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GoogleモバイルSEOとモバイル広告

2015年6月

2014年度(2014年1月~2012年12月)に計上した売上高660億ドルのうち、グーグルは約9割を広告事業で稼いでいる。その内訳を大きく分けると、グーグル自身のサイト(Google Websites)から発生する収入と、グーグルと連携したウェブサイト(Google Network Members, Websites)から発生する収入になる。

商品別に見た場合、グーグルの広告は4種類ある。それぞれの特徴について、順を追って見てみよう。

今も昔も柱となっているのは、グーグル自身のサイトに表示される検索連動(リスティング)型広告「アドワーズ」だ。検索連動(リスティング)型広告「アドワーズ」はユーザーが検索をした際、その内容に関連した広告が表示されるというシンプルなもの。通常の検索結果では上位に表示されなくても、広告主が費用を払えばユーザーの目に留まり、アクセスされやすくなる。

パソコンの場合は画面の上と右に最大11個、アドワーズの表示枠が存在する。検索キーワードと入札価格を設定してクレジットカード情報を登録すれば、個人事業者などが手軽に広告を出すことができる。

一方、まだ売上比率は小さいが最近力を入れているのが、グーグルと提携したウェブサイトに広告が表示されるディスプレーネットワーク広告「GDN」だ)。

ネットサーフィンをしていると、過去に訪れたサイトの広告に追いかけ回されるような経験をした人は少なくないだろう。これはユーザーの検索履歴を基に表示されるほか、「Gメール」や「YouTube」などグーグルの各サービスで取得するアカウントでログインすると、個人の属性に基づいて広告が表示される仕組みとなっている。グーグルと提携するサイト200万超が広告掲載の対象に含まれており、グーグルが掲載手数料を徴収している。

これまでGDNは「アドセンス」と呼ばれる個人のブログなどに表示される広告が多かった。しかし、最近では大手のサイト運営者も徐々にGDNに興味を持ち始めている。要となるのは、グーグルが2007年に買収した広告配信インフラ会社のダブルクリックだ。

たとえば投資家向けのサイト運営者が、株価ページを週5回以上見るユーザーの属性を把握したとしよう。運営者はこの情報をダブルクリックのインフラに加えることで、株価情報にアクセスするユーザーに、優先的に広告配信ができるようになる。2015年4月からサイト運営者向けにダブルクリック広告の運用支援を始めたアディンゴの小澤昇歩取締役は、「(GDNと提携する)サイト運営者が自社のデータを活用し、ユーザーの属性に合わせた広告を優先的に表示できる。比較的高単価なブランド広告などの出稿も増える傾向にある」とメリットを挙げる。

ネット広告に詳しいsembearの治田耕太郎代表は、「ダブルクリックの登場で、サイト運営者だけでなく広告主もより費用対効果の高い広告を出せるようになった。今後はアドワーズよりGDNのほうが伸びるだろう」と話す。

続いて期待されるのが、「YouTube広告」だろう。コムスコアの2015年4月調査(パソコンベース)によると、日本におけるYouTubeの1日当たり平均利用時間は37・4分で、他の動画配信サイトを引き離す。大和証券キャピタル・マーケッツの西村和哉アナリストは、「YouTubeの広告収入は直近四半期の決算でも非常に好調で、動画広告市場を牽引する存在になっている」と解説する。ちなみに、YouTube広告の収入はGoogle Websitesに含まれる。

検索回数が増えれば広告収入は必ず拡大

最後はモバイル広告。グーグルはここ数年で、モバイルファーストへと舵を切っている。その象徴が2015年4月に実施された「モバイルフレンドリーアップデート」だ。モバイルフレンドリーアップデートとは、スマートフォン上で見やすいページの掲載順位を全世界で引き上げるという仕組み。これにより、パソコンの大画面のみを対象にしたウェブサイトは、モバイル版の検索結果では掲載順位が下げられる。グーグルが検索エンジンのアルゴリズムを変えてしまうことは、ウェブ世界のルール変更を意味するだけに、サイト運営者やネット広告代理店の間で大きな反響を呼んだ。

