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© 2024 NTT DATA MSE Corporation
Gartner も注目するグリーンソフトウェアの実現に向けて
- SCI 算出への新たな挑戦 -
株式会社NTTデータMSE
次世代ビジネス推進室
今村 浩人
2024.10.9(水)
© 2024 NTT DATA MSE Corporation 2
2004 入社
2004 - 2011 モバイル
組込みLinux ベースの携帯電話 / スマートフォン開発
- Linux Kernel / デバイスドライバの担当として、
機能開発、性能改善、デバッグ、セキュリティに従事
2011 - 2020 オートモーティブ
ナレッジをオートモーティブビジネスへ展開
- モバイルで培ったナレッジを顧客提案、施策に活かし、
オートモーティブ領域のビジネス展開を推進
- 業界団体活動の社内推進
(The Linux Foundation, Automotive Grade Linux)
2020 - 2022 経営企画
全社課題解決、中期経営計画の策定推進
2022 - 次世代ビジネス
顧客拡大、将来ビジネス創出
組込みソフトウェア開発(下回り)人材として
携帯電話 / スマートフォン / 車載器 開発を担当
株式会社NTTデータMSE
次世代ビジネス推進室
室長 今村 浩人
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Gartner|ソフトウェアエンジニアリングにおける戦略的テクノロジトレンド
Gartner Identifies the Top Five Strategic Technology Trends in Software Engineering for 2024
出典 : Gartner Identifies the Top Five Strategic Technology Trends in Software Engineering for 2024
Green Software Engineering
- AI-Augmented Development や Cloud Development Environments と並ぶ テクノトロジトレンドのトップ5
- 2027年までに大手グローバル企業の 30% が非機能要件として ソフトウェアのサステナビリティを含める と予測
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CO2 負荷観点 でソフトウェアを評価する スコア
Software Carbon Intensity (SCI) と IoT サービス
SCI = ((E * I) + M) per R
E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh)
I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh)
M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g)
R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など)
IoT サービスで動作するシステムを SCI でどのように評価するか
1. ソフトウェア起因での 電力消費量見える化 が必要
2. IoT サービス全体で動作する ソフトウェアは膨大 (全ての加算が必要)
3. 1つのシステム内でも 様々なソフトウェアが動作 (アプリケーション、ミドルウェア、デバイスドライバ、OS など)
4. システムパフォーマンス改善 ≠ システム CO2 負荷改善
出典 : ソフトウエア利用時の炭素排出量比較評価スコア「Software Carbon Intensity」がISO/IEC国際規格として採択
SCI
SCI
SCI
SCI
クラウドサービス
SCI
SCI
SCI
SCI
SCI
工場、店舗、ビル データセンター 事務所、オフィス
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目指す姿
最適化
オートティック
最適化
マニュアル
見える化
システム内のソフトウェアに対して CO2 負荷観点 での ・・・
システム
評価・アセスメント
サービス
システム
チューニング
サービス
システム
プロファイリング
サービス
当
社
オ
フ
ァ
リ
ン
グ
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目指す姿
最適化
オートティック
最適化
マニュアル
見える化
システム
評価・アセスメント
サービス
システム
チューニング
サービス
システム
プロファイリング
サービス
システム内のソフトウェアに対して CO2 負荷観点 での ・・・
当
社
オ
フ
ァ
リ
ン
グ
まずはここから
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SCI 算出への挑戦
当社 主戦場である 組込みソフトウェア開発 の知見を最も発揮できるものとして、
IoT サービス全体の入り口を担う IoT ゲートウェイ にフォーカスし、組込み機器でのSCI 算出に挑戦
IoT ゲートウェイ
ハードウェア : Raspberry Pi 5
OS : 組込みLinux (Linux 6.6.47)
SCI
SCI
SCI
SCI
クラウドサービス
SCI
SCI
SCI
SCI
SCI
工場、店舗、ビル データセンター 事務所、オフィス
