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株式会社シリアルゲームズ取締役
エンバカデロ MVP(Delphi)
Delphi-ML 管理人
細川 淳
自己紹介
 株式会社シリアルゲームズ(http://www.serialgames.co.jp/)
 サーバとクライアントの両方を制作可能です。
 サーバとクライアントのワンパッケージを提供しています。
 主にゲーム業界のバックエンドを支える業務をしています。
 最近は iOS/Android の仕事も多く手がけています。
 個人的には、クライアントサイドならなんでもやります。
 言語はえり好みしませんが、
Delphi/ C / C++ / C# / Java / x86 MachineLanguage
等が守備範囲です。
クライアントサイド
開発環境について
クライアント開発言語・環境
クライアントサイドの開発というと最近は
Visual Studio
+ C#
+ .NET Framework
が、多いのではないでしょうか。
もちろん、他にも……
クライアント開発言語・環境
Adobe Air や
"C++" + Qt とか
Java Applet なんて
選択肢もあるかもしれません。
ところで……
Delphi 言語に見る顕在化する言語のリスクとは?(2013/08/24)
参考ページ
C Sharp
http://monobook.org/wiki/C_Sharp
簡単な Delphi の歴史
ドラマチックバージョン
※多少の誇張があります。
とある会社の悪口に思える部分が
あるかもしれませんが、
そういう訳では無く、
ドラマチックにするための方便です!
個人的には好きな会社です。
Delphi の歴史
Delphi 1.0 は 1995 年に Windows 3.1 向け開発環境として
発売されました。
翌年 Windows 95 向けの Delphi 2.0 が発売されました。
その高速なコンパイラとビジュアルな開発手法で
全世界に熱狂的に受け入れられました。
しかし……
とある戦いに敗れた Delphi は、人々の記憶から消えて
いったのです……。
VS
Delphi の歴史
その戦いとは……
Delphi の歴史
この戦いの結果、創業メンバーが破れ追放されます。
フィリップ・カーンといった創業初期メンバーが居なくなったのは
もとより……
アンダース ・ ヘルスバーグ
(Anders Hejlsberg)
と、彼のチームが Borland を去った事が、非常に大きな
痛手でした。
TypeScript を作ったり
今でも精力的に活動していますね
Delphi の歴史
Borland を去ったアンダースは、
悪魔に魂を売り
打倒 Borland を標榜します。
その悪魔の名は……
Delphi の歴史
開発ツール市場で Borland と競い合っていたライバル会社
であり、最大の巨人とタッグを組んだのです。
Delphi の歴史
Microsoft は Visual Basic という主力言語を
持っていたにも関わらず、
Delphi の圧倒的な完成度を
目の当たりにし、
Visual Basic から脱却する
道を選びました。
そして、Delphi は葬られた
アンダースは、Microsoft の力を最大限に利用して
C#
.NET Framework
を作り出しました。
しかし、その実態は
そして、Delphi は葬られた
C#
= Delphi 言語 (旧Object Pascal)
.NET Framework
= Visual Component Library
だったのです。
事実 .NET Framework 1.0 は VCL とバグを含めて
完全に一致!していたのです。
Delphi の標準ライブラリ
そして、Delphi は葬られた
そして Microsoft の巧みなセールス(※)によって、
グングン売り上げを伸ばした C# は Windows デスクトップ
アプリケーションの開発環境として不動の地位を固めました。
その結果、Delphi は人々から忘れ去られ、
退場するかに思えました。
ちなみに、戦いに勝ったはずの Borland は、
その後売り上げ不振に陥り、MICRO FOCUS に買収され、
その歴史を終えました。
※実体は強固な静的型付け言語である Pascal の亜種なのに
Java の対抗馬のように宣伝して多くの Java プログラマを取り込み
業界を混乱に陥れたこと。
Embarcadero 登場
さて、時は現代に移り、舞台も少し変わります。
ここに、データベースツールを開発している
Embarcadero Technologies
(エンバカデロ・テクノロジーズ)
という会社がありました。
事業は順調だったのですが、ある悩みがありました。
Embarcadero 登場
その悩みとは
開発環境がなくなっちゃうよお!
(´;ω;`)
ということでした。
そう、彼らが使っていたのは Delphi だったのです!
