
2
48. p.66 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
1 2 3
4 5
6 7
8
49. p.67 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
見えなければ行動ができない
l とにかく、「壁に貼れ」(Excelシートのメールでは見えない)
l 日々の作業は「タスクかんばん」で。
l 進捗は「バーンダウン」で。
l 「朝会」を行い、作業を自発的に宣言。
l 異常は「あんどん」で検出。
l 「Myボード」でその場で話し合いながら。
l 重要なモデルやアーキテクチャは「色つきUML」で。
l イテレーション毎に「ふりかえり」を。
l 頭の中のアイディアを「マインドマップ」で。
l リスク管理を「KYミーティング」で
l 複数人のナレッジを「SKMS」で。
l チームムードを「ニコニコカレンダー」で。
見える化とリズムは、行動をうみだす第一歩。 POINT
50. p.68 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
プロジェクトファシリテーション
PFとは
51. p.69 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
「ファシリテーション」とは
l 促進する、助ける、円滑にする、場を作る
– 個人の能力を100%以上発揮する、チームの場作り
– ファシリテーター:会議の司会者、案内者、議論のプロセスに責任を持つ。
– 例:街づくりのための市民合意形成、組織改革、プロジェクト推進
l ファシリテーターのスキル
– ホワイトボードの使い方、机の並べ方
– 司会進行、合意形成プロセス
– ポストイットや模造紙、マジックの使い方
– アイスブレーキング(会の初めに緊張を解くアトラクション)
l プロジェクト・ファシリテーション(造語)
– プロジェクト(ソフトウェア開発を含む)の中でのファシリテーションのあり方
PF は、ソフトウェア開発の中での「ファシリテーション」に注目しています。 POINT
52. p.70 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
リーンソフトウェア開発
l トヨタ生産方式を、ソフトウェア開発に応用
詳しくは書籍にて…POINT
53. p.71 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
リーン思考の7つの原則
l ムダを排除する
– ムダ、とは顧客にとっての価値を付加しないもの、すべてである。ソフトウェア開発における7つの
ムダ(未完成作業のムダ、余分なプロセスのムダ、余分な機能のムダ、タスク切り替えのムダ、待
ちのムダ、移動のムダ、欠陥のムダ)を発見し、ムダを排除しよう。
l 学習効果を高める
– ソフトウェア開発プロセスは、繰り返し可能な「生産」ではなく、常に「発見」を繰り返す「学習活動」
である。この学習プロセスを機能させるために、活動を見える化し、フィードバックを得ながら自己
を改善していく仕組みを作ろう。
l 決定をできるだけ遅らせる
– 不確定要素が多い場合、確実な情報を元に決定を下せるように、「オプション」を維持したままで
前進することを許容しよう。このためには、システムに変更可能性を組み込んでおくことが戦略的
に重要である。
l できるだけ速く提供する
– 「完璧主義」に陥らず、とにかく早く提供する。顧客からフィードバックを得ることで、発見と学習の
サイクルが生まれる。このためにも、顧客からのプル型で開発を進めよう。
l チームに権限委譲する
– 現場の開発者が、100%の力を出せるようにする。中央集権で管理しようとしてはいけない。自発
的な決定ができるようにチームをエンパワーする。見える化の手法をうまく使って、チームが自分
の意思で状態を確認しながら前進できるようにしよう。
l 統一性を作りこむ
– 統一性が感じられるシステムには、一貫したビジョンと思想がある。これはプロセスや手順で作る
ことができない。リーダシップとコミュニケーションが、統一性の源泉となる。
l 全体を見る
– 部分最適に陥ってはならない。個人や一組織のパフォーマンスのみで評価すると、部分最適が起
こってしまう。一つ上のレベルで評価するようにし、個人や組織の協調が生み出されるようにしよう。
7つの原則が、プロセスを編み出すためのガイドライン。POINT
54. p.72 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
ムダを認識する
l トヨタ生産方式の「7つのムダ」とソフトウェア開発をマッピ
ング
生産工程の7つのムダ ソフトウェア開発の7つのムダ
在庫のムダ 未完成の作業のムダ