IoT ゲートウェイ
ターゲットとする
ソフトウェア(プロセス単位)の
SCIを算出
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IoT ゲートウェイシステム構成
- Raspberry Pi 5 を IoT ゲートウェイシステムと想定
- 同マイコン上で動作するソフトウェアを対象として、SCI 算出方法を検討
Raspberry Pi 5 (組込みLinux)
RPZ-PowerMGR
Send / Receive
スマートフォン
Send / Receive
クラウドサービス
Send / Receive
ホームルータ
micro SD
micro SD カード
Read / Write
I2C
USB
Wi-Fi
GPIO
LAN
対象外
サーボモータ
PC
Pulse Control
ダッシュボード
ソフトウェアバウンダリ
Raspberry Pi 5 で動作するソフトウェア
(プロセス単位)の SCI を算出
Send / Receive
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SCI = ((E * I) + M) per R
E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh)
I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh)
M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g)
R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など)
SCI 算出 その1|I
- 環境省公開情報│電気事業者別排出係数 を利用
- システム利用場所の 電気事業者排出係数 を用いる
電力事業者 排出係数 (gCO2 / kWh) 電力事業者 排出係数 (gCO2 / kWh)
東京電力エナジーパートナー(株) 457 中国電力(株) 537
中部電力ミライズ(株) 433 四国電力(株) 370
北陸電力(株) 487 九州電力(株) 407
関西電力(株) 360 沖縄電力(株) 710
電気事業者別排出係数 R4年度実績 (一例)
システム利用場所における電力事業者の炭素排出係数を I に設定
出典 : 電気事業者別排出係数一覧
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SCI 算出 その2|M
- 機器ライフサイクル (設置 - 故障・撤去まで) における単位時間あたりの炭素排出量
・ 機器製造時の炭素排出量 ( Product Carbon Footprint : PCF ) をライフサイクル時間で除算し、算出する
・ 1日 / 1時間などの単位時間で計算
- 機器製造時の炭素排出量を取得する方法は以下の2つ
1. メーカー公開情報|Web、データシートなど
2. 環境省公開情報|排出原単位データベース 内の同種類製品 排出原単位
SCI = ((E * I) + M) per R
E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh)
I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh)
M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g)
R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など)
アプローチ
・ Raspberry Pi 5 の場合、炭素排出量情報がメーカー公開情報には無いため、2.を用いる
・ No. 237 (333101) |パーソナルコンピュータ/台 排出原単位 = 0.452 [tCO2eq] = 452,000 [gCO2eq]
・ 機器ライフサイクル 4年 、単位時間を 1時間 と仮定
M = 452,000 [gCO2eq] / 35,040 [h] = 12.9 [gCO2eq / h]
データシート(メーカー) / 排出原単位(環境省) を元にして M に設定
出典 : サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)|[5]産業連関表ベースの排出原単位
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SCI 算出 その3|R
- SCI 算出のベースとする処理 (機能) 単位
- すべてのソフトウェア境界にわたり、一貫しているものを選択する
・ API 呼び出し回数
・ ユーザ数
・ 機器数
・ データ量
・ トランザクション数
・ 利用時間 今回のSCI 算出に向けては 1時間あたり の利用時間を設定
・・・
SCI = ((E * I) + M) per R
E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh)
I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh)
M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g)
R : 集計単位 (API 呼び出し回数、ユーザ数など)
集計するシステムの利用状況が評価可能な単位を用いて R に設定
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SCI 算出 その4|E
