【藤井聡太八冠凱旋会見】師匠の杉本昌隆八段(右)から花束を受け取る藤井聡太八冠(左)=13日午後、名古屋市中村区の名古屋将棋対局場(根本成撮影) 将棋で前人未到の全8冠を独占した藤井聡太八冠(21)が13日、地元・愛知県名古屋市の名古屋将棋対局場で凱旋記者会見に出席した。師匠の杉本昌隆八段(54)とツーショットで臨み、師匠から多忙の藤井八冠に「たまには研究会に来てくれないかな?」と公開オファー。頂点を極めても、変わらない仲の良さがうかがえる、ほっこり会見となった。
偉業達成から2日経ってもフィーバーは止まらない。地元の雄の凱旋に70人の報道陣が詰めかけた。
藤井八冠は「2日ほど経ちまして、実感や達成感が徐々に感じてきた一方で重みも改めて感じています」と話した。昨年6月にオープンしたばかりで、畳の匂いが真新しい対局場で心境を明かした。
前日12日の会見では師匠から祝福の連絡が来ていないことを明かしていた。「たぶんお忙しいかと思いますので、こちらから連絡します」と話していたが、ツーショット会見ということもあり、杉本八段が反応。
「あれは暗に『もっと師匠、将棋の勉強してくださいよ』と言っているのかなと思ったり…」とチクリ。仲むつまじい姿を見せた。
偉業達成後、まだ愛知県瀬戸市の実家に帰ることができていない藤井八冠。今一番やりたいことを聞かれても「対局が続くのでそちらでいい将棋を指したい」とキッパリ。だが、杉本八段は「弟子たちの研究会をやりたい。最近、藤井八冠は忙しくてなかなか来てくれないけど、たまには来てくれないかな?」と公開オファーを持ちかけた。これに藤井八冠は「この場で言質を取られてしまうのはちょっと…。最近、師匠の一門も増えて、私自身会えていない方も増えてきているので、どこかでそういう機会が作れれば…」といったん言葉を濁した。
しかし、愛知で落ち着く場所については「(名古屋市)大曽根にある師匠の研究室。行くと今でも落ち着きます」と師匠泣かせの回答。杉本八段は「お世辞でもうれしい。もっと部屋の掃除をしなきゃいけないなぁ。将棋を指している時の藤井八冠は楽しそうなので、またその光景を見たい。最近来てくれていないけど、また来てください」と親心をのぞかせた。
歴史的快挙を支えた師弟の絆。温かいオーラが会場を包んだ。