□JCBイノベーション統括部長・久保寺晋也さん(48)
--2020年東京五輪・パラリンピックを控え、国を挙げたキャッシュレスへの機運が高まってきた
「追い風でもあり、荒波でもあると考えている。うまく乗れれば既存ビジネスを拡大できるが、決済の分野にはフィンテック企業など新たなプレーヤーが入ってきている。キャッシュレス決済全体のパイは広がるが、競合も増えており、戦国時代の様相だ」
--特に2次元バーコード「QRコード決済」には注目が集まっている
「JCBも2月にQRコードを使用した決済サービスの統一規格を発表した。QRコードは各社が異なる規格・仕様で展開しており、導入する店にとっては読み取り端末の費用や店頭でのオペレーションの負荷が増加している。JCBブランドではない誰でも参加できるスキームを作り、キャッシュレスを後押ししたい」
--日本は「キャッシュレス後進国」と言われている
「安心して安全に現金が使えるのでキャッシュレスの必要性が低かった。店側も現金が使えればよいという状況があった。ただ、ここ数年は外国人観光客の増加で潮目が変わってきている。海外の方がカードやモバイルで決済しようとしても使えないと困る状況が生じている」
--国は25年までにキャッシュレス決済比率40%という目標を掲げている。実現は可能か
「私たちが何十年もやってきて20%にも満たない中、10年で倍増させようという目標なので、相当チャレンジングだと思っている。ただ、やりようはある。そのためには、利用者にとっても、店舗にとってもメリットがある形を作り出す必要がある。コストもかかるため、その費用を誰が出し、どう利益を循環させていくか知恵を絞る必要がある。いろいろ試しながら、より便利で安全安心な決済手段を提供していきたい」
◇
【プロフィル】久保寺晋也
くぼでら・しんや 北海道大経卒。1994年ジェーシービー(JCB)入社。人事部次長、総合企画部部長などを経て2017年4月から現職。神奈川県出身。