加工そのもののムダ 余分なプロセスのムダ
作りすぎのムダ 余分な機能のムダ
運搬のムダ タスク切り替えのムダ
手待ちのムダ 待ちのムダ
動作のムダ 移動のムダ
不良を作るムダ 欠陥(バグ)を作るムダ
まずムダを認識。顧客価値に結びつかない、「すべて」がムダ。POINT
55. p.76 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
Waterfall-Scrum-Kanban
分析
設計
実装
テスト
時間 時間
要求(スコープ) 要求(スコープ)Waterfall Scrum 要求(スコープ)Kanban
WIP
WIPWIP
時間 Lead TimeLead Time
Lead Time
リトルの法則: WIP(中間在庫) = Lead Time(出来上がるまでの時間) × Throughput(生産性)
同じThoughputなら、WIPを小さくすれば、LeadTimeが短くなる。→早く提供できる
どれも、「平均」スループットは同じ。
1年で365の要求
を作る
一ヶ月で30個の要
求を作る
一日1個
56. p.77 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
トヨタ生産方式と
アジャイルの共通点
l 品質を作りこむ
– 100つくって検査で90はねてもダメ
– 一人ひとりが工程で品質を作りこむ
– テスト駆動開発、テストで進捗をはかる
l 自働化
– 現場の一人ひとりにラインを止める権限(あんどん)
l より顧客に近い側から生産を制御(pushでなくpull)
– 後工程引き取りによる「停滞のムダ」の排除
– 今不要ないものは作らない(YAGNI),ビジネス主導のプライオリティ付け(要求の一個流し)
l 誰にでも見える進捗のアナログな管理
– 「生産管理版,カンバン,あんどん」と「付箋、カード、Myボード」
l 一人ひとりに工夫の権利
– 多工程持ち,多能工
– 出来る限り役割分担しない。トラックナンバーを上げる。ペアで作業をする。
参考:
「トヨタ生産方式」「現場のムダどり事典」
57. p.78 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
a
PFのなりたち
PF=アジャイル+TPS+ファシリテーション。ソフトウェア開発以外に適用可能。 POINT
Skilled
Facilitator
APMXP2
リーン Crystal
プロジェクトファシリテーション
Participatory
Decision-Making
アジャイルソフトウェア開発
ファシリテーション
価値 原則 実践
今回の「見える化」
のお話+α
見える化
トヨタ生産方式
Pull生産
多能工 かんばん あんどん
Project
Retrospectives
58. p.79 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
目的:なぜPFが重要か
l プロジェクトを成功させるために。
– 行動を起こさせるために。
– ひとりひとりの能力を最大限に発揮させるために。
– 個人の総和以上の価値をチームとして発揮するために。
l エンジニアとして、よりよい人生の時間をすごすために。
気づきを得るために。
– 仕事の中で、プロジェクトを越えて続く人間関係を得るために。
– やりがいと笑顔と信頼関係で、プロジェクトに取り組むために。
– Joy of Work (参照: 吉田耕作, Deming)
– エンジニアの人生の質 Quality of Engineering Life
PF は、ソフトウェア開発を成功と、エンジニアのやりがいの両立を目指します。 POINT
イメージを表示できません。メ
モリ不足のためにイメージを開
くことができないか、イメージ
が破損している可能性がありま
す。コンピューターを再起動し
て再度ファイルを開いてくださ
い。それでも赤い x が表示され
る場合は、イメージを削除して
挿入してください。
59. p.80 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
PM,PF,PLの関係
PFとPM は、相補関係です. POINT
ハート=PL
l PMは目標達成のために重要
l PFがないと,行き詰ってしまう
l もう1つ,PL(プロジェクトリー
ダシップ)がある.
l PM,PF,PLの素養が同一人
格にあることは稀.
– PM プロジェクトマネジャ
– PL プロジェクトリーダ
– PF プロジェクトファシリテータ
60. p.81 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
PFの5つの価値
l 対話
– 必要な人と、必要を感じたときすぐ、対面で話をしていますか?
