【ワシントン=加納宏幸】ケリー米国務長官は24日、ロシアのラブロフ外相との会談で米露関係の改善に期待を示した。「人権外交」を展開してきたオバマ米政権にとり、自国民に「たる爆弾」などの残虐な攻撃を繰り返すシリアのアサド大統領の退陣は不可欠だが、アサド政権の後ろ盾のロシアが主導しなければ外交解決は困難。同国との協力のため退陣要求を一時、棚上げにしている。
ケリー氏は会談後のラブロフ氏との共同記者会見で「アサド氏に正しい決断をさせるため、ロシアは何を選択するかを明確にしなければならない」と述べた。
また、ケリー氏は「(国民の)全体が参加し、宗派性がなくマイノリティー(少数派)が保護されるシリアにし、国民が平和と安定の下で暮らせる」ようにすることでラブロフ氏と合意したと説明した。
8月までの樹立で合意した移行政権からアサド氏を排除することが念頭にあるとみられる。しかし、ラブロフ氏は記者会見で政権の移行を目指すことは明確にしたものの、アサド政権に具体的に何を働きかけるかを明確にしなかった。