堺市が健康診断などを補助している50代の女性看護師を「有償ボランティア」とみなし、年次有給休暇取得を認めなかったことに対し、堺労働基準監督署が同市に是正勧告をしていたことが7日、わかった。労働者として年休取得を認め、女性に不払い分を支払うことを求めた。堺市には同様の業務にあたっている看護師らが約180人おり、今後、雇用契約を結ぶなどの対応を検討している。
市健康医療推進課などによると、勧告があったのは昨年12月27日。「保健医療業務協力従事者」として市の保健センターで働く女性が申請した計3日間の年休取得を拒んで欠勤扱いにしたのは不当で、3日分の賃金にあたる1万8600円を支払うよう求めた。
保健医療業務協力従事者は1年ごとの登録制。看護師や助産師らが乳幼児健康診断やがん検診などの補助業務に就き、1日3時間ほどの勤務で6200円の謝礼が市から支払われる。
女性は20年以上、協力従事者を務め、昨年3月に初めて年休申請を行った。市は「有償ボランティアであるため認められない」などと回答したため、堺労基署に相談していた。
市は「女性との間に労働契約はない。勤務日は本人の希望で決めている」として有償ボランティアであると主張。しかし労基署は年間50日以上勤務していた女性の業務実態から労働者として認定したとみられる。
是正勧告を受け堺市は「雇用契約を結ぶか、事業ごとに請負契約を結ぶなど、協力従事者の制度を見直していく」としている。