– チームとして個人の総和以上の成果を上げるために、「対話」を価値とします。
l 行動
– あなたの言葉に、行動はともなっていますか?
– 価値を現実のものとするために、そして気づきを得るために、「行動」を価値とします。
l 気づき
– 今日、何かに気づきましたか?気づきを、毎日誰かに話していますか?
– 個人そしてチームが成長するために、「気づき」を価値とします。
l 信頼関係
– あなたはチームのメンバーを信頼していますか?チームのメンバーはあなたを信頼してい
ますか?
– 行動を起こす勇気の源として、「信頼関係」を価値とします。
l 笑顔
– 人からの非難をおそれてびくびくしていませんか?冗談を言える雰囲気はありますか?
今日、みんなの笑顔は見えますか?
– 人生の貴重な時間を楽しくすごすために、「笑顔」を価値とします。
61. p.82 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
PFの5つの原則
l 見える化(Management by Sight)
– 目に見えるようにして、行動につなげる。
l リズム(Rhythm)
– 人間活動として定期的なリズムを設計する。
l 名前づけ(Name and Conquer)
– 気づいた概念に名前をつけておく。
l 問題 vs. 私たち (Problem vs. us)
– 「問題」と「人間」を分離する。
l カイゼン(Kaizen)
– 継続的に、今の自分たちにできる、小さいことから。
62. p.83 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
見える化
l 「最新の正の情報」が、「一箇所に」、「大
きく」書かれていて、それを、「両チームのメン
バー」、「審判」、「観客」が見ている。 「次の
行動」を誘発する。
全ステークホルダーが、行動を起こせるような、確かな、分かりやすい情報源 POINT
63. p.84 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
リズム
l リズムを「デザイン」する
– 四半期、月、週、日
– 会議や成果物のタイミング
– 日次のテスト
– 日次の朝会(毎朝10:00)
– 週次の会議(毎週金曜は。。。)
l 朝会、ふりかえりのタイミング
l リズムが行動の「搬送波」
リズム(チームの鼓動)をデザインして、チームを前進させよう POINT
リズムがチームのハートビート
64. p.85 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
名前付け
l 「気づき」をキャッチ
l ナレッジを,
– 定着
– 他のチームに伝播
l 例:
– 「今日のお仕事」(by 坂田
さん)
– 「ぬかどこ」(by 倉貫さん)
– 「にこにこカレンダー」
名前をつけないと,「気づき」が逃げて行っちゃう! POINT
名前は大切(写真協力:平塚市博物館)
65. p.86 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
• 概念=名前のついたもの。私たちが頭の中で、あるいは、他者とのコミュニケーション
に乗せてハンドリングできる単位。
• モノ=概念のうち、目に見えるもの。物理法則に従うもの。
世界の理解
概念
コト
未概念
モノ
名前付け
見える化
人間の理解の方向
人間の理解と、名前、概念、モノ・コト、見える化、
• 名前づけ=人間は、名前をつけることによってその対象物をはじめてはっきり認識でき
る。未概念の名称による概念化。輪郭の切り取り。言語操作対象化。
• 見える化=見えないものを見えるようにする(モノ化する)ことによって、よりはっきりと実
体の存在感を得ることができる。
視覚、身体感覚、空間感覚(右脳的)
論理、言語操作(左脳的)
66. p.87 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
問題対私たち
(Problem vs. Us)
l ともすると,議論は
You vs. Me
You vs. Us になりがち.