- 実現したいこと | 今回の取組みにおける最大のモチベーション
・ ソフトウェアによる電力消費量、更にはソフトウェアを構成する最小単位である プロセス の電力消費量を算出したい
・ システム全体 (ソフトウェア + ハードウェア) の電力消費量から、プロセス 分を抽出する
SCI = ((E * I) + M) per R
E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh)
I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh)
M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g)
R : 集計単位 (API 呼び出し回数、ユーザ数など)
リソース使用量とプロセス毎の電力消費量の相関分析に挑戦
挑戦
・ システム内 プロセス毎の動作プロファイリングは可能
・ リソース使用量 (CPU、メモリ、ファイルアクセス、ネットワーク通信 など電力を消費するデバイス) に関連づけて
プロセス毎の電力消費量を計測すること はできないか
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計測に向けた工夫
課題 工夫
計測に影響する他のプロセス / スレッドの
処理要素を極力排除する必要がある
Yocto を用いた最小構成のシステム構築
検証に必要なサービスのみを残したrootfsを作成、
systemdを設定し、不要サービスを無効化
計測や計測のパフォーマンスに影響する
カーネル処理要素を極力排除する必要がある
計測に必要な機能のみを残す、カーネル
コンフィグレーションのカスタマイズ
不要なドライバ、ファイルシステムを無効化、スワップ、
遅延書込み機能抑制
相関性を検証するリソース使用量について
プロセス毎にプロファイリングする必要がある
汎用OSSツール : 取得したい情報や取得したい分解能で
データ取得できない、ツール自体の負荷影響がある
自作ツール(負荷影響削減)を作成、解析
適切な分解能で、procfsからプロセス情報
(rawデータ)を取得し、解析
目標 : リソース使用量 (CPU、メモリ、ファイルアクセス、ネットワーク通信 など電力を消費するデバイス) に関連づけて
プロセス毎の電力消費量を計測する
組込みソフトウェア
開発力の発揮
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システムプロファイリング
見える化に向けて、指定プロセス実行時の SCI 、指定プロセスが消費するシステムリソースのモニタリング機構、ツールを開発
各システムリソースと消費電力の相関を分析する
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結果
CPU使用率 の相関 影響大|電力消費量との相関を取る指標とすることが可能と考えられる
ハードウェア影響の可能性があるリソースアクセス ユースケースについては継続で検証が必要
リソース 電力消費量相関 見解
CPU使用率 有|影響大 電力消費量との相関を取る指標とすることが可能と考えられる
メモリ使用量 無 メモリ使用量の大小による消費電力差異は無し
有線ネットワークアクセス 無
CPU使用量による消費電力が支配的、
ハードウェアの使用量の大小による消費電力差異は無視できるレベル
今後の課題 : CPU使用量を除いた消費電力の測定方法の確立
SDカードアクセス 有|影響小 コントローラ(ハードウェア)影響の可能性あり
今後の課題 : マイコンボード給電を抑える、賢くキャッシュするなどの工夫
USBアクセス 有|影響小
GPIO(サーボモータ) 有|影響大
アクチュエータ(ハードウェア)影響の可能性あり、
ソフトウェアでGPIO制御する処理負荷による消費電力差異は無視できるレベル
今後の課題 : シリアル通信などのハードウェア影響が小さいユースケースでGPIO制御の検証
UART 無 CPU使用量による消費電力が支配的、
ハードウェアの使用量の大小による消費電力差異は無視できるレベル
今後の課題 : CPU使用量を除いた消費電力の測定方法の確立
無線ネットワークアクセス 無
今後に向けて|ソフトウェア と ソフトウェア以外 の電力消費量切り分け手法の確立
プロセスの電力消費量は そのプロセス自身のCPU使用率による電力消費量 と 使用するハードウェアの電力消費量を
使用中プロセスの数で按分した値の和 になると仮定|検証を継続し、算出手法の確立を目指す
© 2024 NTT DATA MSE Corporation 16
EdgeTech+ 2024 に出展
本講演で触れたシステム内の SCI を算出する機構、及び SCI を尺度として炭素排出量を改善するアプローチに
ついて EdgeTech+ 2024 にて出展いたします。当社のエンジニアチームと 熱い議論を交わしましょう。
名称 EdgeTech+ 2024
会期
2024年 11月20日(水) - 22日(金)
10:00 - 17:00 ※21日(木)のみ18:00まで
会場 パシフィコ横浜:展示ホール/アネックスホール
ブースNo. BL-03 ※入口Bの目の前
URL https://www.jasa.or.jp/expo/
西日本事業本部
IoT開発四部
開発一課
課長
奥野 倫也
西日本事業本部
IoT開発四部
開発一課
課長代理
胡 一中
次世代ビジネス推進室
次世代ビジネス推進課
課長代理
前田 圭一郎
BL-03 NTTデータMSE
