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書道研究の拠点づくりへ意欲 大東文化大学 書跡をデジタルアーカイブス化 知的資源を可視化、世界で共有

【学ナビ】書道研究の拠点づくりへ意欲 大東文化大学 書跡をデジタルアーカイブス化 知的資源を可視化、世界で共有
【学ナビ】書道研究の拠点づくりへ意欲 大東文化大学 書跡をデジタルアーカイブス化 知的資源を可視化、世界で共有
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 創立100周年を令和5年に迎える大東文化大学(東京都板橋区)。開学以来の伝統を誇る書道教育が、運動学や生理学などの視点や最先端デジタル技術を掛け合わせた超領域的研究に発展している。プロジェクトの一環として、書跡などをデジタル化したアーカイブスサイトを公開。科学の力を駆使し、心と筆の動きという書道の根源を解明するとともに、書道学を通じた国際交流や国際イノベーション研究拠点作りを目指している。

 大東文化大は、漢文と書道を軸とした漢学の振興を図るために創設された。特に書道では近年、運動学や生理学といった視点を加え、多彩な角度からの教育研究に取り組んでいる。

 平成30年度には「漢学・書道の学際的研究拠点の形成による『東洋人の道』教育研究の推進」が、文部科学省私立大学研究ブランディング事業に選定された。プロジェクトの一環として、所蔵漢籍や書跡を閲覧できる世界的にも珍しいデジタルアーカイブスサイトの構築を進めてきた。

表具など付属品も網羅

 アーカイブスには、日本と中国の作品や文物など830点を掲載。978年に編まれた中国の説話集『太平広記』などの漢籍や後土御門(ごつちみかど)天皇の和歌懐紙といった平安~昭和時代の古筆切や書状、渋沢栄一の書、戦後日本を代表する書家で元同大教授の宇野雪村文庫拓本など、貴重な資料を見ることができる。

 カラーで拡大閲覧が可能な上、全体像や表具など付属品も網羅している。そのため、表装技術などの学びにも応用ができるという。

 東京大学東洋文化研究所の板倉聖哲教授は「美術館や博物館と機能が異なり、大学機関の所蔵品はときに埋もれてしまうことがあるが、いつでも国内外の研究者にとって閲覧可能になる。教育資源として重要さを増す」と評価している。

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