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2024.12.03

師(せんせたち)走ってます 〜万学ウィークりある日記〜|政策・メディア研究科委員長 高汐 一紀

おかしい、まだ霜月だったのに。

鳥取県日南町のORFサテライト会場からキャンパスへ、弊家伝説となった米子からのサンライズ出勤をキメた昨年の強行軍(おかしら日記 〜水とお米とORF〜 2023.11.28)から1年、今年もまた万学博覧会&ORFの季節がやってきた。弾丸怒濤の1週間。ふりかえりの意味も含め、りあるな日記としてまとめてみた。1週間分となるので少々長くなるが、お付き合いいただきたい。

11/18 月曜日(米子 雨/最低11℃・最高14℃):
昨年から継続して進めている「日南町ヘルスケアプロジェクト」の実証のため、鳥取へ向かう。4・5限の授業を終えてすぐに羽田へ移動し、学生2人と合流、最終便で米子入り。米子市内のホテルに入ったときには22時を回っていた。飲食店も閉まっていたので近くのコンビニごはん。この日は東京も寒かったけど、米子はさらに寒い。上半身はジャケットに弊ラボのウィンドブレーカだけ。やばい、ナメてた。日南町はもっと寒いらしい。

11/19 火曜日(日南町 雨のち曇/最低2℃・最高8℃):
ホテルの朝ごはん美味し。ごはんも県内3種のお米が並ぶ。同じく前日入りしていた瀧田先生と合流して米子市内から1時間強、プロジェクトを支援していただいている日南町の役場を訪問。角井副町長と担当の荒金さんに現状を報告。生山駅近く、蓬莱さんでお昼ごはん。先の訪問時からハマっているカレー中華丼。これがなんともクセになる。

おなかが落ち着いたところで、今回の目的地、日南病院へ移動。学生2人はそれぞれ、療養病棟とリハビリセンタへ。療養病棟では看護師長はじめスタッフの皆さんが見守る中、開発中のソフトセンサの実証。無事に動作、要件を満たすことができたようでホッとする。リハビリセンタでは、開発中の対話システムの挙動をリハビリテーション科長にチェックしてもらった。実は科長さん、院内システムをご自身でバリバリ開発するこっち側の人。学生も有意義なコメントをたくさんいただけたようだ。米子へ戻る前に、道の駅で「海と天地のめぐみ米」の新米を無事げっと(*^^)v

ホテルに戻って、万学博覧会特別企画「政策・メディア研究科創設30年記念トークセッション」のプレイベント、SFCフォーラムオンラインセミナをモデレート。11/12の夜につづき、この日は2夜目。各回、現役の政策・メディア研究科大学院生2人ずつに登壇してもらい、「大学院でまなぶ、まなび直す意義」をテーマに自由に語ってもらっている。

前回(第1夜)の登壇者は、修士課程2年の永野真代さんと、博士課程3年の川島寛乃さん。永野さんは環境情報学部を卒業後、TBSテレビで報道記者、カメラマン、ディレクター、報道局デスク、情報政策局プロデューサとして活躍したあと、一念発起、大学院に戻ってきてくれた学生。対する川島さんは中高から学部、大学院を同じキャンパスで過ごす、いわばSFCプロパ。大学院進学の経緯も研究分野も異なるけど、ふたりとも出産、子育て、ご家族とのかかわりなど、さまざまなライフイベントと研究活動を両立している。ややオトナっぽい話も含め、ひとにはそれぞれドラマがあることを実感。

2夜目のこの日は、修士課程2年の田中弘太さんと博士課程3年の吉田桃子さん。田中さんは他大を卒業後、静岡県庁に入庁。県庁に席を置きながら進学する大学院として、政策・メディア研究科を選んでくれた。ご本人曰く「仕事として大学院生(単身赴任)」だそう。吉田さんはSFCで修士を取得したのち、空間デザイン会社勤務の経験を経て、再び政策・メディア研究科に戻ってきてくれた。ともに社会人経験者。外からみた政メ、県庁を背負っての学生生活、アカデミアの世界への憧れと現実。あっという間に90分が過ぎてしまう。

セミナの終了後、瀧田先生や学生たちと合流して夜ごはん。初めてのさばしゃぶ。これはやばい。シメのお蕎麦まで全てが美味い。

11/20 水曜日(日南町 曇のち晴/最低0℃・最高13℃):
学生は早朝に先行して日南町入り、デイサービスの現場でのフィールドワークを開始。私は昨日の疲れが残って、見送りの時間にロビーに降りられず。まじごめん。

午前中、西側まで来てくれた鳥取県庁の方々と、ホテルのラウンジで打ち合わせ。来年度以降の「とっとり未来共創プロジェクト」の進め方や、アウトリーチ活動としての「未来構想キャンプ」の実施方針について情報共有した。日南町に移動してお昼。道の駅「日野川の郷」で特産のトマトをふんだんに使ったダムカレー。