l 「問題」と「人」とを分離
l Problem vs. Usにもちこむ。
– ホワイトボードを使う
– 座り方を替える
– ペアプログラミング
不毛なゼロサムゲームから,生産的な議論へ向かうカギ. POINT
You vs. Meの構図 You vs. Usの構図
問題 vs. Usの構図 問題 vs. Usの構図
67. p.88 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
カイゼン
l 大きな改革でははじまら
ない
l 小さなカイゼンから
l 今の自分たちでできること
l 来週からできること
l よくなっていくことを体感
しよう
l ふりかえり、が強力な武器
l For the better tomorrow
l 明日はきっと今日よりも、
いい日に決まっている
継続的に、今の自分たちでできることからカイゼンを。うまくいったら自分たちをホメよう。 POINT
68. p.89 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
PFの実践
69. p.90 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
要求
タスク
タスク
タスク
タスク
計画 イテレーション開発 ふりかえり
朝会、かんばん バーンダウン
あんどん ペアボード
ふりかえり
色つきUML
全体構成
半日 半日 一日の繰り返し
1週間
マインドマップ SKMS
l 見える化
l リズム
l 名前づけ
l 問題対私たち
l カイゼン
にこにこカレンダー
70. p.91 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
astah* 開発チーム例
77. p.100 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
最後に
78. p.101 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
PFの効果
l 協調的なチームのムードを作り出す
l 笑顔の数
l 意外なリーダーの出現(人材の開発、発掘)
l 見える、マネジメント
l 早く分かるリスク(隠さない)
l 実感できる改善(くりかえし、ふりかえり)
l 自ら気づき、自ら行動することを、価値とする文化
l すぐ始められる!
効果は、人材開発に関することが大きい。 POINT
79. p.102 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
導入のポイント
l 簡単なものから、やってみる。
l そのままではうまく行かない。工夫して初めて定着する。
l 外から押し付けない。
現場の若い人を必ず巻き込み、いっしょにやる。
l 現状を全否定しない。現状の良い点を生かし、課題を探そう。
l その過程で、ヒントとして使う。解決法を押し付けない。
l ポストイットや模造紙くらい、自分で買おう。(時間がもったい
ない)
l 人生の楽しみの一部、と考える。(Life Hacks)
現場を巻き込むプロセスが重要。 POINT
80. p.103 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
87. p.110 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.http://www.publickey1.jp/blog/11/10_innovation_sprint_2011.html
Innovation Sprint 2011
Jeff Sutherland Ikujiro Nonaka
me
88. p.111 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
89. p.112 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
91. p.114 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
プロダクトオーナの仕事。
企画をした人が最後まで、体で「思い」を伝えよ。
92. p.115 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
Nonaka’s Text Agile/Scrum (Software)
1993 Org. Patterns(by Jim Coplien) (at PLoP)
2001 “Agile Software Development with Scrum”
(by Ken Schwaber, Mike Beedle)
“The Knowledge Creating Company”(HBR) 1991
SECI-model
アメリカ海兵隊(U.S. Marine) 1995
Fractal
Organization
1994/1 First Sprint of Scrum by Jeff Sutherland
Scrum Master
1994/2 Second Sprint of Scrum (with Cope’s Ideas)
Daily Scrum
“The New New Product Development Game” 1986
“Scrum”
2012 “Software in 30 days”
“Wise Leadership”(HBR) 2010
Phronetic
Leadership
“Managing Flow” 2008
2001 “The Agile Manifesto”
2013
“アジャイル開発とスクラム-顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェエア開発”
Collaborative Software Development That Connects Customers, Engineers, and Management
93. 野中郁次郎
1
The New New Product Development Game(HBR)
Scrum
リレーからラグビーへ
2
The Knowledge Creating Company
SECIモデル
暗黙知と形式知のスパイラルな
変換活動が、知識創造過程である
3
Managing Flow, The Wise Leadership(HBR)
実践知フロネシス
形式知と暗黙知を繋ぐ、実践知。
U.S. Marine
フラクタル組織
どの階層においても、自
己相似形
4
94. p.117 Project Facilitation by Kenji Hiranabe is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.
『アジャイル開発とスクラム』
l 顧客・技術・経営の3者をつなぐために、
アジャイルと日本経営の接合点を探る
(組織、人事、リーダーシップ、マネジメント)
l 海兵隊のフラクタル組織とアジャイル
l 知識創造プロセスとアジャイル
l 実践知リーダーシップとアジャイル
l 富士通・楽天・リクルートのアジャイル事例
l Jeff Sutherlandインタビューを含む
117
95. 出所:Page, T. & J. Pimlott, eds., NAM(1988) P.10 118
副題「顧客・技術・経営をつなぐ」とは?