Gartnerも注目するグリーンソフトウェアの実現に向けて (Green Software Foundation Global Summit 2024 Tokyo 講演資料)

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  • 2. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 2 2004 入社 2004 - 2011 モバイル 組込みLinux ベースの携帯電話 / スマートフォン開発 - Linux Kernel / デバイスドライバの担当として、 機能開発、性能改善、デバッグ、セキュリティに従事 2011 - 2020 オートモーティブ ナレッジをオートモーティブビジネスへ展開 - モバイルで培ったナレッジを顧客提案、施策に活かし、 オートモーティブ領域のビジネス展開を推進 - 業界団体活動の社内推進 (The Linux Foundation, Automotive Grade Linux) 2020 - 2022 経営企画 全社課題解決、中期経営計画の策定推進 2022 - 次世代ビジネス 顧客拡大、将来ビジネス創出 組込みソフトウェア開発(下回り)人材として 携帯電話 / スマートフォン / 車載器 開発を担当 株式会社NTTデータMSE 次世代ビジネス推進室 室長 今村 浩人
  • 3. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 3 Gartner|ソフトウェアエンジニアリングにおける戦略的テクノロジトレンド Gartner Identifies the Top Five Strategic Technology Trends in Software Engineering for 2024 出典 : Gartner Identifies the Top Five Strategic Technology Trends in Software Engineering for 2024 Green Software Engineering - AI-Augmented Development や Cloud Development Environments と並ぶ テクノトロジトレンドのトップ5 - 2027年までに大手グローバル企業の 30% が非機能要件として ソフトウェアのサステナビリティを含める と予測
  • 4. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 4 CO2 負荷観点 でソフトウェアを評価する スコア Software Carbon Intensity (SCI) と IoT サービス SCI = ((E * I) + M) per R E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh) I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh) M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g) R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など) IoT サービスで動作するシステムを SCI でどのように評価するか 1. ソフトウェア起因での 電力消費量見える化 が必要 2. IoT サービス全体で動作する ソフトウェアは膨大 (全ての加算が必要) 3. 1つのシステム内でも 様々なソフトウェアが動作 (アプリケーション、ミドルウェア、デバイスドライバ、OS など) 4. システムパフォーマンス改善 ≠ システム CO2 負荷改善 出典 : ソフトウエア利用時の炭素排出量比較評価スコア「Software Carbon Intensity」がISO/IEC国際規格として採択 SCI SCI SCI SCI クラウドサービス SCI SCI SCI SCI SCI 工場、店舗、ビル データセンター 事務所、オフィス
  • 5. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 5 目指す姿 最適化 オートティック 最適化 マニュアル 見える化 システム内のソフトウェアに対して CO2 負荷観点 での ・・・ システム 評価・アセスメント サービス システム チューニング サービス システム プロファイリング サービス 当 社 オ フ ァ リ ン グ
  • 6. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 6 目指す姿 最適化 オートティック 最適化 マニュアル 見える化 システム 評価・アセスメント サービス システム チューニング サービス システム プロファイリング サービス システム内のソフトウェアに対して CO2 負荷観点 での ・・・ 当 社 オ フ ァ リ ン グ まずはここから
  • 7. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 7 SCI 算出への挑戦 当社 主戦場である 組込みソフトウェア開発 の知見を最も発揮できるものとして、 IoT サービス全体の入り口を担う IoT ゲートウェイ にフォーカスし、組込み機器でのSCI 算出に挑戦 IoT ゲートウェイ ハードウェア : Raspberry Pi 5 OS : 組込みLinux (Linux 6.6.47) SCI SCI SCI SCI クラウドサービス SCI SCI SCI SCI SCI 工場、店舗、ビル データセンター 事務所、オフィス IoT ゲートウェイ ターゲットとする ソフトウェア(プロセス単位)の SCIを算出