午後は前日に続き、日南町病院を訪問、スタッフの皆さんと今後の実証のスケジュールを調整した。来月、学生は長期滞在(日南町残留?)の予定。今回の全日程終了後、日野上イチョウの前で記念写真。めちゃ綺麗。米子に戻り、最終便で羽田着弾。

11/21 木曜日(湘南台 曇ときどき晴/最低9℃・最高14℃)
 〜 11/22 金曜日(湘南台 晴/最低9℃・最高19℃):
万学博覧会とORFの準備。展示会場の設営と、セッションやデモのドライラン。

11/23 土曜日(湘南台 曇のち晴/最低10℃・最高16℃):
万学博覧会&ORF 1日目。

スケジュールを確認して目眩。午前中は、弊ラボ(SFC Sociable Robots Lab.)の展示会場に足立さん(鳥取県 輝く鳥取創造本部 協働参画課 課長)、瀧田先生(WebDINO Japan 代表理事)をお招きし、「とっとり未来共創プロジェクトミニセッション」を開催。

午後、万学博覧会の特別企画が続く。

初日のメインは、万学博覧会特別企画「政策・メディア研究科創設30年記念トークセッション」。政メ歴代委員長の徳田先生、清木先生、村井先生をお招きし、30年をふりかえりつつ、政メのこれからを語り合った。徳田先生は第3代・第5代研究科委員長(2001〜2007年、2009〜2015年)、清木先生は第6代研究科委員長(2015〜2017年)、村井先生は第7代研究科委員長(2017〜2019年)だ。ちなみに加藤(文)先生を挟んで、私は9代目らしい。まず、徳田先生には研究科の黎明期から過渡期にかけてのご苦労を、清木先生には他研究科との協働等、拡大の継承について、村井先生には学部連携としての教育・研究、学部から見た研究科についてふりかえってもらう。

実はここで役立ったのが、このおかしら日記のコンテンツ。おかしら日記は2004年にスタートし、2011年の東日本大震災後の中断を挟んで、2019年10月に加藤(文)委員長の代に復活した。政メのパンフレットに記載されていた当時の研究科委員長メッセージとあわせて、ふりかえりの資料として皆さんに一覧をお渡ししてあった。会場からもおかしら日記の内容に絡んだ質問が飛ぶ。

セッションのおわり、現役教員そして大学院生に対して、徳田先生からは「これからも世界一ではなくオンリーワンを目指す研究科であれ」、清木先生からは「新しい時代に新しい学術を切り開く大学院が政メである」、村井先生からは「政メはSFCそのもの、大学院重点化の核となれ」との、叱咤激励をいただいた。温かい。これほどありがたいことはない。

余韻を楽しむ暇もなく、大学院説明会をこなし、ホームカミングデーに顔を出す。全てのイベントから解放されたのは18時近く。むふー。

11/24 日曜日(湘南台 曇のち晴/最低9℃・最高16℃):
万学博覧会&ORF 2日目。

今日のメインは午前の「山岸学生プロジェクト支援制度10周年記念セッション」。同制度の担当となったのが2015年秋。いまは宮本先生に引き継いでいただいたが、毎学期の成果報告会にはいまでも呼んでもらっている。山岸さんはご自身の経験から、「学生個々のプロジェクトを直接支援したい」のだと言う。このように学部生が進める研究プロジェクトを直接支援する制度は、他に類をみない。10周年ということもあり、記念誌も発行された。セッションには支援された4人の卒業生も登壇して、思い出話で盛り上がった。願わくば、このなかから第二の山岸さんが現れてほしい。

山岸さんを囲んでの懇談会を挟んで、午後は「まちづくりアイデアコンテスト2024 表彰式」に審査委員長として出席。同じく特別企画「SFCからパリ2024オリンピック・パラリンピックへ」へと続く。

今回の万学博覧会&ORFは、ほとんどラボの展示会場にいられなかった。学生には本当に申し訳ないことをした。使わせてもらった教室のロケーションに恵まれたのか、ブースにはこれまでにない数の来場者にお越しいただいたらしい。未来構想キャンプに参加した高校生もたくさん来てくれた。最後の最後、30分くらい、展示会場に滞在。らぼメンと写真を撮って、撤収。湘南台でどかんと打ち上がった。

以上が万学博覧会とORFまでの怒濤の1週間である。よく頑張ったよ、わたし、うん。

最後に..
阿川先生の訃報に接して2週間とすこし。正直、いまだに心の整理ができていません。阿川先生への想いを言葉にすることができず、SNS等で発言することも避けてきました。阿川先生とのかかわりは「おかしら日記 〜総合政策学と潜水艦〜 2024.02.06」にも書いています。家族ぐるみでお付き合いさせていただいた時期もありました。もう少し時間をください。






高汐 一紀 大学院政策・メディア研究科委員長/環境情報学部教授 教員プロフィール