文芸
神田 彩絵(著)
四六判 260ページ 並製 定価 2400円+税 ISBN978-4-7872-9278-0 C0095
書店発売予定日 2025年02月14日 登録日 2024年12月23日
『注文の多い料理店』のネコや『セロ弾きのゴーシュ』の愉快な動物たちを筆頭に、クマ、キツネ、タヌキ、カエルと、宮沢賢治が創作した童話群「イーハトーブ童話」にはさまざまな動物が登場する。日本古来の伝統的な動物観とヨーロッパ由来の新しい動物観の交差で生み出された動物たちは、賢治文学、そして日本文学でどのような意味をもつのか。 種としての動物の生態を紹介することに始まり、ヒトが彼らに向けてきたまなざし(動物観)の諸相、宗教や民間伝承に現れる動物の姿などを解きほぐし、さらに動物を扱う日本の古典文学や西洋文学を縦横に読み解く。そのうえでイーハトーブ世界に登場する動物のキャラクターを横断的に分析して、宮沢賢治が紡ぎ出した独自の動物観を浮き彫りにする。 動物とともに作品世界を旅してイーハトーブ童話のルーツを探る、新しい切り口の賢治文学への招待状。 【目次】 まえがき イーハトーブのキーアニマルたち 第1章 フクロウ――鳥社会の日陰者 第2章 クマ――唯一の対抗者 第3章 キツネ――本能にあらがう嘘つき 第4章 タヌキ――私腹を肥やす横着者 第5章 ネズミ――小さな簒奪者 第6章 アリ――近代社会の代表者 第7章 カエル――迫害される芸術家 第8章 ネコ――世界を泳ぐ自由なもの あとがき レイヤーとしての動物観