  • 8. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 8 IoT ゲートウェイシステム構成 - Raspberry Pi 5 を IoT ゲートウェイシステムと想定 - 同マイコン上で動作するソフトウェアを対象として、SCI 算出方法を検討 Raspberry Pi 5 (組込みLinux) RPZ-PowerMGR Send / Receive スマートフォン Send / Receive クラウドサービス Send / Receive ホームルータ micro SD micro SD カード Read / Write I2C USB Wi-Fi GPIO LAN 対象外 サーボモータ PC Pulse Control ダッシュボード ソフトウェアバウンダリ Raspberry Pi 5 で動作するソフトウェア (プロセス単位)の SCI を算出 Send / Receive
  • 9. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 9 SCI = ((E * I) + M) per R E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh) I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh) M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g) R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など) SCI 算出 その1|I - 環境省公開情報│電気事業者別排出係数 を利用 - システム利用場所の 電気事業者排出係数 を用いる 電力事業者 排出係数 (gCO2 / kWh) 電力事業者 排出係数 (gCO2 / kWh) 東京電力エナジーパートナー(株) 457 中国電力(株) 537 中部電力ミライズ(株) 433 四国電力(株) 370 北陸電力(株) 487 九州電力(株) 407 関西電力(株) 360 沖縄電力(株) 710 電気事業者別排出係数 R4年度実績 (一例) システム利用場所における電力事業者の炭素排出係数を I に設定 出典 : 電気事業者別排出係数一覧
  • 10. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 10 SCI 算出 その2|M - 機器ライフサイクル (設置 - 故障・撤去まで) における単位時間あたりの炭素排出量 ・ 機器製造時の炭素排出量 ( Product Carbon Footprint : PCF ) をライフサイクル時間で除算し、算出する ・ 1日 / 1時間などの単位時間で計算 - 機器製造時の炭素排出量を取得する方法は以下の2つ 1. メーカー公開情報|Web、データシートなど 2. 環境省公開情報|排出原単位データベース 内の同種類製品 排出原単位 SCI = ((E * I) + M) per R E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh) I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh) M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g) R : 集計単位 (API呼び出し回数、ユーザ数など) アプローチ ・ Raspberry Pi 5 の場合、炭素排出量情報がメーカー公開情報には無いため、2.を用いる ・ No. 237 (333101) |パーソナルコンピュータ/台 排出原単位 = 0.452 [tCO2eq] = 452,000 [gCO2eq] ・ 機器ライフサイクル 4年 、単位時間を 1時間 と仮定 M = 452,000 [gCO2eq] / 35,040 [h] = 12.9 [gCO2eq / h] データシート(メーカー) / 排出原単位(環境省) を元にして M に設定 出典 : サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)|[5]産業連関表ベースの排出原単位
  • 11. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 11 SCI 算出 その3|R - SCI 算出のベースとする処理 (機能) 単位 - すべてのソフトウェア境界にわたり、一貫しているものを選択する ・ API 呼び出し回数 ・ ユーザ数 ・ 機器数 ・ データ量 ・ トランザクション数 ・ 利用時間 今回のSCI 算出に向けては 1時間あたり の利用時間を設定 ・・・ SCI = ((E * I) + M) per R E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh) I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh) M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g) R : 集計単位 (API 呼び出し回数、ユーザ数など) 集計するシステムの利用状況が評価可能な単位を用いて R に設定