グーグルはパソコン、モバイルともに全世界での検索シェア約9割という圧倒的存在だ。英NetBoosterの調べによると、検索結果で1位になるとクリック率は19・35%、2位は15・09%、9位は3・35%へと下がっていく。「検索結果上位はいす取りゲーム。見込み顧客が検索しそうなキーワードをタイトルに入れるなど工夫が必要」とウェブコンテンツのコンサルティングを手掛けるウィルゲートの吉岡諒専務は指摘する。いわば、この圧倒的な支配力がアドワーズの収益を支えているといっていい。

モバイル広告でも中心になっているのが、やはりアドワーズだ。ただ小さな画面のモバイル広告になると、広告枠は6つしかない。パソコンと比べて入札価格も低い傾向にあり、1回のクリックから得られる収益も見劣りする。

この点はグーグル側も把握しており、モバイル広告の独自機能を積極的に取り入れている。たとえば、従来のテキスト表示に加え、電話番号や住所、アプリにアクセスできるリンクを表示するなど、操作性はより直感的に変わっている。2015年からは「マイクロモーメント」というキーワードを提唱し、ユーザーがスマホで閲覧した情報を瞬時に広告表示につなげるマッチングの精度向上に取り組んでいる。2012年6月からは検索をしなくても事前に欲しい情報を提示する「グーグルナウ」というサービスも始めた。

検索技術に詳しいアイレップSEM総合研究所の渡辺隆広所長は、「スマホやウェアラブル端末などの登場で、新たな検索ニーズが出てくる。検索回数が増えること自体はグーグルにとって広告収入が増える大きなチャンスだ」と分析する。

モバイルを含め、ネット広告市場全体は拡大しておりグーグルの広告事業も当面成長が続くだろう。「すでに米国でグーグルはテレビ広告の予算を取り始めている」(前出の西村アナリスト)という声もある中、日本の既存メディアも安閑としてはいられない。いずれグーグルが、日本の既存メディアと広告争奪戦を繰り広げる日が来ても不思議はない。

嫌な検索結果や広告を省くには

グーグルなどの検索では、自分の気に入らないリンクが上位に表示されることもある。どうすればこれを避けられるのか。

方法は2つ。検索結果をグーグルに削除要請するか、検索結果の上位に掲載されないよう逆SEO(検索エンジン最適化)するしかない。削除要請は弁護士を通して申請する必要があり、実行のハードルは高い。そのため「フェイスブックやツイッターなどの投稿頻度を増やすことで、ネガティブ情報の検索表示を相対的に下げるのが望ましい」と、ネットの誹謗中傷対策を行うエルテスの菅原貴弘代表は言う。エルテスは2015年4月から逆SEOの管理ツールを個人向けに提供している。

検索結果だけでなく、それに連動した広告やアドネットワークから逃れたい人もいるだろう。アドネットワークはアクセス履歴を基に追いかけてくるので、不快感を覚えやすい。

野村総合研究所の城田真琴上級研究員は、「グーグルの広告設定ページを開くと、年齢、性別、言語、興味・関心の設定に加え、興味連動型広告を拒否できる『オプトアウト』設定が選択できる。『ゴーストリー』のような広告非表示ツールを導入するのも手」と指南する。ユーザーの使い方次第で、グーグルの影響を遠ざけることも可能なのだ。

ワイモバイル、グーグル「ネクサスプレーヤー」発売-リモコンに話しかけて検索

2015年2月27日、日刊工業新聞

ワイモバイル(東京都港区、エリック・ガン社長)は2015年2月26日、インターネット上の動画やゲーム、アプリケーション(応用ソフト)をテレビで楽しめるグーグルの機器「ネクサスプレーヤー」を、2月27日に発売すると発表した。リモコンに音声検索機能を搭載し、コンテンツを簡単に探せる。価格は1万2800円(消費税抜き)。別売りのゲームコントローラーが4980円(消費税抜き)。

ガン社長は「リモコンに話しかけて映画などを探せる」と使いやすさをアピールした。動画サービス「ユーチューブ」や「Hulu(フールー)」などを視聴可能。ネクサスプレーヤーで利用していたコンテンツの続きを、外出先でスマートフォンやタブレット端末(携帯型情報端末)から楽しめる。

また、ソフトバンクモバイルもネクサスプレーヤーを2月27日に発売する。