Embarcadero 登場
そして、Embarcadero は大胆な決断をします。
身売り先を探していた Borland の
開発部門(CodeGear)を買収したのです!
このニュースは多くの報道機関に驚きを持って報じられました。
復活する Delphi
DB事業が順調に推移していた
Embarcadero は潤沢な資金を持っていました。
(2300万ドルで CodeGear を買収できたことからも明らか)
そして、Delphi / C++Builder といった
開発ツール事業に資金が投入されました。
復活する Delphi
そして時は動き出す
Delphi XE(Crossplatform Edition)
投入による
マルチプラットフォーム戦略
マルチプラットフォーム戦略
こうして Embarcadero に買収された Delphi は着々と
復活の道を歩み始めます。
ここで、他の開発環境を考えてみると
C# + .NET Framework は、Microsoft の製品です。
また、Objective-C + Xcode は、Apple の製品です。
そう、これらの人気のある環境で作ったアプリケーションは
1つの OS でしか動作しないのです!
マルチプラットフォーム戦略
ここで、Embarcadero の人たちは、
これだああああ!!!
しゃべったああああああ
ああ!!!
マルチプラットフォーム戦略
マルチプラットフォーム戦略で、
あいつらに
一矢報いてやる!!!!!!
※イメージ映像
マルチプラットフォーム戦略
こうして、Delphi は他の開発ツールベンダーにはできない、
マルチプラットフォームに大きく舵を切りました。
その結果、現在 Delphi は以下の環境をサポートしています。
Windows
MacOS X
iOS
Android いまここ
Delphi XE5
9月リリース予定!
Android iOS
もちろんタブレットも
他にも、色々語りたい機能はありますが、本筋では無いので
割愛します。
たとえば、どうやってマルチプラットフォームで動くのかとか、
しかも、全部ネイティブコードにコンパイルされるとか、そのために
intel だけじゃなく ARM のコンパイラも作っちゃったYo!
とか……
あとで、個人的に聞いてください!
……と思いましたが、FireMonkey だけ!!
安西先生……!
FireMonkey (FM4) の
紹介がしたいです…………
松澤
FireMonkey
FireMonkey (FM4) とは
2D/3D に対応した
マルチプラットフォームライブラリ
Windows / MacOS X / iOS / Android で動くライブラリで、
FM4 を使ったソースコードは、解像度にだけ気をつければ
自動的にマルチプラットフォームアプリになります!!
FireMonkey
FireMonkey によるアプリケーション例
こんな3Dアプリも簡単に!しかもプラットフォームを選ばず作れます。
FireMonkey
FireMonkey / VCL によるアプリケーション例
新たに導入された Style という考え方で、UI の見た目も自由自在
FireMonkey
FireMonkey / VCL によるアプリケーション例
メディアライブラリの充実している FM4 は
ビデオの再生もお手の物です。
FireMonkey
FireMonkey によるアプリケーション例
3Dグラフィックも簡単に表現できます。
※
Platform に最適なライブラリが
使われます。
Windows では DirectX
MacOS X では OpenGL
iOS / Android では OpenGL ES
といったように
FireMonkey
実際に大手デベロッパーの採用事例が相次いでいます。
日本・ブラジルなどの市場では
前年比100%の売上増!
Delphi を使う
リスクはあるのか?
再び Delphi
Delphi の歴史を紹介したことで
「リスクあるんじゃない?
なんか色々あったし……」
そんなことを思いがちですが、
そうでもないんです!!
再び Delphi
 Delphi は TurboPascal から数えると30年。
 これほど長きにわたって、メンテナンスされ
続けている環境はマレ!
 コンパイラも、Version 25!
 Object Pascal から Delphi 言語と名を変えて、
常に時代の最先端を走ってきたアイツ……
 標準化組織などがないので、迅速に対応
 今の言語のトレンドは、ほぼ全部扱えます。
再び Delphi
Delphi のライブラリ
VCL - Visual Component Library
 非常に長い間メンテナンスされつづけている
 そのためバグが少ない
FireMonkey
 最新のライブラリ
 マルチプラットフォーム対応
 バグは、まだちょっとあります。
安定性と最先端、
そして将来性……
リスクなどあろうか!
もし、今の体制に
何かあっても、
またどこかが
買ってくれます
結論
Delphiの事も、
たまには思い出して
あげてください。

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