  • 12. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 12 SCI 算出 その4|E - 実現したいこと | 今回の取組みにおける最大のモチベーション ・ ソフトウェアによる電力消費量、更にはソフトウェアを構成する最小単位である プロセス の電力消費量を算出したい ・ システム全体 (ソフトウェア + ハードウェア) の電力消費量から、プロセス 分を抽出する SCI = ((E * I) + M) per R E : ソフトウェアによる電力消費量 (kWh) I : 単位電力あたりの炭素排出量 (gCO2eq / kWh) M : ハードウェアの運用時間あたりの炭素排出量 (g) R : 集計単位 (API 呼び出し回数、ユーザ数など) リソース使用量とプロセス毎の電力消費量の相関分析に挑戦 挑戦 ・ システム内 プロセス毎の動作プロファイリングは可能 ・ リソース使用量 (CPU、メモリ、ファイルアクセス、ネットワーク通信 など電力を消費するデバイス) に関連づけて プロセス毎の電力消費量を計測すること はできないか
  • 13. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 13 計測に向けた工夫 課題 工夫 計測に影響する他のプロセス / スレッドの 処理要素を極力排除する必要がある Yocto を用いた最小構成のシステム構築 検証に必要なサービスのみを残したrootfsを作成、 systemdを設定し、不要サービスを無効化 計測や計測のパフォーマンスに影響する カーネル処理要素を極力排除する必要がある 計測に必要な機能のみを残す、カーネル コンフィグレーションのカスタマイズ 不要なドライバ、ファイルシステムを無効化、スワップ、 遅延書込み機能抑制 相関性を検証するリソース使用量について プロセス毎にプロファイリングする必要がある 汎用OSSツール : 取得したい情報や取得したい分解能で データ取得できない、ツール自体の負荷影響がある 自作ツール(負荷影響削減)を作成、解析 適切な分解能で、procfsからプロセス情報 (rawデータ)を取得し、解析 目標 : リソース使用量 (CPU、メモリ、ファイルアクセス、ネットワーク通信 など電力を消費するデバイス) に関連づけて プロセス毎の電力消費量を計測する 組込みソフトウェア 開発力の発揮
  • 14. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 14 システムプロファイリング 見える化に向けて、指定プロセス実行時の SCI 、指定プロセスが消費するシステムリソースのモニタリング機構、ツールを開発 各システムリソースと消費電力の相関を分析する
  • 15. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 15 結果 CPU使用率 の相関 影響大|電力消費量との相関を取る指標とすることが可能と考えられる ハードウェア影響の可能性があるリソースアクセス ユースケースについては継続で検証が必要 リソース 電力消費量相関 見解 CPU使用率 有|影響大 電力消費量との相関を取る指標とすることが可能と考えられる メモリ使用量 無 メモリ使用量の大小による消費電力差異は無し 有線ネットワークアクセス 無 CPU使用量による消費電力が支配的、 ハードウェアの使用量の大小による消費電力差異は無視できるレベル 今後の課題 : CPU使用量を除いた消費電力の測定方法の確立 SDカードアクセス 有|影響小 コントローラ(ハードウェア)影響の可能性あり 今後の課題 : マイコンボード給電を抑える、賢くキャッシュするなどの工夫 USBアクセス 有|影響小 GPIO(サーボモータ) 有|影響大 アクチュエータ(ハードウェア)影響の可能性あり、 ソフトウェアでGPIO制御する処理負荷による消費電力差異は無視できるレベル 今後の課題 : シリアル通信などのハードウェア影響が小さいユースケースでGPIO制御の検証 UART 無 CPU使用量による消費電力が支配的、 ハードウェアの使用量の大小による消費電力差異は無視できるレベル 今後の課題 : CPU使用量を除いた消費電力の測定方法の確立 無線ネットワークアクセス 無 今後に向けて|ソフトウェア と ソフトウェア以外 の電力消費量切り分け手法の確立 プロセスの電力消費量は そのプロセス自身のCPU使用率による電力消費量 と 使用するハードウェアの電力消費量を 使用中プロセスの数で按分した値の和 になると仮定|検証を継続し、算出手法の確立を目指す
  • 16. © 2024 NTT DATA MSE Corporation 16 EdgeTech+ 2024 に出展 本講演で触れたシステム内の SCI を算出する機構、及び SCI を尺度として炭素排出量を改善するアプローチに ついて EdgeTech+ 2024 にて出展いたします。当社のエンジニアチームと 熱い議論を交わしましょう。 名称 EdgeTech+ 2024 会期 2024年 11月20日(水) - 22日(金) 10:00 - 17:00 ※21日(木)のみ18:00まで 会場 パシフィコ横浜:展示ホール/アネックスホール ブースNo. BL-03 ※入口Bの目の前 URL https://www.jasa.or.jp/expo/ 西日本事業本部 IoT開発四部 開発一課 課長 奥野 倫也 西日本事業本部 IoT開発四部 開発一課 課長代理 胡 一中 次世代ビジネス推進室 次世代ビジネス推進課 課長代理 前田 圭一郎 BL-03 NTTデータMSE