フリーランス(個人事業主)の俳優や音楽家らでつくる「日本芸能従事者協会」は27日、協会員の健康相談などに対応する産業医を配置すると発表した。企業に属さない芸能従事者は長時間労働を強いられ、労災対策にも不備があると指摘。産業医を置くことで健康や安全を守り、待遇改善につなげたいとしている。
産業医は一定数の労働者を抱える企業に配置義務があり、健康診断結果のチェックや職場の巡視をする。協会によると、産業医の依頼費用を助成する国の制度を利用。映画や舞台の制作現場を視察し、働き方の問題点を医学的に分析してもらうといった活用法を想定している。
厚生労働省によると、助成制度は中小企業向けだったが、2023年度分から労災保険に任意加入するフリーランスの団体も対象に加えた。
協会の記者会見で、フリーランスの映画監督深田晃司さん(43)は、これまで健康管理は「自己責任」とされてきたとし、産業医の配置が「状況改善のための大きな一手になる」と強調した。